都内の美術館、約1ヶ月ぶりの再開。完全予約制や時短営業などコロナ対策を強化
緊急事態宣言が再延長されるなか、東京都では美術館が休業要請の対象から外れ、約1ヶ月ぶりの再開を迎えた。
3度目の緊急事態宣言が再延長されるなか、都内では多くの美術館・博物館が4月25日以来、約1ヶ月ぶりの再開を迎えた。
これまで同様、不要不急の外出自粛などを求める東京都。美術館に対しても完全予約制などの徹底した人流抑制を求める。
そんななか、東京都現代美術館ではこれまで予約制ではなかった「マーク・マンダース─マーク・マンダースの不在」と「ライゾマティクス_マルティプレックス」を完全予約制にしての再開となった。東京都美術館の「イサム・ノグチ 発見の道」も日時指定予約(空きがある場合は当日入場可能)だ。
緊急事態宣言での休館を穴埋めするため、会期を延長した展覧会もある。上野の東京国立博物館は、本来5月30日までだった特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」を6月20日まで延長し、会期中は無休とする。
初台の東京オペラシティ アートギャラリーは「ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展」の会期を6月24日に延長。通常休館日である月曜日も来館分散のため臨時開館する。東京ステーションギャラリーも「コレクター福富太郎の眼」展を6月27日の閉幕まで無休とするほか、1日あたりの入館チケット枚数を本展開幕時の3分の2に制限して来館の分散を図る。
再開する美術館には時短開館の取り組みも見られる。三井記念美術館は開館時間を11:00~16:00(最終入館15:30)に短縮。森美術館も開館時間を10:00~20:00(最終入館19:30)に短縮する。
再開と休館継続をめぐる混乱を乗り越えての再開となった美術館。都内の美術館に務めるあるスタッフは「まだまだコロナ禍の状況が続くが、美術は人間の心にとって必要不可欠なもの。美術館は今までも、これからもガイドラインに基づく感染対策を行い、安心して鑑賞していただけるよう努力を続けていく。美術(芸術)を楽しんでいただきたい」としたうえで、次のように行政の対応を指摘した。「公益財団法人が運営する美術館は東京都の協力金・支援金の対象外となり、補償がないなかでも休業要請に従い、休館を続けてきた。要請内容が科学的に正当な内容だったのか。その科学的根拠を、事後であっても公表し今後につなげてほしい」。
また展覧会を主催するメディア関係者も「休館するかしないかの判断をめぐり、行政に振り回された。会期途中で閉幕となってしまった展覧会もあり、楽しみに待っていてくれた人たちには申し訳ない思いだ」としつつ、「再開できる展覧会では、気持ちを新たにたくさんの方をお迎えしたい」と語る。