2024.7.19

「HERALBONY Art Prize 2024」のグランプリを浅野春香が受賞。受賞作品展も開催

ヘラルボニーが主催する国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024」。そのグランプリを、浅野春香《ヒョウカ》が受賞した。

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 ヘラルボニーが主催する国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024」のグランプリを、浅野春香《ヒョウカ》が受賞した。

 ヘラルボニーは国内外の主に知的障害のある作家の描く2000点以上のアートデータのライセンスを管理し、ビジネスへと展開している企業。「HERALBONY Art Prize 2024」は、ヘラルボニーが障害を持つ作家の才能を評価し、活躍の道を切り開いていくために創設した賞だ。

 グランプリを受賞した浅野春香は20歳で統合失調症を発症後、入退院を繰り返しながら闘病を続けてきた。絵を本格的に描き始めたのは29歳のときであり、今回の受賞作品《ヒョウカ》は「評価されたい」という作家の純粋な感情から制作された。満月の夜のサンゴの産卵をテーマに、切り広げた米袋に満点の星空や宇宙、満月などのモチーフが緻密に描かれた。母親の胎内にいた頃の情景や、サンゴの研究者である父親のことなど、作家にとって大切な存在である両親からインスピレーションを受けているという。

浅野春香 ヒョウカ 2024 ポスカ、米袋 96×164cm

 グランプリの浅野には、創作活動を奨励する資金として賞金300万円が贈られるほか、ヘラルボニーと作家契約を締結し、今後様々なライセンス起用により国内外にその異彩を発信していくという。

 審査員を務めたのは、クリスチャン・バースト(ギャラリー・クリスチャン・バースト創設者)、黒澤浩美(金沢21世紀美術館チーフ・キュレーター)、日比野克彦(アーティスト/東京藝術大学長)、盛岡笑奈(LVMH メティエ ダール ジャパン ディレクター)。バーストは浅野の受賞作について次のようにコメントをしている。「紫がかった色彩を放つこの作品は、まるで急速に芽生えた花のように、細かな点の配列が広がっています。植物の成長において根源的な原動力である太陽の力と、そのもっとも華麗な結果である美の開花が組み合わされています」。

 受賞作品展は8月10日〜9月22日に、三井住友銀行東館1階のアース・ガーデンで開催。グランプリ作品のほか企業賞受賞作品、審査員特別賞受賞作品および最終審査進出作品として総勢58名の作家による全62作品を展示。世界11カ国から、海外作家20名、国内作家38名による多様な作品を見ることができる。