マグリット《光の帝国》がサザビーズにて約58億で落札。マグリット史上過去2番目の高額
5月16日にサザビーズ・ニューヨークで行われたシングルオーナーセールにて、ルネ・マグリット《光の帝国》(1951)が4230万ドル(約57億7100万円)で落札され、その作品において過去2番目に高額な作品となった。
アメリカ音楽業界の重鎮、モー・オースティンのコレクションから出品されたルネ・マグリット《光の帝国》(1951)が、5月16日にサザビーズ・ニューヨークで行われたシングルオーナーセールにて4230万ドル(約57億7100万円)で落札され、マグリットの作品において過去2番目に高額な作品となった。
マグリットは、1948年より昼と夜の両方を同時に表現した「L'Empire des lumières(光の帝国)」シリーズを制作し始め、その油彩画は現在17点が残されている。同シリーズの作品は現在、世界中の主要な美術館やコレクションに収蔵されており、今回の作品は、積乱雲の広がる穏やかな青空に、縦長の非常に高い木をシルエットで配した唯一のものだ。
オースティンが1979年に購入して以来、初めて公開された同作は、3500万ドル〜4500万ドルの落札価格が予想されていた。5人の入札者による10分間の激しい競り合いの末、ローエスティメートを上回る3650万ドルのハンマープライスで落札された。
また、同セールにはマグリットによるもうひとつの作品《アルンハイムの領地》(1949)も出品。1500万ドル〜2500万ドルの予想落札価格に対し、手数料込みで1890万ドルで落札された。
なお、マグリットのオークションにおける過去最高額を記録したのは、2022年3月にサザビーズ・ロンドンにて5940万ポンド(当時のレートで約93億円)で落札された《光の帝国》(1961)。今回の《光の帝国》の落札について、サザビーズは声明文で「(同シリーズが)シュルレアリスムの決定的なイメージとして確固たるもの」だと評価している。