桃園市立美術館が「2023 Taoyuan International Art Award」の受賞者を発表
台湾の桃園市立美術館が主催する「2023 Taoyuan International Art Award」の受賞者が3月21日に発表された。大賞は、デルフィーヌ・ピュイエ(フランス)の作品《プルアップ》に決定した。入選作品展は4月30日までTaoyuan Arts Center(桃園展演中心)で展示中だ。
台湾の桃園市立美術館が主催する「2023 Taoyuan International Art Award」(TIAA)の受賞者が発表され、大賞にはデルフィーヌ・ピュイエ(フランス)の作品《プルアップ》が輝いた。また優秀賞はベレン・サンタマリーナ(アルゼンチン)の《移民、ファーストスキン:ノスタルジア》、焦岩(中国)の《あなたの側に立つことができない》、李繼忠(香港)の《空の国と遠く》が、「遊藝賞」は王言然(台湾)が受賞した。
その他の入選作家は、マイラ・アリ・ラセルダ・フローレス(ブラジル)、劉芸怡(台湾)、劉子平(台湾)、林祐聖(台湾)、曾麗娟(台湾)、 薛又菱(台湾)、アンドレア・フェレーロ(ペルー)、サラ・ナイム(シリア)、李奎壁(台湾)、フェリペ・カステルブランコ(アメリカ)。
「2023 Taoyuan International Art Award」は、台湾の三大現代アートアワードのひとつ。創作活動の多元的な発展の奨励、次世代アーティストの育成、国外からの作品募集や国外アーティストを招いた現地での展覧を通じての国際交流の強化、世界のアートシーンへの接続を目的としている。
今年の一次選考では、前回比25パーセント増となる計687組(62ヶ国)からの応募があり、このアワードが2021年に国際コンペティションへと移行して以降、世界中のアート分野の専門家やクリエーターたちから広く注目を集めていたことがうかがえる。一次選考で入選した15作品は、台湾、香港、中国、シリア、フランス、アメリカ、ブラジル、アルゼンチン、ペルーからの応募作品で、メディアもグラフィック、インスタレーション、映像、ニューメディア、アートプロジェクトなど、幅広い分野と形態に及んでいることが特徴と言えるだろう。
またTIAAの大きな特色として挙げられるのは、国際審査員チームだ。今回は一次審査委員に第57回ヴェネチア・ビエンナーレディレクターで務めたクリスティーヌ・マセルのほか、ローマ国立21世紀美術館(MAXXI)のチーフディレクター侯瀚如(ホウ・ハンルゥ)、2024年シドニー・ビエンナーレのキュレーターCosmin Costinas、インディペンデント・キュレーターの高森信男、国立台湾芸術大学教授兼初代館長の劉俊蘭を迎え、オンライン形式での審査が行われた。
続く二次審査では、侯瀚如、Cosmin Costinas、韓国蔚山市立美術館館長の徐真錫、国立台湾芸術大学美術学院長の陳眖怡、インディペンデント・キュレーターの王嘉驥が現地での審査に臨んだ。侯瀚如は今回のアワードを「グローバルな視点、ローカルな創作・思考が今回受賞したアーティストに共通する優れた特徴であり、それが桃園市立美術館の都市美術館としてのねらいにも通じることがわかる」と振り返っている。
また桃園市立美術館代理館長の王麗娟副局長は、次のようにアワードの意義を強調する。「このようなコンテストを企画するなかで、美術館は、極めて重要な『芸術交流』の側面をアピールすることができた。一流のキュレーターやアート評論家の方々を国際審査員チームのメンバーとして招くことで、桃園市立美術館の国際的なネットワークが証明されたと同時に、協力候補となる美術館やキュレーターの多様性が高まったと言える。また、選考の過程を通して、台湾国内のアーティストたちを発掘することができ、彼らが外国のアーティストと交流を持つ場が得られた」。
今回の受賞作品を含む15点の入選作品は、3月21日~4月30日までTaoyuan Arts Center(桃園展演中心)で展示中。展覧会情報や関連イベントについては、桃園市立美術館の公式ウェブサイトで確認できる。
なお次回の桃園国際芸術賞は、2023年末に発表される予定だ。今後も定期的な国際交流の取り組みとして継続していく本アワード。日本のアーティストたちもぜひ注目してみてほしい。