2025.3.19

ギャルリーためながでロレンツォ・フェルナンデスの個展が開催。超写実的に描かれた身近なモチーフが真理を問う

東京・銀座のギャルリーためながで、身近なモチーフを超写実的に描きながら世の中の真理を問う、ロレンツォ・フェルナンデスの個展が開催される。会期は3月22日~4月20日。

ロレンツォ・フェルナンデス
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 東京・銀座のギャルリーためながで、身近なモチーフを超写実的に描きながら世の中の真理を問う、ロレンツォ・フェルナンデスの作品約40点を展示する個展が開催される。会期は3月22日~4月20日。

 ロレンツォ・フェルナンデスは1970年スペイン・マドリード生まれ。14歳からスペイン伝統のバロック絵画を学び、1993年にはコンセプチュアル・アートの第一人者であるペドロ・カルヴァンに師事。2006年のギャルリーためながパリでの初個展を皮切りに、世界各国のアートフェアに参加。作品は美術館や財団に収蔵されるなど、世界中から高い評価を受けている。

ロレンツォ・フェルナンデス 美しさを超えて / ヴィーナスの誕生 57×76cm

 フェルナンデスの作品を前にすると、まずその写真と見間違えるかのような画面に目を奪われるが、魅力はそこだけにとどまらない。モチーフは身近なものでありながら、その姿形や色彩、全体の構図にいたるまで、一つひとつに象徴的な意味が込められている。注意深く見てみると、非現実的な焦点のぼかしや、複数の視点を組み合わせた構図が取り入れられていることにも気づくだろう。フェルナンデスはこの技巧的な脚色を用いることで、世界の奥深くに潜む真実を浮かび上がらせようと試みているのだ。

ロレンツォ・フェルナンデス 孤独への恐れ / ミノタウロス 120×120cm

 今回展示される、ギリシャ神話にインスピレーションを得たという新作は、変化の激しい現代社会において、神話の時代から変わることのない「普遍的な真実」に迫ろうというフェルナンデスの試みだ。

 例えば《孤独への恐れ / ミノタウロス》では、牛とゴリラの玩具をミノタウロスに見立てている。貝殻は彼が閉じ込められている迷宮を囲む海、毛糸玉は脱出を手引きするアリアドネの糸、そして使われなくなった電信機はコミュニケーションの断絶を表している。本作には、深い孤独の瞬間にも救済と希望が存在していることが描きこまれているといえるだろう。

 このように本展では、フェルナンデスの作品に込められたメッセージを考察し、ときに自分自身の心の奥深くを見つめる時間を過ごすことができるだろう。そこでは新たな発見や、自分なりの人生の答えを得ることができるかもしれない。

ロレンツォ・フェルナンデス 芸術は心を豊かにするのだろうか 70×100cm

 また、本展の開催に際し、ロレンツォ・フェルナンデスが11年ぶりに来日を果たす。3月22日にはレセプションが開催され、誰もが作家と直接交流できる貴重な機会となる。さらに、本展の出展作を含む47点を収録したカタログも同画廊より刊行される。

ロレンツォ・フェルナンデス アートピア 84×56cm