東京ステーションギャラリーで初のコレクション展が開幕。100点でたどる30年間の歴史
東京駅の北ドームに位置する東京ステーションギャラリーが、1988年の開館以来初となるコレクション展「鉄道絵画発→ピカソ行 コレクションのドア、ひらきます」を12月16日から開催する。
東京ステーションギャラリーは1988年4月に東京駅丸の内駅舎に開館。2006年からの長期改修工事を経て、2012年に現在のかたちとしてリニューアルオープンした。
開館展の「JR美術展」以来、140本の企画展を開催してきた同館だが、12月16日から開催される「鉄道絵画発→ピカソ行 コレクションのドア、ひらきます」はその収蔵品を一堂に展示する初の展覧会となる。
同館のコレクションは、88年の美術館開館後から収集が始まったもので、過去に開催した展覧会の中で出品作を購入し、細々と積み上げてきたという。またコレクションには、運営母体である東日本鉄道文化財団が購入したものや、JR東日本の関連会社から購入した作品なども含まれている。
「鉄道絵画発→ピカソ行 コレクションのドア、ひらきます」と題された本展では、同館所蔵品の中から日本画、洋画、写真、現代美術など領域を横断して60名以上、約100点の作品が展示される(展示替えあり)。
展示構成は「鉄道絵画」「都市と郊外」「人」「抽象」「ピカソ」の5章構成。
とくに注目したいのが、東京駅や線路のある風景など、鉄道にまつわる作品の数々が展示された「鉄道絵画」セクションだ。
ここでは、写真家・本城直季が東京駅を独自の方法で撮影した《small planet tokyo station》(2004)や《new tokyo station》(2012)をはじめ、中西夏之らが62年に山手線で行った「山手線のフェスティバル」の様子を収めた村井督侍の《「山手線のフェスティバル」ドキュメンタリー写真》(1962/1999)、鉄道ダイヤグラム(運行表)を絵画に落とし込んだ中村宏の「鉄道ダイヤグラム」シリーズなどを紹介。
アーティストたちが、いかに鉄道や駅に対して多様なアプローチをしてきたかを垣間見ることができる、もっとも東京ステーションギャラリーらしいコレクションと言えるだろう。
このほか、「都市と郊外」では三瀬夏之介による水墨画の《エディプスの子》(2011)や登山愛好家でもある中村一美が山形の月山をテーマに描いた《月山ー東補陀落》(2001-02)など、大作も多数出品。「人」ではイケムラレイコや森村泰昌、小林正人らが、「抽象」では元永定正や辰野登恵子、加納光於、李禹煥(リ・ウーファン)らが並ぶ。
また、最終章では同館が所蔵するパブロ・ピカソの作品全4点を展示。企画展とは異なる、幅広いコレクションを持つ東京ステーションギャラリーのもう一つの顔を堪能できる機会となっている。