身近で遠い「身体」をデジタルテクノロジーで問う。東京都が設置する「SusHi Tech Square」で「わたしのからだは心になる?」展が開催
東京都が推進する「Sustainable High City Tech Tokyo = SusHi Tech Tokyo」の一環として、8月30日、東京・丸の内にオープンする「SusHi Tech Square」。本施設の1階で、8組のクリエイターによる第1期展覧会「わたしのからだは心になる?」展がスタートする。
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東京都が「持続可能な新しい価値」を生み出すために推進する「Sustainable High City Tech Tokyo = SusHi Tech Tokyo」。その一環として8月30日、東京・丸の内に「SusHi Tech Square」がオープンする。
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この「SusHi Tech Square」の1階「Space」では、オープニングとなる第1期展覧会として8組のクリエイターによる「わたしのからだは心になる?」展がスタートする。参加アーティストはAlternative Machine、神楽岡久美、筧康明+赤塚大典+吉川義盛、小鷹研究室 as 注文の多いからだの錯覚の研究室、Synflux、ソンヨンア+鳴海拓志+新山龍馬+勢井彩華、ノガミカツキ、花形槙。クリエイティブディレクターを田尾圭一郎が、キュレーターを塚田有那が務める。
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本展は「身体」をテーマとしており、「機会と身体」「バーチャルな身体」「社会のなかの身体」「環境と身体」の4つのゾーンから「身体」のなかにある多様なイメージを表現している。
まずは「機会と身体」での展示作品を見ていきたい。観察対象としての身体にアクセスするための体験装置としてインスタレーションを展開するのは、小鷹研究室 as 注文の多いからだの錯覚の研究室だ。鏡とディスプレイによって自身の身体が奇妙なかたちとして映し出される《ボディジェクト指向#03〈変身〉》や、手に取ったイラストに描かれた行動とまったく同じ行為をしていることに気づかせる《あなたは今、しています。A3/A6》が、訪れる人々の身体を様々なかたちで認知させる。
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筧康明+赤塚大典+吉川義盛の《Air on Air <forest / sea / city>》は、マイクに息を吹きかけると、山、海、都市の3つの遠隔地にある装置からシャボン玉が飛び、その様子をモニターで確認できる装置だ。コロナ禍で生まれたというこの作品は、身体と外の世界をつなぐデバイスとなっている。
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ソンヨンア+鳴海拓志+新山龍馬+勢井綾華の《Puff me up!》は、遠くにいる家族や友人の動作や会話を伝えてくれる、柔らかい分身ロボットだ。遠隔地の他者の息づかいや会話を、自身の身体と密着させることで感じることができる。硬質なものが多いウェアラブルな伝達装置に柔らかさという概念を与えて、より身体と密接な関わりを持つ存在に発展させている。
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「バーチャルな身体」では、近年普及したVRの世界を取り扱う作品が展示される。ノガミカツキ《仮想支配》は、VRに没入した結果、生身の身体が持つ物理的な制約を感じる事例に着目した作品。こうした身体感覚が侵食される状況を、VRの身体によってなんとか克服しようと試みるパフォーマンス型作品だ。
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Synfluxの《WORTH Customizable Collection:KEMONO》は、メタバースの世界におけるアバタースキンを提供することで、仮想空間における自己とファッションの関係を問いかけるもの。「KEMONO」と名づけられたスキンは、周囲の環境との接続を試みながら、新たな生命のあり方を探る。
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「社会のなかの身体」では、社会における身体の扱われ方の変化をテーマとした作品が並ぶ。花形槙による《Uber Existance》は、飲食等の代行サービスである「Uber Eats」のごとく、人間の存在そのものを代行するサービスをパフォーマンスとして見せるものだ。会場では企業ブースのようにこのサービスをプレゼンテーションするパネルのほか、サービスを体験した人々の声を展示。現代社会における労働や使役とそこにある生身の身体について問いを投げかける。
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神楽岡久美の《美的身体のメタモルフォーゼ》は、纏足、コルセット、現代の写真加工文化など、身体をつくり替えて美的な身体を求めてきた人類の歴史をテーマとした作品。古今東西、様々な地域で行われてきた身体改造の歴史を紹介しつつ、未来の身体をつくるための器具を展示することで、将来訪れる環境の変化にも対応する新たな美の価値観を提案している。
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最後となる「環境と身体」は人間の身体もまたその一端を担う、生態系についての作品を紹介。人工生命の研究を行うalternative machineの《Enabling Relations》は、人間のインターネットにおける交流と同様に、植物や昆虫同士のネットワークを生態系とともに構築する試みだ。都内23ヵ所から採取した土に光や水を与え、どういった生態系が生まれるかを実験。また、葉と葉が触れ合うことで植物がコミュニケーションするという学説をもとに、植物の中に流れる電気や扇風機による風を流し、その再現を試みる。
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本展ではこれらのテーマに沿った作品のほか、特別展示として早稲田大学基幹理工学部表現工学科橋田朋子研究室の「バグ」についての研究を紹介。また、関連展示として独立行政法人東京都健康長寿医療センターの心身のフレイル(虚弱状態)予防の研究と、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターがアシストモーション社と共同開発した歩行支援ロボテックウェア「curara」が紹介されている。
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なお、会場の中央には中央には「プレイグラウンド」が設置され、展覧会を見た人々が提示されたテーマを考える場として、そしてその刺激を受けながら仕事をする場としても機能している。
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もっとも身近な存在でありながら、時代とともに変化が求められ続ける「からだ」。その未来のかたちを体感できる展覧会となっている。