2025.1.22

「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」(PLAY! MUSEUM)開幕レポート

東京・立川のPLAY! MUSEUMで、デザイナー、アートディレクター、絵本作家として活躍した堀内誠一を3つのテーマから紹介する展覧会「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」がスタートした。会期は4月6日まで。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より、「FASHION」
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 東京・立川のPLAY! MUSEUMで、「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」がスタートした。会期は4月6日まで。キュレーションは林綾野。

 堀内誠一(1932〜87)は、デザイナー、アートディレクター、絵本作家。『anan』や『BRUTUS』『POPEYE』など雑誌のロゴマーク、また『anan』においては創刊時のコンセプトづくりやアートディレクションを手がけ、ヴィジュアル雑誌の⻩金時代を築いた人物だ。58年以降は、初の絵本『くろうまブランキー』 の刊行を皮切りに、70冊を超える絵本を手がけ、挿絵も数多く描いた。73年から81年にかけて家族とともにパリ近郊に移住し、ヨーロッパを中心に世界を巡り、旅行記やガイド本を出版。また著書に『父の時代 私の時代』(マガジンハウス)、編著書に『絵本の世界・110 人のイラストレーター』(福音館書店)などがあり、著述家・絵本批評家としても活動した。

 本展は、「FASHION」「FANTASY」「FUTURE」といった3つのテーマで構成され、セクションごとに、有山達也、設計事務所ima、三宅瑠人・岡崎由佳の各組が展示空間をデザインを担当。3つの個性的な堀内誠一展を同時に体験することができるものとなっている。

展示風景より

 まず「FASHION」のセクションでは、堀内が創刊から49号までアートディレクションを担当した『anan』がずらりと並ぶ。ファッションに加えて、食や旅行、音楽、アートなど様々なカルチャーシーンを鮮やかかつ自由にレイアウトした誌面は、当時「革命的」であったという。会場の壁面には当時のトレンドを伝える誌面が拡大展示されているため、内容も要チェックだ。

展示風景より、「FASHION」
展示風景より、「FASHION」

 「FANTASY」セクションでは、堀内が手がけてきた絵本のなかから『てがみのえほん』や『くろうまブランキー』『オズの魔法使い』など、9つの作品をピックアップして紹介している。原画の展示はもちろんのこと、設計事務所imaによる螺旋構造の空間設計が、鑑賞者を堀内が描いた絵本の世界観へと誘う。あたかもこびとになって本のなかに入っていくようなこの体験は、子供のみならず大人も楽しめる演出だろう。

展示風景より、「FANTASY」
展示風景より、「FANTASY」
展示風景より、「FANTASY」

 最後の「FUTURE」のセクションでは、堀内と生前交流があったアーティストやクリエイターら100人が推薦する堀内作品がコメントともに一堂に会する。「私の好きな堀内さん」と題されたこの展示は、様々な視点から堀内のすがたを映し出すものでもあり、その活躍はいまを生きるアーティストやクリエイターにも大きな影響を与えていることが伝わる内容となっている。

展示風景より、「FUTURE」

 なお、併設されているブックカフェでは展覧会にあわせたオリジナルメニューが提供されるほか、上階のPLAY! PARKでも堀内の絵本作品をモチーフにしたワークショップや遊具も登場。この機会にぜひ家族や友人とも足を運んでみてほしい。