空想と現実を行き来する摩訶不思議な世界。アルフレックス東京で網代幸介の作品展「Sally」が開催中
古代文明や神話、寓話などから影響を受け、独自の物語を題材とした作品を制作している網代幸介。その作品展「Sally」が恵比寿・アルフレックス東京で開催されている。会期は8月10日まで。
アートとインテリアの心地よい関係を提案する企画「LIFE with ART project」のもと、ジャンルも表現も様々なアートイベントを開催しているアルフレックスジャパン。今回は、恵比寿・アルフレックス東京で国内外から注目を集める画家・網代幸介(あじろ・こうすけ)の作品展「Sally」が開催されている。
網代は1980年東京都生まれ。空想と現実を行き交いながら想像上の人物や生き物を細部まで書き込んだ絵画や立体作品、アニメーションなどを国内外で発表している。これまで絵本『サーベルふじん』(小学館)、『てがみがきたな きしししし』(ミシマ社)、作品集『Barbachica』(SUNNY BOY BOOKS)を出版してきた。
本展では、「網代が創造し続けた『サリー王朝』の品々」を紹介。サリー王朝について、本展のステートメントで次のように述べている。
「サリー王朝」は前100年から中世まで栄えた文明です。その王朝話は、神話などに描かれてきましたが、近年の発掘により、サリー王朝は実在することがわかったのです。サリーは元は人間で占い師、設計士でした。彼女は王の命で天までそびえる巨大な塔を建設しましたが、それが天上の神ロロの逆鱗に触れ、塔は破壊され、王朝は一度滅亡しました。サリーは民を引き連れ、新たな地に「サリー王朝」を築きました。やがて自らを地上の神と名乗り、ほかの神々を崇拝することを禁じました。ロロは再び激怒し、かみなりの矛で世界を真っ二つにしてしまいました。こうして、天上(楽園)と地上(現実)二つの世界が誕生し、神々と人間を交えた争いは王朝が滅亡するまでつづいたのです。
展覧会では、このサリー王朝をテーマにした2023年の最新作《サリーの誘惑》をはじめ、王朝話にまつわる様々な場面が描かれた大作《きみの夢わたしの夢》(2022)や木彫作品《サリー像》(2023)、木パネルに描かれた《ヘンリーとマリー》(2019)などを展示。ダークな雰囲気をまといながらも、どこか愛らしくユーモラスな網代の作品を、ぜひ会場で堪能してほしい。