EXHIBITIONS

サラ・アンスティス「Bath」

2025.03.05 - 04.05

Sara Anstis Bath 2024 Pastel on paper Unframed : 39.5 x 32 cm Photo by Stephen James. Courtesy of the artist, Kasmin and Perrotin.

 ペロタン東京で、サラ・アンスティスによる個展「Bath」が開催されている。

 サラ・アンスティスはスウェーデン・ストックホルムに生まれ、ソルトスプリング島で育つ。2013年にコンコルディア大学(モントリオール、カナダ)でスタジオアートおよび社会学の学士号を、2016年にヴァランド・アカデミー(ヨーテボリ、スウェーデン)でファインアートの修士号を取得。2018年には、ロイヤル・ドローイング・スクール(ロンドン、イギリス)でドローイング・イヤー・ポストグラジュエート・プログラムを修了した。

 アンスティスがつくり出す情景には、多くの場合ヌードの人物たちが、動物たちとともに親密に交わりあう姿が描かれる。ここに示される世界観は、美術史の文脈に照らして見ることで部分的に読み解くことができる。アンスティスの想像的な世界には、シュルレアリスム運動の影響が見られるが、彼女の関心はさらに遠い過去にも広がり、その源流から視覚表現や主題の着想を得ている。中世や初期ルネサンスを思わせる具象的な表現は、20世紀半ばの色彩理論や幾何学的抽象を想起させる象徴主義的な要素や色調と融合している。

 展覧会タイトル「Bath」は、美術史の長い系譜から様々なイメージを想起できるが、アンスティスは「浴室」をローマ的な意味合いでとらえることで、日常的な浴槽から硫黄の香り漂う冥界へとイメージを展開。日常から地獄へ、そして再び日常へと導くこのつながりは、すべてを包み込み、飲み込み、惑わすヴィジョンを持つ作家の存在そのものでもあるという。

 油彩画とドローイングで構成される本展は、アンスティスにとって同廊で初めての個展となっている。