EXHIBITIONS

二人展:熊倉涼子、平田尚也

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熊倉涼子 On the Revolutions of the Heavenly Spheres 2024 キャンバスにアクリル、油彩 60.6 × 72.7 cm

 Satoko Oe Contemporaryで「二人展:熊倉涼子、平田尚也」が開催されている。

 熊倉涼子(1991〜)、平田尚也(1991〜)は、それぞれ「絵画」「彫刻」とメディアは異なるが、ともにデジタル技術を用いながら制作している作家たちだ。

 熊倉は、自身で設定したテーマに沿った画像や言葉、史実、虚像などを掻き集め、それらをパソコン上で引きあわせ配置させたのち、それをもとに実際にモチーフを作成、絵画を制作している。

 平田は、熊倉と同様に主にアッサンブラージュ(寄せ集め)の手法で、PCの仮想空間に構築した彫刻作品を現実世界に投影し発表。投影の方法は多岐にわたり、映像、ゲーム、レンチキュラー、3Dプリンターなどを用いて出力・展示されるが、時にHMDを装着するVR作品もあり、物理空間に仮想空間の彫刻作品を召喚する上記の方法とは逆に、「仮想の身体」を通して作品と対峙させることによって、人新世における新たな存在との向きあい方を模索してきた。

 両作家は、それぞれがパソコンの画面上、または仮想空間内の解像度と、現実世界での解像度の差異について懐疑的、もしくはそこが魅力的だと考えているかのように、次元のあいだを行きつ戻りつしながら制作している。それぞれが目視しているパラレルワールドのような状況(環境)を、いっぽうは絵画に、他方は彫刻に写し取ろうとする姿を、現実の場所(物理空間)で同居させてみたらどのように見えるのかという思いから本展は企画された。