EXHIBITIONS

歓待としてのキュレーション 成果展「渋谷で『いきいき』生きるためのレシピ」

渋谷リバーストリート
2025.03.29 - 03.30
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メインヴィジュアル

 渋谷リバーストリートで、"クリエーションの原点に出会う、学びの集積地"を掲げるGAKUと、インディペンデント・キュレーターの池田佳穂によるアートキュレーションをテーマにしたクラス「歓待としてのキュレーション」の成果展「渋谷で『いきいき』生きるためのレシピ」が開催される。

 同クラスのメイン講師をつとめた池田は、キュレーターメッセージとして次のように述べている。

「絶えず変容を続け、多様なシーンを育んできた都市、渋谷。本企画は、様々な文化や人々が交差する渋谷で、自分らしくあることを大切にしながら、『いきいき』と過ごすための文化的実践を『レシピ』として共有するプラットフォームです。『レシピ(recipe)』とは、本来、料理のつくり方や材料を記した指示書を指し、手順を共有することで新たな発見や創造へとつながるものです。その語源はラテン語の『recepta(受け取るもの)』にあり、古くは医師が処方箋を書く際にも用いられていました。本企画では、この『レシピ』という概念を拡張し、都市での多種多様な過ごし方や文化的実践を各キュレーターが記録・共有する手段として活用します。

 2022年に開催された大規模国際展『ドクメンタ15』では、『ラーニング(学び)』と『シェア(共有)』を核としたキュレーションが展開され、美術史において、キュレーションの枠組みを広げ、社会/アート/オーディエンスの関係性を再考させるものとなりました。本企画もまた、文化的実践の共有を通じて、学びが個人にとどまらず、都市や社会へと接続し、新たな関係性や行動を生み出す契機となることを目指します。

 さらに舞台は、ギャラリーのようなホワイトキューブ空間ではなく、『渋谷』そのもの。オーディエンスは、この都市を行き交うすべての人々です。異なる背景を持つ人々が双方向のコミュニケーションを通じて気づきを得る体験が生まれ、渋谷という都市を改めて見つめ直すきっかけとなることを期待しています」(プレスリリースより)。

「歓待としてのキュレーション」では、キュレーションを歓待、言い換えると「新しかったり異質だったりするアイデアや存在を迎え入れることで、未来を拓くこと」とした。

 クラスでは、メイン講師の池田に加え、Chim↑Pom from Smappa!Groupの林靖高、都市生活者の基本的人権として「ピクニック権」を主張する東京ピクニッククラブを主宰する建築家の太田浩史、インドネシアのアートコレクティブ・ruangrupaや山口情報芸術センターYCAMでキュレーターを務めるレオナルド・バルトロメウスとともに、都市を舞台としたアートキュレーションを学んだ15名の10代たちが参加。

 半年間の活動を経ての成果展となる本展は、「渋谷で『いきいき』生きるためのレシピ」と題された。本展では、「渋谷でいきいきと過ごす」ための時間や空間の使い方(文化的実践)が、「レシピ」として提案。渋谷リバーストリートの会場を「メインキッチン」と見立て、そこでは、それらのレシピの閲覧や解説が可能となっている。またその場所を拠点とし、来場者は、街を舞台にした「レシピの実演」をワークショップ形式で行なうことができる。

 会場では、鑑賞体験に重きを置かず、プログラムに参加体験し、来場者同士で創造的な交流をすることで都市との関係を紡ぎ直す。ここでは、近年注目を集めるラーニングの視点を取り入れたキュレーション方法が採られる。開催中は、15名の生徒とともに池田とレオナルドが現地に滞在予定だ。

 なお、本展は、渋谷ストリーム内で開催予定の「Shibuya Slow Stream」の連動企画として開催される。