デイヴィッド・シュリグリー「CLARITY: IT IS VERY IMPORTANT」

　デイヴィッド・シュリグリーの個展「CLARITY: IT IS VERY IMPORTANT」がユミコチバアソシエイツで開催されている。

　シュリグリーは1968年イギリス・マックルズフィールド生まれ。軽妙なドローイングや絵画、彫刻、パブリック・アートのほか、多くの書籍の出版や雑誌上での風刺画の連載、またミュージックビデオやアニメーションの制作、グッズの販売など、コンテンポラリー・アートの世界を超えて幅広く活動している。今年、ビジュアルアートへの貢献により大英帝国勲章（OBE）を受賞した。

　シュリグリーの活動は、ブラックユーモアを孕んだ作品世界によって一貫している。簡潔なイメージに組み合わされたシンプルなフレーズは、可笑しみだけでなく、ときに悲哀をも感じさせる。シュリグリーのつくり出す脱力感のある作品は、従来のアートが備えていたシリアスさと一線を引くものでありながら、アートの可能性を拡張するものであるとも言える。

　シニカルなユーモアによって、芸術的な制度や規範にアイロニカルに介入しつつ、同時にポップ・カルチャーとアートを横断する。シュリグリーの特異な活動は、世界を少しずつ脱臼させ、私たちの日常に変容をもたらす。

　本展を通して、多彩なアプローチでアートの拡張を図るシュリグリーの作品世界を体感してほしい。