門外不出の北斎肉筆画コレクションが高精細複製画となって来日。すみだ北斎美術館で展示へ
多数の日本美術を所蔵し、その門外不出のコレクションで知られるアメリカ・ワシントンD.C.のスミソニアン協会フリーア美術館。同館が所蔵する葛飾北斎の肉筆画の高精細複製画13点が、東京のすみだ北斎美術館に来日する。会期は6月25日から8月25日。
スミソニアン協会フリーア美術館は、1923年にアメリカのワシントンD.C.に設立されたスミソニアン博物館群のひとつ。実業家チャールズ・ラング・フリーア(1854〜1919)が収集した美術品をはじめ、隣接するアーサー・M・サックラー・ギャラリーも合わせて、日本美術の収蔵品数は約1万2700点におよび、なかでも葛飾北斎の肉筆画は世界屈指のコレクションを誇っている。
このフリーア美術館所蔵の北斎肉筆画が、高精細複製画となって来日することが明らかになった。
同館のコレクションは、フリーアの遺言によりすべて門外不出。その方針は現在も守られている。そこで今回、特定非営利活動法人京都文化協会とキヤノン株式会社が推進している社会貢献活動で文化財の高精細な複製品を手がける「綴プロジェクト(文化財未来継承プロジェクト)」が、同館所蔵の北斎肉筆画13点の高精細複製画を制作。全点が墨田区へ寄贈され、すみだ北斎美術館での展示が決定した。
展示されるのは、六曲一双の屏風《玉川六景図》や《雷神図》《年始まわりの遊女図》《十二ヶ月花鳥図》など。これらの作品を、5つの章に分けて、すみだ北斎美術館が所蔵する北斎作品約130点とともに展示。肉筆画の高精細複製画《波濤図》と、すみだ北斎美術館所蔵の版画《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》の波の表現を比較展示するなど、最先端のデジタル技術と本物の作品を並べることで、北斎芸術の神髄に迫ることを目指す。