「ミュシャと日本、日本とオルリク」が千葉市美術館で開催。チェコ出身のふたりの版画家と日本をめぐる物語とは?
チェコ出身のふたりの版画家、アルフォンス・ミュシャとエミール・オルリク。ジャポニズムの時代に出発した両者の作品に光を当て、グラフィックを舞台に展開した東西の影響関係を検証する展覧会「ミュシャと日本、日本とオルリク」が、千葉市美術館で開催される。会期は9月7日〜10月20日。
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現在もBunkamuraザ・ミュージアムで「みんなのミュシャ展」が開催されるなど、不朽の人気を誇るアルフォンス・ミュシャ(1860~1939)。そんなミュシャと、同じくチェコ出身の版画家エミール・オルリク(1870~1932)のふたりを中心に、グラフィックならではの東西の芸術交流の様を検証する展覧会「ミュシャと日本、日本とオルリク」が千葉市美術館で開催される。
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右:エミール・オルリク ポトロフスキー手袋店 1897 宇都宮美術館蔵
ミュシャはジャポニズム(日本趣味)に湧くパリで、女優サラ・ベルナールが出演する演劇のポスター《ジスモンダ》(1894)を手がけたことをきっかけに、ポスター作家として一躍名を馳せる。その評判は日本にも伝わり、ミュシャの描く女性像が雑誌『明星』で紹介。藤島武二や中沢弘光といった画家たちに大きな影響を与えた。
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いっぽうオルリクはドイツで絵を学び、ベルリンやウィーンでジャポニズムの潮流に触れながら日本への憧れを募らせた。そして1900年から翌年にかけて来日し、浮世絵版画を学んで多色刷りの木版画を制作。帰国後は多くの後進を木版制作に導いたほか、滞日中に手がけた石版画は「白馬会展」に出展され、創作版画の雑誌『方寸』に集った作家たちを刺激したことでも知られている。
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本展では、こうした1900年前後のグラフィックを介したジャポニズムとその還流を、400点を超える版画やポスターで展観。上記のふたりに加え、ミュシャの工房で働いたチェコを代表するグラフィック・デザイナーであるヴォイチェフ・プライシグやウィーン分離派の画家たち、そして日本の雑誌『明星』『方寸』周辺の作品を見ることができる。
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