前衛美術の一大個人コレクション。兵庫県立美術館「山村コレクション展」に注目
兵庫県立美術館で、「ICOM 京都大会開催記念 集めた!日本の前衛-山村德太郎の眼 山村コレクション展」が開催中だ。約20年ぶりの展覧会となる本展では、企業家・山村德太郎が収集した戦後日本の前衛美術の作品群が一堂に会する。
兵庫県西宮市に在住していた企業家・山村德太郎(1926〜86)が収集した戦後日本の前衛美術の作品群は、「山村コレクション」として山村の没後、兵庫県立近代美術館(当時)へ68作家167点が一括収蔵された。このコレクションを紹介する展覧会「ICOM 京都大会開催記念 集めた!日本の前衛-山村德太郎の眼 山村コレクション展」が開催中(〜9月29日)だ。
山村は戦後間もない1948年に山村製壜所所長となり、55年には山村硝子株式会社取締役社長となった。この頃より、母ハルとともに美術作品の収集を開始。当初は国内外のモダンアートを集めていたが、母の死を機に、66年、収集品のうちジョアン・ミロら海外作家の大作7点を国立西洋美術館に寄贈、以後、コレクションの収集対象を日本の戦後美術にシフトさせた。
「アブストラクト(=抽象)と人間くさい前衛のはざ間」を収集方針としていた山村は、具体美術協会の作家たちや、当時の若手作家などの作品を収集。そのなかには、吉原治良、斎藤義重、田中敦子、元永定正、白髪一雄、高松次郎、吉村益信、篠原有司男らの名前を見ることができる。
山村の没後、「山村コレクション」展は兵庫県立近代美術館(1989、1997)、千葉市美術館(1996)の3回が開催。いずれも100点前後の出品点数だったが、今回はそれを大きく上回る約140点で構成されている。
会場は3章構成。山村がどのように作品を集めコレクションを形成していったのかという収集過程を関係者への聞き取りや文献資料などから読み解き、作品収集の物語を展覧会で提示する。