光そのものをどのように知覚するか。イズマイル・バリーの個展「みえないかかわり」が銀座メゾンエルメス フォーラムで開催
写真や映画の原理を用いた視覚実験や、儚い現象や痕跡に着目した作品を手がけるアーティストのイズマイル・バリー。その個展「みえないかかわり」が、銀座メゾンエルメス フォーラムで開催される。会期は10月18日〜2020年1月13日。
イズマイル・バリーは1978年生まれ、現在はパリとチュニジア・チュニスを拠点とする。2000年代末から活動をはじめ、映像を中心にドローイングやサウンドで、目に見える事物や知覚そのものの儚さを問う作品を手がけてきた。日本では2018年に「第10回恵比寿映像祭」に参加したほか、今年の「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」では、二条城の御清所(おきよどころ)をカメラ・オブスキュラに見立てた作品を発表した。
そんなバリーの個展「みえないかかわり」が、銀座メゾンエルメス フォーラムで開催される。会期は10月18日~2020年1月13日。
ゲスト・キュレーターを務めるのは、ブリュッセルのギャラリー「ラ・ヴェリエール」のキュレーターであるギヨーム・デサンジュ。本展は、同ギャラリーで開催されたバリーの個展「ゆらぎの風景、微かな仕草」(2018)で試みた、知覚への実験的なアプローチを継続するかたちで展開される。
バリーはこれまで最小限の状況設定と身振りに基づき、予期しないアクシデントや事物のディティール、瞬間的な変化によって作品をつくり上げてきた。本展では、銀座メゾンエルメスの建築を一種の光学装置として扱い、新作の映像を中心にオブジェ、ドローイングなど異なる形式の作品で構成。視覚を抽象化した装置の内外から「光そのものをどのように知覚するか」を問いかける。
直感的な試みから湧き上がりながらも、精緻な論理に基づく実験と観察で、時間枠を拡張したある異なる地平へと導くバリー。ガラスブロックが特徴的な建築と共存する、光と陰の「みえないかかわり」に注目したい。