2020.5.26

国立国際美術館など3つの美術館が共催。「言葉が通じない」展が香港の大館で開幕

香港のアートセンター・「大館(タイクン)」が企画・運営し、大阪の国立国際美術館とシンガポール美術館のコレクションを中心に構成する展覧会「言葉が通じない」が、5月25日に大館で開幕した。加藤翼や白髪一雄などによる23点の作品や、関川航平、高山明によるふたつの新たなコミッション作品が展示されている。

展示風景より、高山明《McDonald’s Radio University(Hong Kong edition)》(2020)
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 香港のアートセンター・「大館(タイクン)」と大阪の国立国際美術館、シンガポール美術館が共催する展覧会「言葉が通じない」(They Do Not Understand Each Other)が、5月25日に大館で開幕した。

 本展は、大館が企画・運営し、国立国際美術館の主任研究員・植松由佳とシンガポール美術館のキュラトリアルディレクターであるジューン・ヤップが共同でキュレーションをしたもの。それぞれ北東アジアと東南アジアの現代美術を中心にコレクションを形成している国立国際美術館とシンガポール美術館のコレクションのなかから、加藤翼や白髪一雄、チャールズ・リム、ミン・ウォンなどによる23点の作品や、関川航平、高山明によるふたつの新たなコミッション作品が展示されている。

展示風景より、手前は加藤翼《言葉が通じない》(2014)

 本展のタイトルは、加藤翼のヴィデオインスタレーション作品《言葉が通じない》(2014)に因んだもの。同作では、加藤は初対面の韓国人男性と単純作業を共同で行うことを試み、相手の言語を理解できないながらも、どうにかして意思疎通の手段を見だそうと模索している。​​​

 大館のアート部門長であるトビアス・ベルガーは、オンラインで行われた記者会見で次のように語っている。「本展は、アジアの2大美術館のコレクションのなかでもっとも現代的な作品を見るまたとない機会です。この2館とも、写真やヴィデオ、パフォーマンスアートの優れたコレクションを持っており、アジアの美術館のなかでコレクション構築の最先端にあります」。

展示風景より、手前はアグネス・アレラーノ《Haliya Bathing》(1983)

 いっぽう、植松はこう続ける。「本展は、文化交流について語るものです。文化交流とは、完全な理解ではなく、独自の視点で対話することです。これらの作品を通じ、我々はどうにかしてお互いを理解するか、またアートはどのように文化交流の一翼を担っているかを問うとともに、他者と関わる手段や相互理解をうながす可能性を提示することを試みます」。

 また本展の開幕とともに、限界と制約について問いかけた展覧会「My Body Holds Its Shape」も大館で幕を開いた。同館のウェブサイトでは、オンラインでのバーチャルツアーもこれから公開予定だ。

展示風景