福田美蘭やジャコメッティの作品も。豊田市美術館のコレクション展「VISION | DISTANCE いま見える景色」で「距離」について考える
今年開館25周年を迎えた豊田市美術館はこれを記念し、通年でコレクション展「VISION」を開催。10月からは「DISTANCE いま見える景色」を共通タイトルとして、2つのテーマで所蔵作品の展示を全館で行う。同館の軌跡をたどるとともに、昨今の新型コロナウイルス感染拡大の状況を受け、距離の感覚を呼び起こす作品が展示される。会期は10月17日~12月13日。
今年度、豊田市美術館では、開館25周年を記念して「VISION」と題したコレクション展を通年で開催中。今期は「DISTANCE いま見える景色」を共通タイトルとして、2つのテーマで所蔵作品の展示を全館で行うという。
同館は、1995年の開館以来、国内外の近現代美術やデザイン、工芸を対象に収集活動を行ってきた。これには、一作家複数作品の収蔵を旨として、国内作家が積み重ねてきた仕事をたどりつつ、欧米の重要動向をまとめてコレクションすることで、国内外のつながりや対比を際立たせる狙いがある。
そのような作品相互の連関や参照のネットワークを培う重要な機会として、展覧会を企画・開催してきた同館。展示の前半部は「豊田市美術館25年のあゆみー展覧会ポスターとコレクション」とテーマを設け、これまでに開催してきた展覧会の約70枚のポスターと、グスタフ・クリムトやシュルレアリスムの作家たちをはじめ、ジュゼッペ・ペノーネ、奈良美智などの諸動向の核となる所蔵作品を並べる。開館から25年の間に探ってきた作品との出会い方を見つめ直す機会となる。
また後半部では「距離のたのしみ-所蔵作品にみる遠近の感覚」をテーマに展示を構成。昨今の新型コロナウイルス感染拡大により、距離が否応なく意識されるようになっていることを受け企画されたものだという。同館の所蔵作品に依りながら、遠くを思うことや近くを見つめ直すこと、あるいは状況によって変化する遠近の感覚について探る試みだ。
見る者の遠近感を軽やかに反転させる福田美蘭の絵画や、距離を彫刻に持ち込んだアルベルト・ジャコメッティの胸像、時空間をいかに把握するか問いつづけた若林奮の彫刻など、距離の感覚を呼び起こす作品を豊富に展示。様々な距離を連想させる作品に触れながら、いま一度遠さや近さについて洞察を深めたい。