最後の印象派と称される画家。シダネルとマルタンをともに紹介する国内初展覧会が山梨県立美術館で開催
19世紀末から20世紀前半のフランスで活動したアンリ・ル・シダネルとアンリ・マルタン。ふたりをあわせて紹介する初の展覧会「シダネルとマルタン展 最後の印象派」が山梨県立美術館で開催される。会期は11月3日〜2022年1月10日。
フランスで19世紀末から20世紀前半にかけて活動したアンリ・ル・シダネル(1862〜1939)とアンリ・マルタン(1860〜1943)。ふたりの画家をあわせて紹介する初の展覧会「シダネルとマルタン展 最後の印象派」が、山梨県立美術館で開催される。会期は11月3日〜2022年1月10日。
シダネルはインド洋のモーリシャス島生まれ。18歳でパリに出て、アレクサンドル・カバネルの画塾に入り、国立美術学校にも入学。しかし、美術学校よりも印象派の画家たちから強い影響を受け、繊細な光の描写を身につけた。マルタンとは新協会(ソシエテ・ヌーヴェル)の創設に参加している。田舎町のジェルブロワやヴェルサイユで、庭のテーブル、バラに覆われた塀、月夜の街角といった身近な情景を、優しい光に包まれた神秘的な雰囲気で描いたことで高く評価されている。
いっぽうのマルタンは、南フランスのトゥールーズの家具職人の家に生まれた。19歳でパリに出てジャン=ポール・ローランスに学んだほか、25歳のころにイタリア留学をしてジョットなど初期ルネサンスの影響を受けた。帰国後は点描技法に取り組み、1890年代からは神話や寓意をモチーフとした象徴主義的な作品を描いている。マルタンはとくに大画面の装飾壁画に優れ、パリの国務院やベジエ商工会議所といった公共建造物の壁画を多く手がけた。
ふたりは新印象派の豊かな色彩や点描といった印象派や新印象派の表現を継承しつつ、19世紀末に広がった象徴主義的な世界観や、家族や自邸の情景といった身近なものを情感を込めて描くアンティミスト(親密派)の顔をもった画家だ。本展はこのふたりの画家に焦点を当て、印象派の表現を受け継いだ光と色彩の表現を一挙に見ることができる国内初の試みとなる。