2023.2.17

マリー・ローランサンから仲條正義名作展、うららか絵画際まで。今週末に見たい展覧会ベスト8

今週開幕/閉幕する展覧会から、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

展示風景より、手前は《青と黒の帽子をかぶった少女》
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長期休館前最後の展覧会。「マリー・ローランサンとモード」(Bunkamura ザ・ミュージアム)

展示風景より、手前は《帽子の乙女》

 生誕140年を迎えたマリー・ローランサンの画業と、様々な才能がジャンルを超えて交錯することでパリ・モードの世界を堪能できる展覧会「マリー・ローランサンとモード」が、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中。同館の長期休館前最後の展示となる。会期は4月9日まで。

 本展では、モードやファッションという切り口からローランサンの作品を紹介するとともに、同時期に活躍し、ともに自由な時代を生きる女性の代表的存在だったココ・シャネルに関する資料も多数展示。モダンとクラシックが絶妙に融合する両大戦間のパリの様相を俯瞰する構成になっている。レポートはこちら

会期:2023年2月14日~4月9日
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:00〜18:00(金土〜21:00) ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:3月7日
料金:一般 1900円 / 大学・高校生 1000円 / 中学・小学生 700円 / 未就学児は無料

三菱商事が目指す次世代のアーティストの育成と自立。「三菱商事アート・ゲート・プログラム2021-2022 支援アーティスト6組による新作展」(代官山ヒルサイドフォーラム)

female artists meetingイベント《girls night out》の様子(2019)

 メンタリングを取り入れた独自のプロセスにより、継続的なアーティスト支援を実施する三菱商事の「三菱商事アート・ゲート・プログラム(MCAGP)」。その支援アーティスト6組による展覧会が、東京・代官山のヒルサイドフォーラムにて2月26日まで開催されている。

 MCAGPは2008年にスタートし、アーティストの支援・育成を行ってきた。21年にはそのプログラムを「育成」を重視したものへと大幅にリニューアル。3つの異なるキャリアステージ「スカラシップ」「ブレイクスルー 」「アクティベーション」にあわせ、学生には奨学金、若手及び中堅アーティストには資金援助だけでなくラーニングやメンタリングを取り入れ、2年にわたるサポートを行っている。

 今回代官山で作品を発表するのは、「ブレイクスルー」の支援アーティストである飯島暉子、泉桐子、岡本秀、小山渉、衣真一郎、female artists meetingの6組。支援期間中のリサーチや実験の過程から生まれた新作の展示とアーティスト・トークを通して、「身体」や「精神」「自然と人間の関係性」など、アーティストがそれぞれとらえる関心やテーマに対する思考と創作のプロセスが紹介されている。

会期:2023年2月15日〜26日
会場:代官山ヒルサイドフォーラム
住所:東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟
開館時間:11:00〜19:00(最終日〜17:00) ※最終入場は30分前まで 
休館日:会期中無休
料金:無料

完成された美や自身を疑い、壊す。「仲條正義名作展」(クリエイションギャラリーG8)

個展「スタジオ」出品作品 1973

 時代への鋭い感性とアバンギャルドなデザインで40年以上続いた、資生堂企業文化誌『花椿』のアートディレクションや資生堂パーラーのパッケージ、東京都現代美術館のロゴで有名なアートディレクター、デザイナーの仲條正義(1933〜2021)。その数々の名作のなかから選りすぐりを展示する「仲條正義名作展」が東京・銀座のクリエイションギャラリーG8で開催中だ。会期は3月30日まで。

 クリエイションギャラリーG8での仲條の展覧会は14年ぶり。本展では、過去の展覧会の出品作品のほか、仲條の手がけたポスター、ロゴ、エディトリアル、パッケージなどから作品を厳選。手描きの印刷原稿、仲條語録や文章も紹介することで、完成された美や自身を疑い、壊すところから新しい表現に向かって挑み続けた、仲條の88年にもおよぶデザイナー活動を振り返る。

会期:2023年2月16日〜3月30日
会場:クリエイションギャラリーG8
住所:東京都中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F
開館時間:11:00~19:00
休館日:日祝
料金:無料

ルーヴル美術館の名作を8Kで鑑賞。「8Kだから見えてくる ルーブル美術館 空間を超えた映像アート体験」(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC])

「8Kだから見えてくる ルーブル美術館 空間を超えた映像アート体験」 2023年2月14日(火)〜2月26日(日) NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] Coproduction 8K NHK - Musée du Louvre

 貴重な文化財や美術品などを超高精細映像の8K技術を利用して記録、保存、活用する取り組みの一環として、NHKとNTTインターコミュニケーション・センター [ICC]の共催企画「8Kだから見えてくる ルーブル美術館 空間を超えた映像アート体験」がスタートした。会期は2月26日まで。

 本企画は、ルーヴル美術館の至宝である《ミロのヴィーナス》《サモトラケのニケ》《モナ・リザ》などの名作を、325インチ(横 7200ミリメートル×高さ 4050ミリメートル)LED8Kモニターで投影。現地でもなかなか見ることが難しい彫刻のディティールや絵の具のニュアンス、筆のタッチ、表面に起こるひび割れなどを肉眼で鑑賞できるのがポイントだ。レポートはこちら

会期:2023年2月14日〜26日
会場:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
開館時間:11:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前 
休館日:2月20日
料金:入場無料(日時指定予約制)

アートと技術の対話はどこまであり得るか。恵比寿映像祭2023「テクノロジー?」(東京・恵比寿)

展示風景より、荒木悠《仮面の正体 海賊盤》(2023)

 映像をめぐる様々な選択肢に目をむけ、「映像とは何か」を問い続ける国際フェスティバル「恵比寿映像祭2023」が東京・恵比寿の東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイス センター広場、地域連携各所ほかで2月19日まで開催されている。

 15回目の開催を迎える本映像祭では、16の国と地域から125組、146名の作家が参加する。写真や映像、ビデオ、アニメーションなど、高精細で情報量の多いイメージの制作がテクノロジーによって生み出され日常の一風景となった21世紀において、多種多様な映像表現の実践を検証。アートと技術との対話の可能性を考察し、「映像とは何か」という問いをより深めていくことが目的だ。レポートはこちら

会期:2023年2月3日~2月19日(15日間)
会場:東京都写真美術館 / 恵比寿ガーデンプレイスセンター広場 / 地域連携各所ほか 
開館時間:10:00~20:00(2月19日〜18:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月 
料金:入場無料 ※一部のプログラムは有料、オンラインによる日時指定予約推奨

ウェンデリン・ファン・オルデンボルフが幕を開ける。個展「柔らかな舞台」(東京都現代美術館)

展示風景より、《彼女たちの》(2022)

 映像作品や映像インスタレーションの技法を用いて、文化や政治に根付く課題に問いや批評を提示するオランダの現代アーティスト、ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ。その代表的な映像作品から新作までの6点を展示する個展「柔らかな舞台」が東京都現代美術館で2月19日まで開催中だ。

 ファン・オルデンボルフは、映像作品や映像インスタレーションを対話構築の契機とし、約20年以上にわたり実践的な表現を続けてきた。その作品は、文化的・政治的な社会問題を取り上げるとともに、登場するクルーがテーマについて対話する過程で発露する主観性や視座、関係性をとらえることで、鑑賞者の思考との「交差」を促すというものだ。

 本展は植民地主義、ナショナリズム、家父長制、フェミニズム、ジェンダーの問題に対するファン・オルデンボルフの様々なアプローチを示す映像作品で構成。会場入口でヘッドフォンを受け取り、各作品を巡るという少し特殊な鑑賞体験を味わうことができる。レポートはこちら

 なお、同時開催されている「MOTコレクション コレクションを巻き戻す 2nd」も2月19日まで。同チケットで鑑賞できるため、こちらもあわせてチェックしてほしい。

会期:2022年11月12日~2023年2月19日
会場:東京都現代美術館 企画展示室3階
住所:東京都江東区三好4-1-1
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月 
料金:一般 1300円 / 大学生・専門学校生・65 歳以上 900円 / 中高生 500円 /小学生以下無料(本展チケットでMOTコレクションも鑑賞可)

絵画表現の多様性を楽しむ芸術祭。「うららか絵画祭」(東京・根津)

神農理恵 dog(big) 2021 鉄、油性塗料、アクリル 撮影=髙木遊

 東京・根津の谷根千エリアを中心に、ギャラリーやお寺、カフェなど全9ヶ所で「うららか絵画祭」が開催中。多様化する現代の絵画表現をあえて定義せず、鑑賞者にその表現の幅広さを知って、楽しんでもらうことが目的となる。会期は2月19日まで。

 本芸術祭は、各会場にそれぞれのアーティストやキュレーターが集い、作品や展示空間を制作。会場独自の考え方やスタイルが特徴であり、各キュレーターの感覚や専門領域をもとにした「絵画観」から選定されたアーティストらが、多種多様な絵画作品との出会いを創出している。

 参加キュレーターは飯盛希、伊藤結希、HB、髙木遊、ときめき絵画道、布施琳太郎、三宅敦大。

 参加アーティストは、石毛健太、小倉孝俊、加藤泉、金玄錫、小林正人、城田圭介、神農理恵、髙木彩圭、多田恋一朗、谷口洸、都築拓磨、中根唯、那須佐和子、西原彩香、平田守、堀田ゆうか、本山ゆかり、山田悠太朗。

会期:2023年2月4日~19日 ※一部会場により異なる
会場:The 5th Floor ほか台東区内8カ所
電話番号:090-3552-0551
開館時間:10:00~18:00 ※一部会場により異なる
休館日:水
料金:フリーパスチケット 1500円 / 高校生以下無料(Akira Taniguchi Contemporary、The 5th Floor、HB. Nezuにてチケット提示、その他会場無料)

⽣誕100周年記念。「元永定正:さんかくまるしかく」(ファーガス・マカフリー東京)

元永定正 The Shape of the White Line(原題:しろいせんのかたち) 1993

 画家・絵本作家、元永定正(1922〜2011)の⽣誕100周年を記念した展覧会「元永定正:さんかくまるしかく」が東京・北青山のファーガス・マカフリー 東京で2月19日まで開催中。

 マンガ家としての訓練を積み、1940年代後半に雑誌や新聞などのイラストを描き⽣計を⽴てていた元永は、具体美術協会(具体)へ初期会員として1955年に参加。吉原治良、⽩髪⼀雄、村上三郎ら具体第⼀世代のアーティストたちとともに、第⼆次世界⼤戦後、実験的な芸術、⾃由、個性の精神を打ち⽴てた。

 本展では、1990年から99年にかけて制作された作品14点が紹介されている。

会期:2022年11月26日〜2023年2月18日
会場:ファーガス・マカフリー東京
住所:東京都港区北青山3-5-9
電話番号:03-6447-2660
開館時間:11:00〜19:00
休館日:日月祝