エマイユ(釉薬)と身体の関わりを表現。銀座メゾンエルメス フォーラムで7人のグループ展が開催
エルメス財団が自然素材をめぐる職人技術や手わざの再考、継承、拡張を試みる書籍『Savoir & Faire 土』(岩波書店)を出版。これを記念して関連する7人のアーティストによるグループ展「エマイユと身体」が銀座メゾンエルメス フォーラムで開催される。
エルメス財団は、自然素材をめぐる職人技術や手わざの再考、継承、拡張を試みる「スキル・アカデミー」の一環として、書籍『Savoir & Faire 土』(岩波書店)を出版する。本書はアクト・スッド社とエルメス財団の共同編集による仏語版『Savoir & faire La terre』(2016)から選ばれたエッセイやインタビューの翻訳と、日本の作家による8つのオリジナルテキストやインタビュー、ポートフォリオが掲載される予定だ。
この書籍の刊行を記念し、銀座メゾンエルメス フォーラムでは、関連する陶芸作品を集めたグループ展「エマイユと身体」を開催する。会期は6月17日~9月17日。
本展では、陶芸に用いられ、火と空気によってガラス質へと変容するエマイユ(釉薬)に注目しながら、粘土と身体の関係を考察する。参加アーティストはシルヴィ・オーヴレ、ジャン・ジレル、内藤アガーテ、ユースケ・オフハウズ、小川待子、フランソワーズ・ペトロヴィッチ、安永正臣。
作家はそれぞれ、エマイユがもたらす色彩や効果を用いながら、身体を見つめて作品を制作。ジャン・ジレルは風景画で、光沢豊かな表面を持つ動物を制作するフランソワーズ・ペトロヴィッチ、灰や骨の物質感を重視した造形を行う安永正臣、日常をフェティッシュな箒で表現したシルヴィ・オーヴレなどはその典型となる。
また、エマイユの被膜効果は人間の皮膚やその下の内面を想起させる。ユースケ・オフハウズは自分の記憶だけを頼りに小さな建築物を建て、内藤アガーテはセラミックを自身が隠れるものとして用いる。小川待子は大地や水に還元されるかのような白い地層をつくりだす。
エマイユに刺激された作家たちがつくり出す、独特の世界を体感できる展覧会となりそうだ。