2024.2.14

「AOMORI GOKAN アートフェス 2024」で栗林隆《元気炉》が5館を巡回展示へ

青森県内にある美術館・アートセンター(青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館)を中心に、初開催される「AOMORI GOKAN アートフェス 2024」。その5館共通企画が決定した。

栗林隆 元気炉 2022 (《蚊帳の外》ドクメンタ15、ドイツ・カッセル)より Photo by Rai Shizuno
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 今年4月より開催される青森県の新たなアートフェスティバル、AOMORI GOKAN アートフェス 2024「つらなりのはらっぱ」(4月13日〜9月1日)で、栗林隆《元気炉》が巡回展示される。

 同フェスは、2020年から「5館が五感を刺激する―AOMORI GOKAN」プロジェクトを発信してきた青森県内の5つの美術館・アートセンター(青森県立美術館青森公立大学 国際芸術センター青森弘前れんが倉庫美術館八戸市美術館十和田市現代美術館)が、「つらなりのはらっぱ」をテーマに連携する初の試み。特定のディレクターは置かず、青森にという地域に根差して活動する各館のキュレーターが協働。展覧会やプロジェクト、パフォーマンスなど、それぞれの館の特徴を活かした多様なプログラムを企画し、新たな美術館のネットワークを探ろうというものだ。

 5館ではそれぞれ、「かさなりとまじわり」(青森県立美術館、4月13日〜9月29日)、「currents / undercurrents-いま、めくるめく流れは出会って」(青森公立大学 国際芸術センター青森(ACAC)、4月13日〜9月29日)、「蜷川実花 with EiM:儚くも煌めく境界」&「弘前エクスチェンジ #06 『白神覗見考』」(弘前れんが倉庫美術館、4月6日〜9月1日)、「エンジョイ!アートファーム!!」(八戸市美術館、4月13日〜9月1日)、「野良になる」(十和田市現代美術館、4月13日~11月17日)が開催される(各企画の詳細はこちら)。

岩根愛 The Opening 2022
参考図版 蜷川実花 花、瞬く光 2022 ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery
参考図版 永田康祐 Purée 2020

 これに加え、5館での共通展示となるのが栗林隆の《元気炉》だ。栗林は、国際美術展や各地の芸術祭など、世界を舞台に作品を発表するアーティストで、自然と人間、社会をとりまく様々な「境界」をテーマに作品を制作してきた。2022年のドクメンタ15にも出品され注目を集めた《元気炉》が、アートフェス後半の8月から最終日にかけて、5つの開催館を巡回する。

 《元気炉》は、原子炉の形状をした構造物に薬草の香りを帯びた蒸気を発生させて、観客が中に入って体験することが可能な作品。本作は、作家がかつてタイに赴いた折、その土地で採取されるハーブを用いたスチームサウナによって、体調不良だった体にエネルギーを取り戻したという経験に由来するもので、2011年の東日本大震災後に再認識した原発事故の恐ろしさと、持続性の高い自然エネルギーや再生可能な社会に向けた提案とを重ね合わせた構造となっている。原子炉を模した作品の内部空間や周囲に人々が集い、植物のエネルギーを感じることのできる本作は、アートフェスのテーマである「つらなりのはらっぱ」を体現するように、ここに集った人々が、みえざる境界線をまたいで、世界との新たな関係性を構築する機会を生み出す。

 展示スケジュールは8月9日〜11日(青森県立美術館)、8月14日〜15日(青森公立大学 国際芸術センター青森)、8月18日、19日、21日(八戸市美術館)、8月24日〜25日(十和田市現代美術館)、8月28日〜9月1日(弘前れんが倉庫美術館)。ぜひこの機会に作品の中に入る体験をしてほしい。

 なお、5つの美術館・アートセンターで開催する本フェスのメイン企画を鑑賞できる、公式ガイドブック付き周遊チケット(3700円)は2月14日より数量限定で発売。スタンプラリー&パスポート付きの公式ガイドブック(1300円)が3月13日に販売開始となる。

ガイドブック