2024.11.19

ミュシャの芸術世界に没入する。展覧会「グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ」が渋谷ヒカリエで開催へ

アルフォンス・ミュシャの作品が最先端のプロジェクション技術で蘇る没入型展覧会「グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ」が、渋谷ヒカリエにて開催される。会期は12月3日〜2025年1月19日。

パリ展会場風景 © 2024 Mucha Trust-Grand Palais Immersif
アルフォンス・ミュシャ 絵画―連作「四芸術」より(部分) 1898 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 © 2024 Mucha Trust
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 Bunkamura ザ・ミュージアムは、Bunkamuraの休館(オーチャードホールを除く)に伴い、渋谷ヒカリエにて「グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ」を開催する。会期は12月3日〜2025年1月19日。

 本展は、2023年にパリで開催された「Éternel Mucha」を日本向けにアレンジした没入型展覧会であり、アール・ヌーヴォーを象徴するアルフォンス・ミュシャ(1860〜1939)の芸術世界を最先端の技術と五感で体感できるものだ。

会場イメージ © 2024 Mucha Trust-Grand Palais Immersif -Bunkamura

 ミュシャは19世紀末から20世紀初頭にかけてパリで活躍し、その優美な曲線や花々に彩られた女性像がアール・ヌーヴォーの代名詞となった。その作品は、モダニズムとエレガンスの象徴として、現在も多くの人々を魅了し続けている。本展では高解像度のプロジェクションを駆使し、ミュシャの代表作や人生を新しい視点で楽しめるよう構成されている。

 第1章では、アール・ヌーヴォー期の作品や1900年のパリ万博での活動、晩年の《スラヴ叙事詩》を取り上げ、映像を通じてミュシャの創作の旅路を追う。とくに《スラヴ叙事詩》は、スラヴ民族の歴史を壮大なスケールで描いた連作であり、その制作に18年を費やしたミュシャの集大成だ。本章では、これらの作品が没入感のある映像空間で再現され、訪れる者に圧倒的な視覚体験を提供する。

パリ展会場風景 © 2024 Mucha Trust-Grand Palais Immersif
アルフォンス・ミュシャ 連作「四芸術」より(部分) 1898 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 © 2024 Mucha Trust

 さらに、会場では視覚だけでなく「香り」の演出も施されており、ミュシャの故郷やアトリエ、さらには彼の作品に登場する花々をイメージした香りが漂う。これにより、五感を通じてミュシャの世界を味わうことができる。

 第2章では、ミュシャの生涯と思想をより深く掘り下げる。挿絵本『主の祈り』やホログラムで再現されたミュシャの姿が登場し、彼の声とともに作品に込められた哲学を感じることができる。また、第3章では、ミュシャのアトリエを再現し、制作過程やモデル写真、筆を動かす音など、世紀末の創作環境を体感する仕掛けが用意されている。

パリ展会場風景 © 2024 Mucha Trust-Grand Palais Immersif
アルフォンス・ミュシャ ルヤーナ島のスヴァントヴィート祭―連作「スラヴ叙事詩」より 1912 キャンバスに油彩、テンペラ ミュシャ財団蔵 © 2024 Mucha Trust

 第4章では、サラ・ベルナールとの協働によるポスター作品やミュシャの独自の様式が紹介される。3Dアニメーションを駆使した映像演出により、作品が現実の俳優と融合し、ポスターの人物像が動き出すかのような臨場感を生み出している。

パリ展会場風景 © 2024 Mucha Trust-Grand Palais Immersif
アルフォンス・ミュシャ 夢想(部分) 1898 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 © 2024 Mucha Trust

 また、第5章ではミュシャの影響力に焦点を当て、その作品が1960年代のサイケデリック・アートや日本の少女マンガに与えた影響を探る。波津彬子や天野喜孝など現代のアーティストたちが語るインタビューと映像を交え、ミュシャの芸術がどのようにして多くの人々にインスピレーションを与え続けているのかが紹介される。

 日本での初上陸を果たした「永遠のミュシャ」展。ミュシャの作品に新たな視点を提供すると同時に、その普遍的な魅力を多くの人々に再確認させる場となるだろう。

パリ展会場風景 © 2024 Mucha Trust-Grand Palais Immersif
アルフォンス・ミュシャ 冬―連作「四季」より(部分) 1900 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 © 2024 Mucha Trust