浮かぶ岩の群れ。石上純也が「サーペンタイン・パビリオン2019」のデザインを発表
2000年より毎年、世界的な建築家にデザインを依頼するロンドン・サーペンタイン・ギャラリーのプロジェクト「サーペンタイン・パビリオン」。2019年は、日本人建築家・石上純也がそのパビリオンのデザインを手がけることがわかった。
2018年、パリのカルティエ現代美術財団で初の大規模個展を開催した建築家・石上純也が「サーペンタイン・パビリオン」のデザインを発表した。
ロンドンのケンジントン・ガーデンズに位置する美術館「サーペンタイン・ギャラリー」は、2000年以降毎年、世界的な建築家にデザインを依頼する夏季限定のカフェ兼休憩所、サーペンタイン・パビリオンを設営している。これまでザハ・ハディドをはじめ、伊東豊雄やレム・コールハース、SANAAなど世界的な建築家がパビリオンのデザインを手がけてきた。
今回、伝統的な建築スタイルと自然の風景を融合した実験的な構造を生みだすことで知られている石上は、大量のスレートを用いて、張り出し屋根が公園の地面から現れるようなかたちのパビリオンをデザイン。これは、石上が「屋根」からインスピレーションを得たもの。パビリオンの内部の洞窟のような空間には瞑想の場所がつくりだされており、それは人工の構造と自然の風景との調和という石上の「自由空間」の哲学を表している。
石上はデザインについてこう語っている。「私のデザインは、自然の風景を背景にした建築環境の視点を体現しています。まるで芝生から生まれたかのような自然で有機的な感触を強調し、岩でできた丘のように見えるでしょう。これは伝統的な建築を現代の方法論と概念で補足する試みであり、これまで誰も見たこともないほどの広大な風景をつくりだします。スレート屋根の重さがありながらも、それはそよ風の中で吹き飛ばそうに軽く見えて、布がたわむように、散らばる岩の群れが浮揚しています」。
なおサーペンタイン・パビリオンの展示期間中には、ルチタ・ハータドやフェイス・ギングゴールドの個展や、アート、建築、音楽、映画、ダンスなどの分野の専門家が空間にあわせた新作を発表する「パーク・ナイツ」など様々なプログラムが行われる。それらもあわせてチェックしてほしい。