京都市京セラ美術館、こけら落としは杉本博司展。20年度ラインナップにはウォーホル展や「平成の美術」展も
2020年4月4日にリニューアル・オープンを目指している京都市京セラ美術館(京都市美術館)のオープニング・ラインナップが公表された。こけら落としには、同館のコレクションを紹介する「京都の美術 250年の夢」と、現代美術家・杉本博司による個展「杉本博司 瑠璃の浄土」が開催される。
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2020年3月21日にリニューアル開館を迎える京都市京セラ美術館(京都市美術館)。そのオープニング・ラインナップが発表された(2020年3月13日追記:開館は4月4日に延期)。
京都市京セラ美術館は、京都市と京セラ株式会社と「京都市美術館ネーミングライツに関する契約書」を締結したことで実現した愛称。館長にリニューアルの設計を手がけた建築家・青木淳が就任したことでも話題を集めている(4月1日付、任期2年)。
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京セラ美術館は、これまでの本館に加え、現代美術などを展示するための新館「東山キューブ」、新進作家を中心に発信する「ザ・トライアングル」、収蔵品を展示する「コレクションルーム」などの展示スペースを新たに備え、これまで以上に多様な美術を発信することを目指す。
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開館記念展は京都の美術と現代美術
開館記念展「京都の美術 250年の夢」(〜12月6日)では、同館のコレクションの核である「京都の美術」を全国から集めて展示。文化庁をはじめ、宮内庁三の丸尚蔵館、東京国立博物館、京都国立博物館、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、東京藝術大学大学美術館などから出品される、伊藤若冲、曾我蕭白、円山応挙、竹内栖鳳、上村松園、堂本印象といった作家たちの400点を超える作品を、3部構成で紹介する。
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これに加え、新館「東山キューブ」では、杉本博司の個展「杉本博司 瑠璃の浄土」を6月14日にかけ開催。ゲスト・キュレーターを三木あき子が務める。
かつて6つの大寺院が存在していた京都・岡崎。その地に立つ京都市京セラ美術館のリニューアルするにあたり、杉本は「仮想の御寺の荘厳」を構想するという。
本展では、世界初公開となる大判のカラー作品シリーズ「OPTICKS」や、ガラスにまつわる様々な作品や考古遺物を展示。「瑠璃」「浄土」「偏光色」をキーワードに、杉本の創作活動について考えるととともに、「浄土を追求してきた日本人の心の在り様」を見つめ直すとしている。
杉本はこの構想について、「現代と中世、何が変わったかというと浄土感。死に対する荘厳さが変わった、死に対して無関心になってしまった」と語り、そのメンタリティの変化、現代人にとって浄土とは何かを展覧会を通じて見せるという。
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また杉本は新館に隣接する日本庭園に、ガラスの茶室《聞鳥庵(モンドリアン)》を設置。同作が日本で公開されるのはこれが初めてとなる。
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(C)Hiroshi Sugimoto. Architects: New Material Research Laboratory / Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida. Originally commissioned for LE STANZE DEL VETRO, Venice / Courtesy of Pentagram Stiftung & LE STANZE DEL VETRO
2020年度のラインナップ
京都市京セラ美術館ではこれらのほか、2020年度に「THE ドラえもん展 KYOTO 2020」(7月4日〜8月30日)、「ANDY WARHOL KYOTO/アンディ・ウォーホル・キョウト」(9月19日〜2012年1月3日)、「平成の美術 1989-2019(仮称)」(2021年1月23日〜4月11日)を開催。
日本では6年ぶりの大規模個展となる「ANDY WARHOL KYOTO/アンディ・ウォーホル・キョウト」では、アンディ・ウォーホル美術館(アメリカ)の所蔵品から、1950年代の初期作品をはじめ、60年代のキャンバス作品、晩年の作品など約200点を展示する。なお巡回はない。
また「平成の美術 1898-2019(仮称)」は美術批評家・椹木野衣が企画・監修。1989年から2019年まで30年間にわたり続いた「平成」年間を、現代美術という切り口で振り返る。
なお12月21日から始まるプレオープニングのイベントとして、鬼頭健吾による2つのインスタレーション展示や、高橋匡太による本館のライトアップなども実施される。
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