森美術館が2020年以降の展覧会スケジュールを発表。Chim↑Pom展、女性アーティスト展などが開催へ
東京・六本木の森美術館が2020年度以降に開催予定の展覧会スケジュールを発表。片岡真実を館長に迎えた新体制で4つの企画展を予定している。
2020年1月1日、新館長として片岡真実(現森美術館副館長兼チーフ・キュレーター)が就任することが明らかになった東京・六本木の森美術館。新体制としてスタートする同館が、2020年度以降に開催予定の企画展の内容を発表した。
STARS展:現代美術のスターたち ― 日本から世界へ
まず、2020年4月23日〜9月6日に行われるのは、「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」。日本という枠を越えて広く国際的に活躍し、今日、多様な地域や世代から高い評価を得るアーティスト6名を選び、その軌跡を初期作品と最新作を中心に紹介する本展には、草間彌生、李禹煥(リ・ウーファン)、宮島達男、村上隆、奈良美智、杉本博司の6名が参加する。
彼らの実践は世界からいかに評価されてきたのか。国境や文化を越えた普遍的な課題の追求、伝統や美学、テクノロジーやサブカルチャーなど、日本固有の社会的、文化的、経済的背景を踏まえて探るとともに、1950年代から今日まで、海外で開催された主要な日本現代美術展に関する資料も展示し、各時代の評価軸や系譜を検証する。
ヘザウィック・スタジオ展
52階の東京シティビュー・スカイギャラリーでは、2020年4月8日〜6月14日にかけ、建築展では4年ぶりとなる個展「へザウィック・スタジオ展」を開催する。
1970年イギリス生まれのトーマス・へザウィックが94年に創立したヘザウィック・スタジオは、ロンドンを拠点に世界各地で革新的なプロジェクトを手がけるデザイン集団だ。ものや場所の歴史を理解し、多様な素材を研究し、伝統的なものづくりの技術に敬意を表しながら、最新のエンジニアリングを駆使。そのなかで自然環境と対話し、大きな空間もヒューマンスケールに還元しながら、鮮烈なアイデアを実現してきた。本展では、同スタジオの主要プロジェクトを、「ひとつになる」「みんなとつながる」「彫刻を体感する」「都市空間で自然を感じる」「古い建物を未来へつなげる」「遊ぶ、使う」という6つの観点から掘り下げる。
アナザーエナジー展:創造しつづける女性アーティスト(仮題)
戦後、現代美術の分野では、男性中心の視点で書かれた歴史や芸術の解釈、あるいは評価についての疑問が生まれ、今日、ジェンダー・イクオリティ(男女平等)の運動はグローバルな議論へと発展し、芸術の領域を遙かに越えて拡大し続けている。そんななか、1950年代後半から70年代にキャリアをスタートしてから現在まで、精力的に活動を続ける女性アーティストたちに、いま大きな注目が集まっている。
本展は、美術館や市場の評価に関わらず、ただひたすら独自の創作活動を続けてきた女性アーティストに注目。アナ・ボグィギアン、リリ・デュジュリー、ベアトリス・ゴンザレス、スーザン・レイシー、三島喜美代、 ロビン・ホワイトら世界各地で活動する70歳代以上の女性アーティスト約15名の多様な実践を紹介する。会期は2020年10月1日〜2021年1月3日。
Chim↑Pom展(仮題)
アーティスト集団「Chim↑Pom」の個展は、2021年4月22日〜8月22日に開催される。Chim↑Pomは2005年、東京都にて結成。メンバーは卯城竜太、林靖高、エリイ、岡田将孝、稲岡求、水野俊紀からなり、独創的なアイデアと卓越した行動力で、数々のユニークなプロジェクトを手がけてきた。
彼らの作品の主題は都市、消費主義、飽食と貧困、日本社会、原爆、 震災、スター像、メディア、境界、公共など多岐にわたり、ユーモアや皮肉の感じられるメッセージ性の強い作品が特徴。2008年には広島の原爆ドーム上空に「ピカッ」という文字を飛行機で描き、2011年には東日本大震災と津波、原子力発電所事故を主題にした連作を発表するなど、核や放射能に言及する作品を発表。直近では、2019年のマンチェスター国際芸術祭で、19世紀に同地で流行したコレラとビールの歴史的関係をテーマにした大型の参加型プロジェクトを発表するなど、その活動の領域はますます拡がり続けている。 初期から近年までの代表作と新作を一堂に集めて紹介する本展は、結成16周年を迎えるChim↑Pomの活動の全貌を展覧会という形式で検証する世界初の試みとなる。