2024.9.7

もうすぐ開幕。「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2024」の注目ポイントは?

アジアをコンセプトとしたアートフェア「ART FAIR ASIA FUKUOKA」が9回目の「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2024」を9月20日〜22日の会期で開催。今回の注目トピックスをまとめてお届けする。

エコ・ヌグロホ Nowhere is My Destination (1)(2) 2019 キャンバスにアクリル 2335×6413mm ©Eko Nugroho
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 アジアをコンセプトとしたアートフェア「ART FAIR ASIA FUKUOKA」。その9回目となる「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2024(以下、AFAF2024)」が9月20日〜22日の会期で開催。福岡国際センターがメイン会場となる今回の注目ポイントをまとめてお届けする。

 5000平米超の会場特性を活かした2フロアの立体的なブースとなる今回。個性豊かなギャラリーが集まる「Galleries」、企業・学校等の団体による「Collaboration」では、国内外から約100の出展者が選りすぐりの作品を紹介する。そのなかで、AFAFのコンセプトである「アジア」「福岡・九州」に関わりのあるアーティストや、国内外で活躍するアーティスト10名に焦点を当てるのが「Focus」だ。「Focus」のアーティストは 、Ayako Someya(東京画廊+BTAP)、井口麻未(Gallery CONTAINER)、浦川大志(Contemporary HEIS)、岡崎実央(Gallery Seek)、クゥワイ・サムナン(小山登美夫ギャラリー)、塩田千春(ケンジタキギャラリー)、徐永旭(SAN Gallery)、タワン・ワトゥヤ (nca | nichido contemporary art)、中島麦(YUMEKOUBOU GALLERY)、福嶋さくら(ギャラリー広田美術)がラインナップされている。

井口麻未 今日の装い60人 2023 麻にアクリル 116.7×116.7cm
クゥワイ・サムナン Human Nature 2010‒2011 デジタルCプリント 120×180cm ©Khvay Samnang, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

 世界的なアートコレクターとして知られるAFAF2024 スペシャルアドバイザー・宮津大輔がアジアのアーティストの作品をキュレーションする「Leading Asia」では、「Never Ending Story(終わりなき物語)」をテーマに12作品を展示。シンガポール・ビエンナーレを皮切りに、アジア各国で数多くの展覧会へ参加するタイの広木兼太郎や、世界中の関心を集める環境問題に取り組むカンボジアのコン・シデン、ディアスポラをテーマにダッカ・アート・サミットなどで精力的に作品を発表するマレーシアのガン・チン・リーといったアジアの最旬アーティスト達による注目の作品を、日本で初めて展示・販売する。

 また。パブロ・ピカソやアンリ・マティス、田中敦子など評価の確立したアーティストの名品を集めた「AFAF Masters」など、特別なブースも展開予定だ。  

広木兼太郎 Calbee Ebisen Prawn Crackers, Calbee THAILAND 2024 デーラーラウニー95 GSMにカランダッシュ・ルミナンス 6091、グラファイト 14.5×13.5×4.5cm

 今回、AFAF初の試みとして、アジア及び福岡で活躍する2人のアーティストに焦点を当てる「AFAF Feature」が実施。アジアからはインドネシアを代表するアーティストであり、福岡アジア美術館アーティスト・イン・レジデンスの2024年度招聘作家(期間:2024年8~9月)であるエコ・ヌグロホを、福岡からは第2回福岡アートアワード市長賞を受賞した福岡を拠点に活動するアーティストのソー・ソウエンが特別ブースで紹介される。またAFAF開催前の9月15日には、「中洲ジャズ2024」で福岡を拠点に活動するアーティスト、銀ソーダのライブペインティングも開催予定だ(18時頃から福博であい橋にて)。

ART FAIR ASIA FUKUOKA 2023サテライトイベント「Painting for Sky」銀ソーダのライブペインティングの様子

 サテライト会場での特別企画・展示にも注目だ。 九州の空の玄関口「福岡空港」では、エコ・ヌグロホの壁画《Nowhere is My Destination》を、9月18日〜23日の期間展示。また福岡の海の玄関口「博多港」にある博多ポートタワーでは、9月20日のBAYSIDE FESTIVAL 2024 のオープンイベントにて、プロレスをモチーフとした作品を多く制作する岡崎実央によるライブパフォーマンス(19:00〜22:00)が行われる。

 なお、AFAF2024にあわせ、Fukuoka Art Next 推進委員会(福岡市アートのまちづくり推進担当)による「FaN Week 2024」が9月14日〜29日で開催。 AFAF20024開催中は、フェアのチケットを提示すると、福岡アジア美術館の「福岡アジア美術館開館25周年記念コレクション展 ベストコレクションⅡーしなやかな抵抗」「福岡アジア文化賞受賞記念 キムスージャ展 」、福岡市美術館の「コレクターズⅢ ーTurning the Worldー」「西日本シティ銀行コレクション展」「 福岡市美術館開館45周年・リニューアル5周年記念 新収蔵品公開 モナ・ハトゥム 《 +と- 》」「企画展 あらがう」のほか、すべての常設展示が無料で鑑賞できる。またArtist Cafe Fukuoka/福岡城跡を会場とする「福岡城アートプロジェクト 福岡城跡電磁盆踊り」「福岡城アートプロジェクト」「福岡現代作家ファイル2024 第22回 福岡アジア美術館 アーティスト・イン・レジデンスの成果展 空と地のはざまで」も楽しめる。

 AFAF2024と合わせて、アート一色に染まる福岡のまちを巡る絶好の機会となるだろう。

福岡市美術館
撮影=山中慎太郎(Qsyum!)
福岡アジア美術館

 なお、今年は九州最大のウイスキーの祭典「ウイスキートーク福岡」と連携し、アート x シングルモルトウイスキーのコラボレーションとして「AFAF Private Bottle Series」もスタート。「福岡・九州」や「アジア」と関わるアーティストの作品をラベルにあしらったプライベートボトルを展開する。第1回の今年は、戦後の日本美術史に大きな足跡を遺した福岡の巨匠・野見山暁治(1920〜2023)と、120年以上の歴史を持つスコッチウイスキーであるグレンマレイがコラボレーション。野見山が101歳のときに描いた《今からのはなし》(2022)がラベルとしてボトルを飾る。プライベートボトルは130本の限定で、8月下旬よりAFAF公式サイトの特別ページより予約販売を開始。AFAF会場でも、エントランスに展開予定の「Bar Higuchi×AFAF」コーナーにて数量限定で提供される予定だ。

「AFAF Private Bottle Series #1 (2024) 野見山暁治『今からのはなし』グレンマレイ 2007 700ml』ラベル」