福岡市美で13メートルの白壁をつかった企画展。「田中千智展 地平線と道」が開催中
福岡市美術館で「田中千智展 地平線と道」が開催されている。個展の会期は3月21日まで、壁画の展示は2025年12月末まで行われる。
福岡市美術館で、2019年の同館改修時に誕生し、2020年にKYNE《Untitled》が描かれたことで、大きな注目を集めた13メートルの白い壁。この白い壁を用いた新作壁画を、福岡の画家・田中千智が制作している。3月21日まで過去作品約40点を展示する個展を開催しており、壁画の展示は2025年12月末まで行われる。
田中千智は1980年生まれ。2005年に多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻を卒業後、 06年から福岡を拠点に作家活動を開始。多数の個展・グループ展のほか、書籍の装丁画、小学館新本社ビルの大作壁画などその活動は多岐に渡っており、いまや福岡を拠点とする代表的な作家のひとりだ。
アクリル絵具を使ったフラットな漆黒の背景に、艶やかな油彩で前景を描くという独自の手法を開拓した田中の作品には、笑みとも怒りともとれる人物の表情、漆黒の中にきらめく風景など、相反する要素が組み合わされ、観る者に強い印象を与え、その想像力をかきたてる。
本展では、現在の作風につながる2008年から最新の作品まで田中の絵画作品約40点を展示。さらに、13メートルの白壁を用いた壁画が制作された。この壁画は、2023年1月末に第1弾完成後、2024年1月、2025年1月にも制作を行い、第2段階、第3段階と画面が変化していく様を楽しむことができるという。3年間、田中千智はどのように壁画を変化させていくのか。今後の展開に注目したい。
福岡市美術館では、今後も3年に1度、気鋭のアーティスト1組に同館内の壁面を用いた新作の制作を依頼し、あわせて隣接する展示室(近現代美術室B)においてその個展を開催していく。