「ASTER Curator Museum」が金沢に誕生。キュレーター×現代アートにフォーカスした美術館
キュレーター×現代アートにスポットを当て、グループ展・個展企画展示をメインとする美術館「ASTER Curator Museum」が金沢に誕生する。
金沢21世紀美術館や国立工芸館をはじめ、多数の文化施設が位置する金沢。その市内に、新たなミュージアムとして「ASTER Curator Museum」が誕生する。
ASTER Curator Museumは、キュレーター×現代アートにスポットを当てた施設。国内の若手から中堅の現代美術をコレクション、展示し、支援育成・作品公開を第一の目的とするという。作品は会員限定で販売し、ギャラリー機能も有する。加えて、キュレーターの表現、批評性を重視し、キュレーターの支援育成・展示発表の場(プラットフォーム)としても機能することを表明している。
こけら落としを飾るのは、「絵画の楽しみ① 『迂回しながら絵画へ近づく。』そして『暮らしの中に制作がある』ということ。―O JUN、菊谷達史、桜井旭― 展」(キュレーター:秋元雄史)、「架空と現実を行き来するSNS時代のアート達」(キュレーター:沓名美和)、「抽象とか、具象とか、ときどき歴史̶̶F collectionを中心として」(キュレーター:山本浩貴)の3展覧会だ。
「絵画の楽しみ① 『迂回しながら絵画へ近づく。』そして『暮らしの中に制作がある』ということ。―O JUN、菊谷達史、桜井旭― 展」は、秋元がO JUNの作品を見たときに思いついた言葉から付けられたもの。O JUN、菊谷達史、桜井旭の3人の新作を含む絵画、ドローイング、映像作品で構成されたグループ展で、3作家の作品を通して、「絵画は十分に面白く不思議なものであるということを伝える」という。
沓名キュレーションの「架空と現実を行き来するSNS時代のアート達」は、虚構と現実の挾間を見つめて表現活動を行うSNS世代の3作家を紹介するもの。現実の風景にキャラクターや植物が浮遊する白昼夢のような絵画を描く宏美、ゲームやVRなど二次元や仮想空間とそこに介在するキャラクターへの関心を起点に、物質と非物質の関係性に着目し、イメージの肌触りを想起させる絵画を描いてきた下村悠天、そしてアニメーションやゲーム、現実の風景などを組み合わせて映像作品を制作するハンガリー生まれのセマーン・ペトラ。沓名は3作家の表現を「多国籍的で、ポップで、愛くるしく、毒々しい、現代の肖像であり、新しい時代の表現記号」としており、「SNSというパラレルワールドが高度に、そして複雑に占有領域を拡げ続けているいまだからこそ、その中から生まれる新しい価値観を見つめてみたい」と語っている。
山本浩貴キュレーションの「抽象とか、具象とか、ときどき歴史̶̶ F collectionを中心として」は、若手を中心に現代アートの作品を意欲的に集めているF collectionから、そこに収められる新井碧、清川漠、フカミエリ、長島伊織、白石効栽、松田ハルらの新作を含む絵画群を展示するもの。新進アーティストの平面作品を並置することで、便宜的なカテゴリーとして美術史、とくに絵画史で慣習的に使われてきた「抽象」「具象」といった枠組み自体を批判的に問い直すという。また、F collectionにある歴史的な絵画作品についても、現代アートの作品と一緒に織りなす文脈のなかに新たに位置付けることを目指すとしている。
なおこのほか、ASTER Curator Museumの別館ではコレクション展示として松山しげき、feebeeによる作品も展示される。