2023.3.21

スケーターが東京の地下空間を疾走。SIDE COREが新作を屋外で展示

都市や土地についてのリサーチをベースに作品を制作してきたSIDE COREが、東京・目黒区の「目黒観測井」横の空地で新作《rode work ver. under city》を展示中。会期は3月26日まで。

文=安原真広(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より、SIDE CORE《rode work ver. under city》
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 アーティスト・コレクティブのSIDE COREが、東京・目黒区の山手通りと国道246号が交差する地点にある「目黒観測井」横の空地で、新作《rode work ver. under city》を展示している。会期は3月26日まで。

展示風景より、SIDE CORE《rode work ver. under city》

 本作は東京の地下にある貯水池、浄水施設、地下の廃駅などで、スケーターが探索をする姿を撮影した映像作品だ。会場となる目黒観測井は、地下水位や地盤の変動を観測する施設。この施設の敷地に大型のモニターを設置して作品が上映されている。

展示風景より、SIDE CORE《《rode work ver. under city》

 《rode work ver. under city》には、日本を代表するストリートスケーター・森田貴宏がビデオプロダクション・FESNとして参加。森田のほかに櫻井壱世とLeon Ketsuがスケーターとして参加している。スケーターたちは照明を背負いながら、水害を防ぐ環状七号線地下の貯水池や、現在は廃駅となっている京成電鉄の博物館動物園駅など、通常では入れない都市の地下空間をスケーティング。その様子を巧みな照明による映像でとらえている。

展示風景より、SIDE CORE《rode work ver. under city》

 また、映像制作の際に地下空間を3Dスキャンしており、このスキャンしたモデルにより構成したデジタルコラージュ作品も小型のモニターで展示。これは、地球上のどこかに空想上の地下都市があるという、19世紀から20世紀にかけて流布した伝説「アガルタ」を東京の地下に想像するものだという。

展示風景より、SIDE CORE《rode work ver. under city》

 会場は国道246号から山手通りに向けて下っていくループ状の道路の下に位置しており、作品のテーマとなっている都市の地下に対する興味と共鳴している。会場で配布されているハンドアウトには「自分たちの足元に広がる地下世界に想像力や行動の可能性を広げていく」と本作のコンセプトが記載されており、まさにうってつけの鑑賞環境と言えるだろう。

展示風景より、SIDE CORE《rode work ver. under city》

 本来は立入が禁止されている空間に、作品を媒介として誰もが侵入することができ、自由に鑑賞することで都市の持つ可能性を感じられる展示となっている。なお、モニター展示のため、周囲が暗くなった夜の鑑賞をおすすめしたい。

展示風景より、SIDE CORE《rode work ver. under city》