EXHIBITIONS

Kogei Crossroads -過去、現在、そして未来へ-

セイコーハウスホール
2024.11.28 - 12.08

石田知史 鋳込み硝子 筥「光、それは追憶の中にⅠ」 11 × 18.2 × 11.8 ㎝ 撮影:野村知也

 セイコーハウスホールで、工芸素材を用いながら各々異なる分野で独自の世界観を表現している気鋭の作家4名による展覧会「Kogei Crossroads -過去、現在、そして未来へ-」が開催される。

 古代メソポタミアが発祥の地とされるガラスの技法、パート・ド・ヴェール。石田知史は、その技を用いて、かたちと文様が一体となった柔らかな趣きの"和のパート・ド・ヴェール"「鋳込み硝子(いこみがらす)」の継承と、その新たな発展を目指す。

 仏教伝来とともに伝えられたとされ、金箔やプラチナ箔を細長い線状や小片に切って文様をほどこす「截金(きりかね)」。江里朋子は、仏教美術として認識された技を工芸分野に取り入れ、器物に優美で荘厳な世界を創作。

 佐故龍平は、江戸時代に刀剣の鍔の装飾として考案され、色彩の異なる金属板を重ねあわせて接合し、表面を削っては打ち延ばす工程を繰り返すことで有機的な景色を呈する「杢目金(もくめがね)」を用い、表層の文様と造形との関係性を追求。

 室瀬智彌は、千年の時を超え受け継がれる漆芸の伝統的な技法の蒔絵や螺鈿、平文(ひょうもん)を駆使しながら、漆という素材の持つ生命力、美しさを大切にし、自身の心象風景や生命の循環をテーマに、繊細かつ抒情的に表現する。

 ガラス、截金、金工、漆芸、それぞれの道を進みながら現代の工芸のあり方と向きあい、時代と共鳴しあう作品表現を試みる4名の作家たち。「伝統をつくる」4つの個性が交差し、互いに高めあい、工芸の未来へと向かう分岐点を予感させる。