EXHIBITIONS
渡辺おさむ「Unseen Sweet Nostalgia―まだ見ぬ甘いノスタルジー」
ホワイトストーンギャラリー 銀座新館で、渡辺おさむによる個展「Unseen Sweet Nostalgia―まだ見ぬ甘いノスタルジー」が開催されている。
渡辺は、2000年より様々なモチーフに食品サンプル技術で装飾する表現スタイルを「Fake Cream Art」と定義し、新しい芸術のジャンルとして活動を開始。美術史で扱われるような古典的作品を題材に、独自の新しいアートのアプローチを施すことにより、それまでとは違った価値観を見出す作品群も生み出している。代表的な動物を題材にしたシリーズのほかに、名画やギリシャ彫刻にデコレーションするシリーズや、真っ白なクリームで枯山水を表現したシリーズ、世界遺産にフェイククリームでアプローチしたシリーズなどがある。
以下、本展の展覧会ステートメントとなる。
「ワクワクするような昂揚感を忘れて久しい。情報化社会の発達によってすべてのものが白日の下へ晒され、『謎』や『未知』という言葉すら死語になってしまった感すらある現在。『わかる』ことの明快さに酔い、『わからない』が含む可能性の宝庫を置き去りにしてはいまいか。
渡辺おさむは自らの原点を回想する。お菓子の先生だった母がデコレーションをしている情景。甘やかな香りも一緒に立ち昇る。あるいは、子供のころにテレビや雑誌で夢中になったネッシーや雪男、UFOなどの未確認生命体。それらが実在するか否かは問題ではなく、想像力を掻き立てられ夢中になって追い求めていた記憶こそ愛おしい。
物理的な行動範囲が狭められ内省に向かわざるをえなくなったコロナ禍を経て、一見日常を回復したかのように見えるいまこの瞬間も、地球のどこかで災害や紛争は絶えず、平穏はつねに脅かされている。そのような状況下で拠り所となるのは何か。『個としての幸福』以外にない。今展でメインとなる『恐竜』は、幸せな記憶を体現するメタファーである。追憶という行為そのものが、時間というフィルターにろ過された甘いストーリー性を帯び、それは現在を採り込んで未来へつながるものだと信じたい。未来へのノスタルジーという、幸せの新たな基軸を想像しながら。
立春のひととき、スイートポップな渡辺おさむの世界へぜひ足をお運びくださいませ」(展覧会ウェブサイトより)。
渡辺は、2000年より様々なモチーフに食品サンプル技術で装飾する表現スタイルを「Fake Cream Art」と定義し、新しい芸術のジャンルとして活動を開始。美術史で扱われるような古典的作品を題材に、独自の新しいアートのアプローチを施すことにより、それまでとは違った価値観を見出す作品群も生み出している。代表的な動物を題材にしたシリーズのほかに、名画やギリシャ彫刻にデコレーションするシリーズや、真っ白なクリームで枯山水を表現したシリーズ、世界遺産にフェイククリームでアプローチしたシリーズなどがある。
以下、本展の展覧会ステートメントとなる。
「ワクワクするような昂揚感を忘れて久しい。情報化社会の発達によってすべてのものが白日の下へ晒され、『謎』や『未知』という言葉すら死語になってしまった感すらある現在。『わかる』ことの明快さに酔い、『わからない』が含む可能性の宝庫を置き去りにしてはいまいか。
渡辺おさむは自らの原点を回想する。お菓子の先生だった母がデコレーションをしている情景。甘やかな香りも一緒に立ち昇る。あるいは、子供のころにテレビや雑誌で夢中になったネッシーや雪男、UFOなどの未確認生命体。それらが実在するか否かは問題ではなく、想像力を掻き立てられ夢中になって追い求めていた記憶こそ愛おしい。
物理的な行動範囲が狭められ内省に向かわざるをえなくなったコロナ禍を経て、一見日常を回復したかのように見えるいまこの瞬間も、地球のどこかで災害や紛争は絶えず、平穏はつねに脅かされている。そのような状況下で拠り所となるのは何か。『個としての幸福』以外にない。今展でメインとなる『恐竜』は、幸せな記憶を体現するメタファーである。追憶という行為そのものが、時間というフィルターにろ過された甘いストーリー性を帯び、それは現在を採り込んで未来へつながるものだと信じたい。未来へのノスタルジーという、幸せの新たな基軸を想像しながら。
立春のひととき、スイートポップな渡辺おさむの世界へぜひ足をお運びくださいませ」(展覧会ウェブサイトより)。