朴民俊「妙」

　東京画廊＋BTAPで、朴民俊（パク・ミンジュン）による個展「妙」が開催されている。

　パク・ミンジュンは1971年韓国ソウル生まれ。2006年に弘益大学校修士課程を修了した後、2007年に東京藝術大学大学院絵画技法・材料研究室で学ぶ。

　パクは古典絵画の再解釈を通じて、特有の虚構世界を構築する作家だ。演劇的な幻想性を特徴とする作品は、生と死、希望と挫折、夢と現実といったテーマを軸に、哲学的変奏を展開。西洋絵画技法の可能性とその本質を追求しつつ、そこに東洋的に異化された人物を紛れ込ませることによって、新しい神話が生み出されている。

　そのために用いられる表現は、文学や絵画、彫刻など多層にわたる。小説家としてのパクは『ラポール・サーカス Story of Rapport』（2018）、『二つの旗 Two Flags』（2020）を発表しており、これらの物語の登場人物やシーンを絵画や彫刻として再構築することで作品世界を広げてきた。

　本展では「妙」という感覚を導きの糸として、現実と非現実の境界を繊細に紡ぎ出す多様な作品が展示されている。