2018.2.14

エミール・ガレも魅了した「皇帝のためのガラス」。サントリー美術館で清朝ガラス工芸の魅力に迫る

サントリー美術館で「ガレも愛したー清朝皇帝のガラス」展が開催される。清朝のガラス工芸の魅力を、その影響を受けたエミール・ガレの作品と比較しながら紹介する。会期は2018年4月25日〜7月1日。

藍色鉢 一口 清時代・おそらく雍正年間(1722-35) 中国 サントリー美術館蔵
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 中国のガラスの起源は春秋時代末期から戦国時代にまで遡り、以降長きにわたって、様々な儀礼用の道具や、装飾品での貴石や玉の代用品として利用されてきた。その長い歴史の中で、「ガラス工芸」が飛躍的に発展したのは清王朝(1616〜1912)の時代。紫禁城内にガラス工房・玻璃廠(はりしょう)を設置し、「皇帝のためのガラス」作りを開始したことを契機に、ヴァリエーション豊かな作品が生み出された。

青色文字入双耳瓶 乾隆年製銘 1736-95 永青文庫蔵

 ガラスといえば「透明感」や「儚さ」が魅力としてあげられるが、清朝のガラスはそれらとまったく趣を異にして、透明と不透明との狭間の色彩、そして重厚で卓越した彫琢を特徴としている。アール・ヌーヴォーを代表する芸術家、エミール・ガレもまたその美しさに魅了され、自身の作品に取り入れた。

花器「おだまき」 1898-1900 エミール・ガレ サントリー美術館蔵(菊地コレクション)

 本展では、清朝の作品を中心に、中国のガラス工芸の歴史をたどる。さらに、ガレの作品を、そのインスピレーションとなったであろう作品と比較しながら展示。清朝皇帝、そしてアール・ヌーヴォーの芸術家が愛したガラス工芸の魅力を紹介する。

玉琉璃象嵌帯鈎 紀元前4~前3世紀 MIHO MUSEUM蔵
雪片ガラス地五彩仙果文鼻煙壺 18世紀 町田市立博物館蔵