広島市現代美術館による「夏のオープンラボ」。第3回は澤田華をピックアップ
毎年夏から秋にかけて、広島市現代美術館では、多彩な表現活動について様々な方法で紹介を試み、美術館活動の可能性を探る企画「夏のオープンラボ」を実施。第3回となる今年は、「澤田華 360°の迂回」として、言葉やイメージの誤読/誤解といった現象に着目するアーティストの澤田華を取り上げる。会期は8月1日~10月18日。
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2018年より、広島市現代美術館では、多彩な表現活動を様々な方法での紹介し、美術館活動の可能性を探る企画「夏のオープンラボ」を実施。第3回となる今年は「澤田華 360°の迂回」。言葉やイメージの誤読/誤解といった現象に着目し、そこから無限に広がる解釈の可能性を表現するアーティストの澤田華を取り上げる。
澤田は1990年京都生まれ。14年に京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コースを卒業後、16年に同大学大学院芸術研究科博士前期過程を修了した。現在も同地を拠点に活動を行っている。
18年に個展「見えないボールの跳ねる音」(Gallery PARC、京都)を開催したほか、「あいちトリエンナーレ2019」といった国際展やグループ展にも参加するなど、精力的に活動を展開。17年の「写真新世紀」では優秀賞、「群馬青年ビエンナーレ2019」では奨励賞を受賞した気鋭のアーティストだ。
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澤田は、電車や喫茶店などで偶然居合わせた見知らぬ人の話し声や会話を煩わしく感じるとき、そのうちのはっきりと聞こえた声のみを機械のように書き留めることで、不要な音や声を遮断しているという。この行為の後には、一連の過程で多くの情報が抜け落ち、脈絡を失ったフレーズが並んだメモだけが残される。
いつの間にか溜まったそれらのメモは、いったいどんな意味を持ち得るのか。澤田は、メモを見るたびに湧き起こるこの疑問を出発点に新作に挑むという。本企画では、もとの文脈から切り離されたあるフレーズの解釈を巡り、あえて遠回りをすることで浮かび上がるいくつもの景色を楽しむことができる。
また、澤田がたどった制作プロセスの一端を観客と共有するワークショップを、広島市内各所を舞台に展開。オンラインで参加できる「ひとりでも、いますぐできる」編もあり、疫病の時代でこの試みは成立するのかどうかも注目したい(詳細は公式サイトを参照)。
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