「海を渡った古伊万里」から米谷健+ジュリアまで、今週末に見たい展覧会ベスト3
今週始まった展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。予約方法や注意事項については、各館や芸術祭の公式ウェブサイトを参照してほしい。
悲劇の古伊万里に見る東西交流史。「海を渡った古伊万里~ウィーン、ロースドルフ城の悲劇~」(大倉集古館)
1820年代後半にオーストリア・ウィーン近郊のロースドルフ城の城主となり、日本や中国、西洋各地でつくられた陶磁器を代々コレクションしてきたピアッティ家。しかし第二次世界大戦直後、コレクションは旧ソ連軍によって破壊された。同家はいまもこの破片を集めて展示し、歴史と悲劇を伝え続けている。
そんなロースドルフ城の陶磁器コレクションやその修復品、そして古伊万里の歴史的な名品を紹介する展覧会「海を渡った古伊万里~ウィーン、ロースドルフ城の悲劇~」が11月3日、東京・虎ノ門の大倉集古館で開幕した。会期は2021年1月24日まで。
見どころは、ロースドルフ城の陶片の間の様子を再現したインスタレーション。国内の陶磁器修復の第一人者・繭山浩司による陶片の再生のプロセスもあわせて紹介する。加えて、コレクションを代表する華やかな古伊万里の名品や、古伊万里の様式の変遷も展示。本展では陶磁器の豊かな歴史とともに、人々の熱意による保存・修復の成果を堪能することができるだろう。
会期:2020年11月3日~2021年1月24日
会場:大倉集古館
住所:東京都港区虎ノ門2-10-3
電話番号:03-5575-5711
開館時間:10:00~17:00
休館日:月(休日の場合は翌平日)、12月28日~1月1日
料金:一般 1300円 / 大学生・高校生 1000円
日本初の大規模個展。「米谷健+ジュリア展 だから私は救われたい」(角川武蔵野ミュージアム)
11月6日、「ところざわサクラタウン」とともに同敷地内の「角川武蔵野ミュージアム」もグランドオープン。オープニング展として、「米谷健+ジュリア展 だから私は救われたい」がスタートした。会期は3月7日まで。
会場は、高さ8メートルにおよぶ「本棚劇場」のある同館4階「エディットタウン」。ウランガラスで制作されたシャンデリアに原発保有国の名前をつけた《クリスタルパレス:万原子力発電国産業製作品大博覧会》(2012)や、同素材でつくられ国内初公開となる《大蜘蛛伝説》(2018)など、人間と環境の関わりに対する示唆に富んだ作品を展覧する。
なお「エディットタウン」では会田誠が描いた《疫病退散アマビヱ之図》(2020)が展示されているほか、館内では「荒俣宏の妖怪伏魔殿2020」(グランドギャラリー)、「武蔵野三万年ことはじめ」(武蔵野ギャラリー)が同時開催中。マンガ、アニメの資料も豊富な同館に、ぜひ足を運んでほしい。
会期:2020年11月6日〜2021年3月7日
会場:エディット アンド アートギャラリー(角川武蔵野ミュージアム4F)
住所:埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3 ところざわサクラタウン
開館時間:10:00〜18:00(金土〜21:00) ※最終入場は閉館30分前まで
休館日:第1・第3・第5火(ただし祝日の場合は開館、翌日閉館)
料金:入場可能エリアにより変動、詳細はウェブサイトを参照
15名のアーティストが見せる「素材」。「素材ーその形と心」(gallery de kasuga)
1896年創業の麻問屋を起源とする家系で生まれた素材の研究者・春日秀之が「サイエンス to アート」をコンセプトに、昨年秋にオープンした複合施設gallery de kasuga。ここで11月5日、森美術館特別顧問の南條史生がキュレーションを手がける展覧会「素材ーその形と心」展がスタートした。
参加作家は、青木美歌、落合陽一、上出長右衛門窯+丸若屋、小林且典、アンディ・ゴールズワージー、レギーネ・シューマン、ジャン・ワン、須田悦弘、照屋勇賢、内藤礼、西川勝人、宮永愛子、向山喜章、森万里子、ジェーン・リー。
タイトルの通り「素材のバリエーションを見せる」という視点で構成された本展。素材はガラスや陶から木、ブロンズ、そして最新のテクノロジーによって生まれたものなど多岐にわたり、作品キャプションにはそれぞれメインとなる素材が記されている。「素材」という視点から、作品の新たな側面を楽しみたい。
会期:2020年11月5日〜12月20日
会場:gallery de kasuga
住所:東京都渋谷区神宮前5-6-5 Path表参道 A棟 1F
電話番号:03-6427-7319
開館時間:12:00〜18:00
休館日:火
料金:無料