ART OSAKAからキース・ヴァン・ドンゲン、ルイ・ヴィトンまで。今週末に見たい展覧会ベスト6
今週開幕した/閉幕するアートイベントや展覧会のなかから、とくに注目したい6件をピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。
企業コレクションの潮流をとらえる。「TIDE – 潮流が形になるとき – 」(大阪・北加賀屋各所)
2009年より「北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ(KCV)構想」を掲げ、大阪・北加賀屋エリアを創造性あふれるまちに変えていく試みを進めている千島土地株式会社。同社のコレクションを展示する「TIDE – 潮流が形になるとき – 」展が、7月11日まで北加賀屋各所で開催されている。
展覧会のキュレーションは笹原晃平が担当。千島土地コレクションにおける、①収蔵の経緯、②場所の来歴、③作家の由縁、④作品の遣道、といった4つの「潮流(タイド)」が交錯する瞬間的な状況を、展覧会という「形(フォーム)」で公開することを試みる。
メイン会場となるのは、家具店をリノベーションしたギャラリー・kagoo(カグー)。ここで、西野達や三宅砂織、金氏徹平、能條雅由、横溝美由紀、増田セバスチャンなど約40人の作家による作品が展示されている。
会期:2022年7月6日~11日
メイン会場:kagoo(大阪市住之江区北加賀屋5-4-19)
サテライト会場:千鳥文化(北加賀屋5-2-28)、クリエイティブセンター大阪 屋外(北加賀屋4-1-55)
開館時間:11:00~20:00(11日~17:00)
料金:無料
国内44年ぶりとなる展覧会。「キース・ヴァン・ドンゲン展―フォーヴィスムからレザネフォル」(パナソニック汐留ミュージアム)
エコール・ド・パリを代表する画家のひとり、キース・ヴァン・ドンゲンの日本では44年ぶりとなる展覧会が7月9日にスタートする。
キース・ヴァン・ドンゲン(1877〜1968)はオランダで生まれ、パリで活躍した画家。ロッテルダムの美術アカデミーで学び、20歳の頃に初めてパリを訪れた。その2年後にモンマルトルに移住。オランダ時代から力強い筆致の作品を描いていたヴァン・ドンゲンは、すぐに新印象派に関心を抱き、やがて濃密で表情豊かな強烈ともいえる色彩でフォーヴィスムの画家たちの一員となった。華麗な色調でありながら、内的な表情を感じさせる色を用い、なかでも女性を描く場合の身体の優美さや官能性を訴える画面は、画家の代名詞になっていった。
本展はヴァン・ドンゲンがフォーヴィスムの画家へと成長していく過程を紹介するもの。その後の第一次世界大戦までの時期に取り組んだ色彩と形態の研究に加え、人物表現というテーマ、そして大戦終結後の華やかな時代(レザネフォル)における画家の歩みに焦点を当てるものだ。
会期:2022年7月9日~9月25日
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
電話:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(8月5日、9月2日〜20:00)※入館はいずれも閉館30分前まで。最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:水、8月12日〜17日
料金:一般 1000円 / 65歳以上 900円 / 大学生 700円 / 中高生 500円 / 小学生以下無料 ※日時指定予約制。詳細は公式ウェブサイトへ
20回目となる現代美術のアートフェア。「ART OSAKA 2022」(大阪市中央公会堂、クリエイティブセンター大阪)
今年20回目となる、現代美術を対象としたアートフェア「ART OSAKA」が7月11日まで開催されている。昨年に引き続いて中之島大阪市中央公会堂で開催されるほか、新たに住之江区北加賀屋エリアの造船所跡地であるクリエイティブセンター大阪(名村造船所大阪工場跡地)も会場に加わった。
大阪市中央公会堂の会場では、ブース形式の「Galleries」セクションとなる。総勢54軒のギャラリーが一堂に会し、作品を展示販売。大阪を代表する近代建築で、各ギャラリーがキュレーションした作品と出会うことが可能。
新設されるクリエイティブセンター大阪 (名村造船所大阪工場跡地)の会場では「Expanded」セクションが設けられる。かつて造船所として稼働した広大な敷地を活かし大型作品やインスタレーション等に特化。 開催趣旨に賛同したギャラリーから15人(14組)の作品が集結している。
「Galleries:ブース形式のセクション」
会期:2022年7月8日~10日(8日はプレス・招待のみ)
会場:大阪市中央公会堂 3階
住所:大阪市北区中之島1-1-27
開場時間:9日 11:00〜20:00 / 10日 11:00〜17:00
「Expanded:大型作品やインスタレーション等に特化したセクション」
会期:2022年7月6日~11日
会場:クリエイティブセンター大阪(名村造船所大阪工場跡地)
住所:大阪市住之江区北加賀屋4-1-55
開場時間:6日、7日 13:00〜20:00 / 8〜10日 11:00〜20:00 / 11日 11:00〜17:00
料金:2会場チケット 2500円 / Expandedチケット 1000円
※Galleriesのみ事前予約制、チケット発売は6月上旬予定
歴史的アーカイヴが一堂に。「SEE LV」(東京ミッドタウン)
ルイ・ヴィトンのヘリテージ・コレクションから選りすぐりの歴史的アーカイヴの数々と、最新のクリエーションを組み合わせて紹介する展覧会「SEE LV」が開幕した。
会場となるのは東京ミッドタウンの芝生広場に登場した、モザイク模様の巨大な“箱”。この中で、「ルイを見つけて」「ファッションの世界へ」「バッグが紡ぐストーリー」「進化のギャラリー/魔法が起こる舞台」「モノグラムを巡る」の5つの「世界」で構成された展示を通してルイ・ヴィトンの世界観を探求する。
とくに、最後の「モノグラムを巡る」世界では、ルイ・ヴィトンのアイコニックなモノグラムをインタラクティブなデジタルアートで表現した映像作品が展示。1896年、ジョルジュ・ヴィトンが父ルイへのオマージュとしてデザインしたモノグラムは、1世紀以上にわたり数多くのクリエイターによって再解釈し続けられている。最新のテクノロジーを通してそのモノグラムの世界に没入して体験してほしい。
会期:2022年7月8日〜8月21日
会場:東京ミッドタウン 芝生広場
住所:東京都港区赤坂9-7-1
開館時間:11:00〜20:00 ※最終入場は19:30まで
料金:無料(要事前予約。ルイ・ヴィトン LINE公式アカウントより受付)
ふたりの写真家がとらえた「絵画」とは。「写真と絵画−セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策」(アーティゾン美術館)
石橋財団コレクションと現代美術家が共演する、アーティゾン美術館の展覧会「ジャム・セッション」。その第3弾となる「写真と絵画−セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策」は7月11日まで。
印象派をひとつの起点とした絵画の変革に、写真という19世紀の発明は少なからず影響していた。本展は、こうした絵画と写真の相互的な関わりに立脚し、ポール・セザンヌの作品に関心を寄せ続けているふたりの現代写真家、柴田敏雄と鈴木理策を招致。ふたりの作品と同館のコレクションを使いながら、写真と絵画の関係を問う展覧会だ。
石橋財団コレクションから選ばれた、名だたる芸術家による幅広い形態の作品に、カメラのレンズを通して世界をとらえてきたふたりの作家の手によって新たな光を当てる挑戦的な展示。眼の前の像がいかなるイメージをつくり出しているのかを探求できる。
会期:2022年4月29日~7月10日
会場:アーティゾン美術館
住所:東京都中央区京橋1-7-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(4月29日を除く金〜20:00)※入館は閉館の30分前まで。最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:月
料金:日時指定予約制・ウェブ予約チケット1200円 / 当日チケット(窓口販売)1500円 / 学生無料(要ウェブ予約、詳細は公式ウェブサイトへ)
クリエイターたちと甲冑のコラボレーション。「甲冑の解剖術 ―意匠とエンジニアリングの美学」(金沢21世紀美術館)
若手クリエイターたちと協働し、日本独自の文化資産である「甲冑」の魅力を現代に伝える本展は、7月10日までの開催だ。
戦の防具であると同時に、武将の力と誉を象徴するものでもあった甲冑。本展は全国の所蔵館から集結した珠玉の甲冑を、従来の方法からアップデートして展示。また、現代を生き抜くための甲冑として「スニーカー」に着目し、過去・現代・未来を横断的に解釈する。
同館館長の長谷川祐子は本展について「美術館の中に歴史的なものとして保存され、私たちの生活から距離のあった甲冑を、感情や等身大のリアリティ、身体性をもって現代に伝えることができるのか」を考えたという。
着座しているほぼ等身大の姿で見せる展示方法や、伊達政宗の甲冑をCTスキャニングしたデータ視覚的に表現したライゾマティクスによる映像作品《Displayed Kacchu》(2022)やスタイリスト・三田真一による未来的な甲冑《連続の断片》(2008)など、独創的な甲冑の解釈を楽しむことができる。
会期:2022年5月3日~7月10日
会場:金沢21世紀美術館
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
電話番号:076-220-2800
開館時間:10:00~18:00(金土~20:00)※観覧券販売は閉場30分前まで。最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:月
料金:一般 750円 / 65歳以上 600円 / 大学生 520円 / 小中高生 260円