マリー・クワントからFUJI TEXTILE WEEK、藤原新也まで。今週末見たい展覧会ベスト7
今週開幕/閉幕する展覧会から、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。
60年代ロンドン・モードの旗手の足跡。「マリー・クワント展」(Bunkamura ザ・ミュージアム)
デイジーのアイコンで広く知られるファッション・コスメブランド、「マリー・クワント」。その創設者であるマリー・クワントは60年代ロンドンにおけるモードの先駆者であり、女性起業家のパイオニアでもあった。モダンで若々しい彼女のデザインは、当時の女性たちのファッションを一変させたことで知られている。
そのマリー・クワントにフォーカスした本展は、イギリスで約40万人が訪れた展覧会の日本巡回展。1955年から1975年にかけてのデザイナー・起業家としての歩みをたどるものだ。
イギリス、ヴィクトリア&アルバート博物館所蔵の約100点の衣服を中心に、アクセサリーや小物だけでなく、写真や雑誌、関連資料も展示。マリー・クワントのコスメが日本に上陸した1971年以前のアイテムが多数展示される。
会期:2022年11月26日~2023年1月29日
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:12月6日 、1月1日
料金:決定次第、Bunkamura HP にて案内
テキスタイルとアートの可能性を探る。「FUJI TEXTILE WEEK 2022」(山梨・富士吉田市)
富士山から流れ落ちる清涼な渓流の水の恵みによって、1000年以上続く織物産業の歴史を有する山梨県富士吉田市。そこを舞台として開催される芸術祭「FUJI TEXTILE WEEK 2022」が今年で第2回を迎えた。
本芸術祭は国内外アーティスト10組によるテキスタイルをテーマにしたアート展「織りと気配」や、19の機屋による産地の歴史や現代のテキスタイルシーンを紐解く展示会「WARP&WEFT」など計4つのプログラムで構成されている。
美術評論家であり森美術館前館長の南條史生がキュレーションするアート展では、アーティストがテキスタイルを素材にした作品や、機屋との共同作業で作り出したユニークな作品を展示。「堅固な形状を半永久的に維持するはずの彫刻」とは対極の、「しなやかに変化し、ゆらぐ彫刻」の可能性を追求するもの。参加アーティストは、安東陽子、パトリック・キャロル、村山悟郎、エレン・ロット、高須賀活良、小林万里子、落合陽一、シグリット・カロン、YUIMA NAKAZATO。
会期:2022年11月23日〜12月11日
会場:山梨県富士吉田市下吉田本町通り周辺地域
開館時間:10:00〜16:00(土日祝〜17:00)※入場受付は終了時間の30分前まで
休館日:月火(期間中の水~日のみ開館)
料金:アート展「織りと気配」一般 1000円(富士吉田市民、高校生以下 入場無料) / 産地展「WARP&WEFT」入場無料
初の大規模個展。「祈り・藤原新也」(世田谷美術館)
世田谷美術館で写真家・藤原新也の初期作から最新作までを一堂に展示する初の大規模個展「祈り・藤原新也」が開幕する。
東京藝術大学在学中からアジア各地を旅し、1970年代に写真とエッセイによる『インド放浪』『西蔵(チベット)放浪』『逍遥游記(しょうようゆうき)』を発表した藤原。1983年出版の『東京漂流』はベストセラーに、『メメント・モリ』は若者たちのバイブルとなった。
藤原の表現活動で特筆すべきは、写真、文筆、絵画、書とあらゆるメディアを縦横無尽に横断し、それぞれの領域において秀でた表現を獲得していることだ。本展は「祈り」をキーワードに、初期作から最新作までの写真作品や文章を一挙に紹介し、藤原の多彩な仕事を立体的に展開する。
会期:2022年11月26日~2023年1月29日
会場:世田谷美術館
住所:東京都世田谷区砧公園1-2
電話:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:月(2023年1月9日は開館)、年末年始(12月29日〜2023年1月3日)、1月10日
観覧料:一般 1200円 / 65歳以上 1000円 / 大学・高校生 800円 / 中・小学生 500円
約60点の作品を岡山の街で見る。「岡山芸術交流2022」(岡山市内各所)
岡山市で3年に1度開催される国際現代美術展「岡山芸術交流」は今週末まで。2022年は「僕らは同じ空のもと夢をみているのだろうか(Do we dream under the same sky)」をタイトルとして、アーティスティックディレクターにタイ出身のリクリット・ティラヴァーニャを招いている。
2016年に始まった岡山芸術交流は、現代美術の展覧会、地域に開かれた持続的な場を提供するパブリックプログラムを軸に展開されてきた。これらに基づきながら、リクリット・ティラヴァーニャは今回が有機的な展覧会となることを目指し、自らを含む13ヶ国から全28組の作家が参加する。旧内山下小学校をはじめ、岡山城・岡山後楽園周辺エリアの様々な歴史文化施設10会場で約60点の作品を点在させる。
参加作家は、<アーティスト>リクリット・ティラヴァーニャ、ラゼル・アハメド、アート・レーバーとジャライ族のアーティストたち、王兵(ワン・ビン)、ダニエル・ボイド、リジア・クラーク、アブラハム・クルズヴィエイガス、円空、池⽥亮司、⽚⼭真理、ミー・リン・ル、デヴィッド・メダラ、アジフ・ミアン、プレシャス・オコヨモン、フリーダ・オルパボ、ヴァンディー・ラッタナ、バルバラ・サンチェス・カネ、笹本晃、ジャコルビー・サッターホワイト、島袋道浩、曽根裕、アピチャッポン・ウィーラセタクン、梁慧圭(ヤン・へギュ)、<イベント>ペパーランド、ゲルト・ロビンス、<グループ>オーバーコート、伊勢﨑州(備前焼)・スミス 一三省吾・木口 ディアンドレ(烏城彫)、<パフォーマンス>Untitled Band(Shun Owada and friends)。
会期:2022年9月30日~11月27日
会場:旧内山下小学校、岡山県天神山文化プラザ、岡山市立オリエント美術館、シネマ・クレール丸の内、林原美術館、岡山後楽園、岡山神社、石山公園、岡山城、岡山天満屋
住所:岡山県岡山市北区丸の内1-2-12(旧内山下小学校)
開館時間:会場によって異なる
観覧料:一般 1800円 / 岡山県民 1500円 / 65歳以上 1300円 / 学生 1000円 / 高校生以下無料
旅とは何かを美術館で考える。「旅と想像/創造 いつかあなたの旅になる」(東京都庭園美術館)
他者の旅を手がかりに「旅」そのものを再考する展覧会「旅と想像/創造 いつかあなたの旅になる」が、東京・港区の東京都庭園美術館で11月27日まで開催中だ。
東京都庭園美術館は、1933年に建設されたアール・デコ様式の旧朝香宮邸本館建築がもととなっていることで知られている。本展は、行動制限が強いられたコロナ禍において、人々の旅に対して高まった意欲や想いを汲み取り、朝香宮夫妻(鳩彦王、允子妃)のパリ旅行や鉄道関連のコレクション、さらに現代アーティストによる旅の風景を追体験することで、「旅とはいったいなんなのか」について再考するもの。
会場は大きく分けて3部構成となっている。第1部では、朝香宮夫妻による100年前のパリ旅行へのイントロダクションとして、当時のガイドブックや写真・文筆などの記録、さらにはアール・デコ博覧会との出会いなど、5つの視点を紹介。第2部では、鉄道関連資料の数々から旅への思いを馳せ、第3部では、6人の現代アーティストら独自の視点で語られる旅のかたちに着目している。
会期:2022年9月23日〜11月27日
会場:東京都庭園美術館 本館+新館
住所:東京都港区白金台5-21-9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1400円 / 大学生(専修・各種専門学校含む) 1120円 / 中・高校生、65歳以上 700円
能に見る自然観。「とうとうたらりたらりらたらりあがりららりとう」(新宿歌舞伎町能舞台ほか)
渡辺志桜里による企画・キュレーション展「とうとうたらりたらりらたらりあがりららりとう」が、新宿歌舞伎町能舞台で11月27日まで開催されている。本展コキュレーターは卯城竜太、大舘奈津子(一色事務所)。
最古の能の演目『翁』をベースにした本展は、「存在そのもの全て」だとされる「翁」、そして人間以外の存在「人外」が語る能に着目することで、独自の視点からの新たな自然観を探るもの。出展作家は、飴屋法水たち、石牟礼道子、エヴァ&フランコ・マテス、コラクリット・アルナーノンチャイ、小宮花店、小宮りさ麻吏奈、ザ・ルートビアジャーニー、動物堂、ピエール・ユイグ、ミセスユキ、渡辺志桜里。
本展では、国内外のアーティストに限らず、食やインターネット、文筆家や演出家、動物の販売店や花屋など、多様な分野の表現者らの作品が、人間の歴史、環境、自然にまつわるファクトと結びつくことで、独自の世界観を提示している。
会期:2022年11月18日~11月27日
会場:新宿歌舞伎町能舞台(旧新宿中島能舞台)ほか
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-9-18 ライオンズプラザ新宿2階
開館時間:13:00~20:00(土日祝~22:00)※能舞台公演がある11月19日、26日 15:00~18:30の展示はなし。最新情報は公式ウェブサイトへ
観覧料:入場料(展示のみ)1800円
KIGIのこれまでの仕事を通覧。「all is graphics」(ヒルサイドフォーラム)
植原亮輔と渡邉良重によるクリエイティブユニット・KIGI。その10周年を記念した展覧会「all is graphics」が、東京・代官山のヒルサイドフォーラムで11月27日まで開催中。
植原と渡邉はデザイン会社ドラフト在籍時から協働し、2012年にKIGI を設立。企業やブランドのアートディレクション、グラフィックデザイン、空間ディレクションやプロダクトデザインなど、いくつものプロジェクトを手がけてきた。
タイトル「all is graphics」が示すように、グラフィックデザインを起点にジャンルを越境しながら表現を続けてきたKIGI。本展は、ショップを含むA〜Gの7つの部屋で構成されており、その10年の軌跡を通覧するものとなっている。
会期:2022年11月10日〜27日
会場:ヒルサイドフォーラム
住所:東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟
開館時間:11:00〜20:00(最終日〜17:00)
休館日:会期中無休
料金:500円 ※高校生以下無料