バーバラ・ロンドンがキュレーション。プラダ青山店でダラ・バーンバウムの個展開催
東京・表参道にあるプラダ青山店で、プラダ財団の支援を得て企画された展覧会「DARA BIRNBAUM(ダラ バーンバウム)」が開催される。会期は6月1日〜8月28日。
ヘルツォーク&ド・ムーロンが設計した象徴的な建築、プラダ青山店。その5階において、プラダ財団の支援を得て企画された展覧会「DARA BIRNBAUM (ダラ バーンバウム)」が開催される。会期は6月1日〜8月28日。
ダラ・バーンバウムは1946年ニューヨーク生まれ。現在も同地を拠点に活動している。バーンバウムは、大判写真や彫刻、建築的構成部分といった三次元的なデザイン要素を作品に取り入れながら、様々なソースの画像を対比させる、複雑で革新的なインスタレーションを制作した最初のアーティストのひとり。画期的な制作手法と手を加えたテレビの映像を使用することで知られており、メディア・アートの歴史を理解するうえで欠かせないアーティストだ。
本展は、ニューヨーク近代美術館で長年キュレーターを務めたバーバラ・ロンドンがキュレーションするもの。1979年から2011年までの間に制作された4作品が展示される。なかでも注目は、ヴィデオインスタレーションである 《Kiss the Girls: Make Them Cry》(1979)と《Arabesque》(2011)だ。
《Kiss the Girls: Make Them Cry》は、かつてテレビで高い人気を博したアメリカの長寿ゲーム番組『Hollywood Squares』(1965~1980)から選んだ画像を編集したもの。バーンバウムは、出演者である女優たちの型にはまった身振りや表情を、テレビの文脈から取り除くことで強調。番組の画像に、バンド「TOTO」の『Georgy Porgy』とアシュフォード&シンプソンの『Found A Cure』といった当時もっともよくディスコフロア流れていたヒット曲を合わせている。
いっぽうの《Arabesque》は、ロマン派の作曲家夫婦であるクララ・シューマンとロベルト・シューマンの互いに結びついた活動人生とそれぞれが残した異なる功績を考察した作品。クラレンス・ブラウン監督キャサリン・ヘプバーンとポール・ヘンリード主演の伝記映画『愛の調べ』(1947)から切り取ったスチールと、YouTubeに投稿されている、ロベルト・シューマンが妻に捧げた作品《アラベスク ハ長調 Op.18》(1839)を演奏する女性奏者の映像を抽出。ロベルトの《アラベスク》の様々な演奏が、クララ・シューマンが夫に捧げた《3つのロマンス 第1曲 Op.11》(1839)を演奏する女性奏者のYouTube動画と交互に流れるように構成されている。クララ・シューマンの日記も抜粋して使用することで、歴史から排除されきた女性芸術家の存在、社会構造にも焦点を当てた作品だ。
なお、《Bruckner: Symphony No. 5 in B-Dur》(1995)と《New Music Shorts》(1981)のサウンド作品はそれぞれ、他の展示スペースに隣接する隔離された座れるスペースで個別に展示されるという。