2023.7.28

ART OSAKAからマイナビアートスクエアのこけら落としまで。今週末に見たい展覧会ベスト9

今週開幕した・閉幕する展覧会から、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「Happy Birthday」(マイナビアートスクエア)展示風景より
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新スペースのこけら落とし。「Happy Birthday」(マイナビアートスクエア)

展示風景より

 東京・銀座の晴海通りに面する歌舞伎座タワー。その22階にマイナビが運営するアートスペース「マイナビアートスクエア」がオープンし、こけら落としの展覧会「Happy Birthday」がスタートした。

 この展覧会は、キュレーター、アーティスト、文筆家からなるキュレイトリアル・コレクティブ「HB.」(髙木遊、三宅敦大、立石従寛、月嶋修平)によるもの。会場にはあえて作品を置かず、新スペースのこれらからの可能性や展覧会の在り方を問いかけるものとなっている。レポート記事はこちら

会期:2023年7月27日〜9月16日
会場:マイナビアートスクエア
住所:東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー22階
開館時間:11:00〜18:00
休館日:日月祝
料金:無料

「Expanded」セクションが規模拡大。「ART OSAKA 2023」(大阪市中央公会堂・クリエイティブセンター大阪)

大阪市中央公会堂

 現代美術に特化した関西最古のアートフェア「ART OSAKA」が開幕した。会期は7月31日日まで(Galleries セクションは30日まで)。

 同フェアは、複数のギャラリーがひとつの広大な空間を共有し、大型作品やインスタ レーションなどを紹介する「Expanded」セクションを昨年スタートさせており、今年はこれをさらに拡張。前回会場のクリエイティブセンター大阪(名村造船所大阪工場跡地)に加え、今年は元家具店のユニークなギャラ リースペース・kagoo(カグー)の2会場で展開されている。また国指定重要文化財・大阪市中央公会堂を会場に各ギャラリーがブース形式で出展する「Galleries」セクションでは、46軒のギャラリーが参加。充実のフェアを堪能してほしい。

Expanded セクション
会期:2023年7月26日〜31日
会場:クリエイティブセンター大阪(名村造船所大阪工場跡地) / Kagoo(カグー)
住所:大阪市住之江区北加賀屋4-1-55 / 大阪市住之江区北加賀屋5-4-19

Galleries セクション
会期:2023年7月28日〜30日
会場:大阪市中央公会堂 3階[中集会室・小集会室・特別室]
住所:大阪市北区中之島1-1-27

あの名広告を見る。上田義彦「いつでも夢を」(gallery ON THE HILL)

上田義彦 上海 1999

 代官山にあるgallery ON THE HILLで、写真家の上田義彦による個展「いつでも夢を」が開幕した。

 24歳のときに『流行通信』でデビューして以来、40年間にわたり様々な被写体と向き合い続け、国内外で高く評価されてきた上田。本展では、そんな上田の代表作であり、いまなお後世に語り継がれる広告写真でもある「サントリーウーロン茶」の作品シリーズにフォーカス。本展のタイトルも、上田が初期に撮影を手がけはじめたころの「サントリーウーロン茶」のCM使用曲「いつでも夢を」 から引用されている。

会期:2023年7月26日~8月13日
会場:gallery ON THE HILL
住所:東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟1F gallery ON THE HILL
電話番号:03-5458-8839
開館時間:12:00~19:00(最終日11:00〜17:00)
休館日:月
料金:一般 500円 / 高校生以下無料

森山大道とのコラボレーション作品も。アルフレド・ジャー「終3」(SCAI PIRAMIDE)

Photo by Daido Moriyama

 アーティスト、建築家、映像作家として知られるアルフレド・ジャー(1956年〜)。その個展「終3」が東京・六本木のSCAI PIRAMIDEで7月29日よりスタートする。

 本展は、広島市現代美術館で開催中の第11回ヒロシマ賞の受賞記念展や、9月14日よりチリ国立サンティアゴ美術館で開催される回顧展にあわせて実施されるもの。会場は全3章で構成。本展ではジャーの世界初公開となる新作彫刻《The End of the World》(2023)とともに、長年の友人である写真家・森山大道とのコラボレーション作品も初公開される。

会期:2023年7月29日〜9月30日
会場:SCAI PIRAMIDE
住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル3F
電話番号:03-6447-4817 
開館時間:12:00〜18:00
休館日:日月火水祝、夏季休暇(8月10日〜20日)
料金:無料

何気ない日常に目を向ける。森本啓太「A Little Closer」(KOTARO NUKAGA)

森本啓太 Long Day 2023

 東京・六本木のKOTARO NUKAGAで、森本啓太の展覧会「A Little Closer」が7月29日に開幕する。

 森本は1990年大阪生まれ。高校卒業後単身カナダへ渡り、16年をトロントで過ごした。その後、2021年より拠点を東京に移し活動を続けている。森本はレンブラントやエドワード・ホッパーを連想させる光の表現を用い、風景や人物を描く。ありふれた街並みや日常の瞬間が、古典的な技術を現代に持ち込むことにより劇世界へと変貌している。本展は一昨年に開催された国内初の個展「After Dark」以来、森本にとって約2年ぶりとなる日本での個展。新作のペインティング約20点が展示される

会期:2023年7月29日〜9月16日
会場:KOTARO NUKAGA(六本木)
住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル 2階
開館時間:11:00〜18:00
休館日:日月祝
料金:無料

教育者としの側面に迫る。「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」(DIC川村記念美術館)

展示風景より © The Josef and Anni Albers Foundation

 画家、デザイナー、そして美術教師として知られるジョセフ・アルバース(1888〜1976)を特集する展覧会「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」が千葉・佐倉のDIC川村記念美術館で7月29日に開幕する。

 ドイツで生まれたアルバースは、造形学校のバウハウスで学び、のちに教師となって基礎教育を担当した。同校の閉鎖後は渡米し、ブラックマウンテン・カレッジや、イェール大学に勤務。戦後アメリカの重要な芸術家たちを育てた存在だ。アルバース自身もまた生涯にわたり探究を続け、バウハウス時代のガラス作品から、家具や食器などのデザイン、絵画シリーズ「正方形讃歌」に至る多様な作品群を生み出している。本展ではこうしたアルバースの作品を、その授業をとらえた写真や映像、学生による作品とともに紹介。制作者/教師という両側面からアルバースに迫る、日本初の回顧展となる。

会期:2023年7月29日〜2023年11月5日 ※会期中に一部展示替えあり(前期:7月29日~9月18日/後期:9月20日~11月5日)
会場:DIC川村記念美術館
住所:千葉県佐倉市坂戸631 
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:9:30〜17:00 ※入場は閉館の30分前まで 
休館日:月(9月18日、10月9日は開館)、9月19日、10月10日
料金:一般 1800円 / 学生・65歳以上 1600円 / 高校生以下 無料

アニエスベーのコンセプトシートを使用。大山エンリコイサム 「Notes Rings Spirals」(アニエスベー ギャラリー ブティック

大山エンリコイサム FFIGURATI #516 2023 Artwork ©︎Enrico Isamu Oyama Studio

 アニエスベー ギャラリー ブティックで開催中の大山エンリコイサムの個展「Notes Rings Spirals」が7月30日で閉幕する。

 本展では34点の作品を展示。これらはアニエスベーが過去に制作したコンセプトシートを使用したものだ。ブランドの痕跡を作品に残すということではなく、シートに印刷されていたオリジナルのイメージや、シート裏に存在する別のイメージといった目に見えない構成要素の積層によって、時間の厚みを想像させている。大山の代表的なモティーフ「クイックターン・ストラクチャー(QTS)」の造形と、新しいモチーフであるスパイラルリングによって生み出される、複雑でゆたかな空間に注目だ。

会期:2023年6月17日~7月30日
会場:アニエスベー ギャラリー ブティック
住所:東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山2F
電話番号:03-3406-6010
開館時間12:00~20:00(会期中のみ)
休館日:会期中無休
料金:無料

四大元素を着想源に。「Four Elements 2023 Summer」(無人島プロダクション

 東京・錦糸町の無人島プロダクションで、作家4組を中心としたグループ展「Four Elements 2023 Summer」が7月29日まで開催中だ。

 本展は、世界は火風水土の四大元素で構成されているという古代ギリシャから発した概念をもとに、それぞれの要素から想起されるイメージをもとに選んだ作品で構成されている。参加作家はChim↑Pom from Smappa!Group、朝海陽子、八木良太、Leggy(レギー)、風間サチコ。

 これまで未展示だった作品を含む風間サチコのリノカットプリントの小作品群から、四大元素をテーマに選んだ版画作品「風間サチコの四大元素」も展示されている。

会期:2023年7月8日~7月29日
会場:無人島プロダクション
住所:東京都東京都墨田区江東橋5-10-5
開館時間:13:00~19:00(土は12:00〜18:00)
休館日:日月祝
料金:無料

「転写」の可能性に迫る。ニューミューテーション #5 倉敷安耶・西村涼 「もののうつり」(京都芸術センター)

倉敷安耶 Transition #九想図 2022 ミクストメディア、メディウム転写

 京都芸術センターで7月30日まで、 「ニューミューテーション #5 倉敷安耶・西村涼 『もののうつり』」が開催されている。

 本展は、関西圏の若手作家を数多く取り上げてきたシリーズ企画の第5弾であり倉敷安耶と西村涼の2人を紹介するもの。二人に共通する 「転写」という技法を取り上げ、展示空間内における滞在制作と展示を通して、その表現が可能にしているものへと目を向ける展示だ。

会期:2023年6月24日~7月30日
会場:京都芸術センター ギャラリー北・南
住所:京都府京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
電話番号:075-213-1000
開館時間:10:00~22:00
休館日:会期中無休
料金:無料

*一部内容を追加しました