オラファー・エリアソン、ジェームズ・タレル、蔡國強らが参加。アーツ前橋で10周年を記念する展覧会「ニューホライズン 歴史から未来へ」が開催
群馬・前橋のアーツ前橋で開館10周年を記念する展覧会「ニューホライズン 歴史から未来へ」が開催。オラファー・エリアソン、ジェームズ・タレル、蔡國強、レフィーク・アナドール、蜷川実花らが参加する。会期は10月14日〜2024年2月12日。
群馬・前橋のアーツ前橋で、その開館10周年を記念する展覧会「ニューホライズン 歴史から未来へ」が開催される。会期は10月14日〜2024年2月12日。
アーツ前橋は前橋市中心市街地の商業施設を改修した美術館として2013年にオープン。「創造的であること」「みんなで共有すること」「対話的であること」の3つのコンセプトを掲げ、街に開かれた美術館として美術館として住友文彦館長(2021年3月に退任)のもと活動をしてきたが、2020年に収蔵を視野に借用していた2作家の作品を紛失したことを発表。今年4月に市が2作家の遺族に計400万円の賠償金を支払うことで和解が成立した。そして今年5月、新たに特別館長に南條史生、館長に出原均、チーフキュレーターに宮本武典を迎えて再出発を迎えた。
現在、アーツ前橋では「アーツ前橋開館10周年記念 コレクション+」を開催しており、コレクションのから約130点の作品を選出し、身近な静物や人物から、風景や世界、宇宙までの10の章立てに分類して展示し、この10年の活動を振り返っている。その次回展となる「ニューホライズン 歴史から未来へ」は、今後のアーツ前橋についてのプレゼンテーションとも言える展覧会となる。
本展の芸術監督を務める南條は展覧会のコンセプトを次のように語った。 「次の10年に向けて立ち上げた10周年記念展となる。アートとマッチングした街として整備されつつある前橋市において、街のなかに出ていく美術館だということを伝えたい。アートと街が一体化し、そこに街の人々が参加していく展覧会を目指したい」。
本展では8ヶ国より11人の海外作家が参加。オラファー・エリアソン、ジェームズ・タレル、ビル・ヴィオラ、蔡國強、レフィーク・アナドールのほか、アンドリュー・ピンクリー、ザドッグ・ベン=デイヴィッド、マッド・ドッグ・ジョーンズ、ザ・フォックス・ザ・フォルクス、デザイドキット、ランページズ・プロダクションが名を連ねる。
日本人作家としては井田幸昌、岡田菜美、川内理香子、木原共、五木田智央、スプツニ子!、関口光太郎、武田鉄平、蜷川実花、袴田京太朗、ハシグチリンタロウ、マームとジプシー、松山智一、村田峰紀、山口歴、WOW、横山奈美、403architecture[dajiba]が参加する。
前橋の街でも作品が展開される。「白井屋ホテル」「まえばしガレリア」といったアート関連施設では、蜷川実花やWOWの作品を展示。繁華街にある7階建てのHOWZEビル(通称「グーチョキパービル」)では、3フロアを特設会場として活用し作品を展示する。
10月27日、28日、29日の3日間は、プロジェクション・マッピングの第一人者である石多未知行がプロデュースするイベントを、群馬県庁昭和庁舎の前面で実施。国際的に活躍するアジアの映像クリエイターチームとして、ザ・フォックス・ザ・フォルクス(インドネシア)、デザイドキット(タイ)、ランページズ・プロダクション(マカオ)を招聘する。
演劇の公演やワークショップも多数開催される。前橋市生まれの藤田貴大による「マームとジプシー」がスズラン前橋店で演劇公演を行うほか、前橋市中央通り商店街やアーツ前橋をはじめとした市内各所で村田峰紀、木原共、石多未知行、関口光太郎がワークショップが開催。また、アーツ前橋のキュレーターがアートを通して前橋の魅力をガイドする「前橋アートトリップ」も開催される。
なお、本展の記者発表にあたっては、作品紛失の反省を踏まえた新たな現場組織についても語られた。盗難の可能性が高いとされ、現在も見つかっていない紛失作品への対応は3人の専門学芸員が当たっているという。コレクションの管理においては、作品データベースが不完全であったことが発覚しており、保管庫で実作品を確認しながらデータベースの再構築を行っていることが説明された。
また、学芸員の労務環境の改善についても、出原が中心に会議体やコミュニケーションの場を整備し、市と学芸の対話が密にできる会議体も構築。ほかの美術館にも参照されるような仕組みづくりを志向していることが述べられた。