「KYOTOGRAPHIE 2024」のテーマは「SOURCE」。写真を通じてオルタナティヴな未来の在り方を示す
2024年に第12回目の開催を迎える「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」。その新たなテーマが「SOURCE」に決定した。会期は2024年4月13日〜5月12日。
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2013年より毎年、京都市内各所を舞台に開催されている写真に特化した芸術祭「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」。その第12回目を迎える2024年のテーマが「SOURCE」に決定した。
今回のテーマについてKYOTOGRAPHIEの共同設立者/共同代表のルシール・レイボーズと仲西祐介は、次のようなメッセージを寄せている。
源は初めであり、始まりであり、すべてのものの起源である。それは生命の創造であり、衝突が起きたり自由を手に入れたりする場所であり、何かが発見され、生み出され、創造される空間である。人生の分岐点にかかわらず、私たちは岐路に立っており、原点に戻るか、新しいことを始めるかの間で揺れ動いている。生命、愛、痛みのシンフォニーが響き渡るのは、この神聖な空間からなのだ。その源で、無数の機会が手招きし、何か深い新しいものを約束してくれる(プレスリリースより一部抜粋)。
同写真祭は12の会場で13の展覧会を開催予定。生命、コミュニティ、先住民族、格差社会、地球温暖化など、10ヶ国13組のアーティストらがオルタナティヴな未来を提示するものとなる。
参加アーティストは、クラウディア・アンドゥハル、ヴィヴィアン・サッセン、ティエリー・アルドゥアン、ルシアン・クレルグ、川田喜久治、柏田テツヲ、ジェームス・モリソン、Iranian citizen and photographers、ヨリヤス(ヤシン・アラウイ・イズマイーリ)、川内倫子、潮田登久子、ジャイシング・ナゲシュワラン。
例えば、スイス出身でブラジルにて写真家のキャリアをスタートさせたクラウディア・アンドゥハル(1931〜)は、京都文化博物館 別館で展示を行う。ブラジルのアマゾンに住む最大の先住民グループのひとつ、ヤノマミ族をテーマに、シャーマンであり人々の代弁者であるダビ・コペナワの言葉や、ヤノマミ族のアーティストたちによるドローイングや映像作品を展示。これらを通じて彼らのストーリーが語られるとともに、先住民族以外の脅威や暴力から守るための、ヤノマミ族の世界観や政治も紹介される。キュレーターはチアゴ・ノゲイ、セノグラファーはおおうちおさむ。
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京都市京セラ美術館 本館で展示を行う日本の写真家・川田喜久治(1933〜)は、1955年に新潮社へ入社。退社後は奈良原一高、東松照明、細江英公、佐藤明、丹野章らとともに写真エージェンシー「VIVO」(1959〜61)を設立した。敗戦という歴史の記憶を記号化するメタファーに満ちた作品《地図》(1965)を発表して以来、現在に至るまでつねに予兆に満ちた硬質で新しいイメージを表現し続けている。近年はインスタグラムにて写真への思考を巡らせながら、日々作品を投稿している。キュレーターは高橋朗、セノグラファーはおおうちおさむ。
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2022年9月13日、当時22歳であったマフサ(ジナ)・アミニがヒジャブの着用を巡って逮捕・勾留中に死亡した事件をきっかけに、街頭では市民による抗議活動が行われた。フランスの新聞ル・モンド紙が2022年の蜂起を報道するために製作した写真集『You don’t die』(2023)は、匿名のイラン市民ら(Iranian citizen and photographers)が撮影し、SNSに投稿された写真や映像を引用して製作されている。今回は、マリー・スマラ、ガザル・ゴルシリによってキュレーションされた「You Don’t Die─The Story of Yet Another Iranian Uprising」で、その写真を見ることができる。
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東クルディスタンのマフサ・アミニの故郷であるサッケズで、マフサ・アミニの死後40日を追悼するため、何千人もの人々がアイチ墓地へ向かう中、ヒジャブをかぶらない若い女性が車の上に立っている。イスラム教の伝統では、この日を魂があの世に行く日、喪が明ける日として祝う。2022年10月26日、東クルディスタン、サッケズ。匿名の撮影者。
ほかにも、これから活躍が期待される写真家やキュレーターの発掘と支援を目的に2013年より実施されているサテライトイベント「KG+」も京都市内各所で実施予定のため、あわせて足を運んでみてほしい。