大阪中之島美術館、25年度は大カプコン展や上村松園展などを開催
大阪中之島美術館が2025年度の企画展を発表。大カプコン展や上村松園展など、多彩な企画が目白押しだ。
大阪中之島美術館が2025年度に開催予定の企画展を発表。「大カプコン展」や、「生誕150年記念 上村松園」、「日本美術の鉱脈展」「小出楢重展(仮称)」「アール・デコ100年展」「シュルレアリスム 拡大するイメージ 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ(仮称)」と魅力的なラインナップが目白押しとなっている。
大カプコン展 ―世界を魅了するゲームクリエイション(2025年3月20日〜6月22日)
1983年に創業し、以来大阪に本社を構えるゲームソフトメーカー、カプコン。家庭用ゲーム機の登場から約半世紀が経ち、大衆文化のひとつとして成長を遂げたゲーム文化、そしてその中核を担ってきたカプコンのクリエイションに着目する展覧会「大カプコン展」が2025年3月20日〜6月22日に開催される。
本展では、ゲームの開発者たちの「手」による企画書や原画、ポスターやパッケージなどのグラフィックワーク、体験型コンテンツ、最新技術など、ゲーム誕生の壮大なプロセスとそこに関わるクリエイターたちの想像力と実現力を展覧会という場に投入。世界を牽引してきた日本のゲーム文化をあらためてとらえなおす機会を創出するものとなる。
生誕150年記念 上村松園(2025年3月29日〜6月1日)
女性芸術家がまだ少ない時代に、並外れた努力を重ねて名声を築いた画家・上村松園(1875〜1949)の生誕150年を記念した「生誕150年記念 上村松園」が2025年3月29日〜6月1日に開催される。
若くして頭角をあらわした松園は、明治から昭和にかけて60年にわたって絵筆をとり、人物画の第一人者として独自の境地を拓いた。本展は、珠玉の作品群からその画業を紹介するもの。女性として初めて文化勲章を受章し、近代美術史に大きな足跡を残した松園芸術の真価をあらためて振り返る機会となるだろう。
日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ! (2025年6月21日〜8月31日)
日本美術における「知られざる鉱脈」を発掘し、今後の日本美術史に定着していくことを目標とする展覧会「日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!」は、2025年6月21日〜8月31日に開催される。
日本美術には、まだ世に知られていない作者・作品が埋もれている。例えば、美術ファンの多くがその名を知っているであろう伊藤若冲は、2000年に京都国立博物館で開催された展覧会をきっかけに空前の若冲ブームが巻き起こったものの、それ以前は一般的には「知られざる鉱脈」であった。本展では、いまなお眠る日本美術の鉱脈を掘り起こし、鑑賞者自身が「未来の国宝」を発見していく機会を創出するという。
小出楢重展(仮称)(2025年9月13日〜11月24日)
大阪市出身で、近代日本を代表する洋画家のひとり・小出楢重(1887〜1931)。その25年ぶりとなる回顧展「小出楢重展(仮称)」は2025年9月13日〜11月24日の会期で開催予定となっている。
東京美術学校を卒業後、二科展に《Nの家族》を出品し画壇にデビューした楢重は、急逝する43歳まで日本人としての油彩画を追求し続け、静物画や裸婦像において数々の傑作を残した。本展では、初期から晩年までの画業を各時代の代表作とともにたどり、楢重の油彩画の魅力に改めてせまるものとなる。また、素描、ガラス絵、装幀、挿絵、随筆などに発揮された多彩な才能もあわせて紹介されるという。
新時代のヴィーナス!アール・デコ100年展(2025年10月4日〜2026年1月4日)
1925年パリで開催された現代産業装飾芸術国際博覧会(アール・デコ博)から100周年を記念し「新時代のヴィーナス!アール・デコ100年展」が開催される。会期は2025年10月4日〜2026年1月4日。
この博覧会は装飾芸術(デザイン)に焦点を当てたもので、1900年のパリ万博以降の雰囲気を集大成するとともに、以降アメリカをはじめとする諸外国に国際的な影響を及ぼした。じつはその影響は大阪にも伝播しており、独自の文化を生み出している。本展は、幅広いアール・デコと呼ばれる様式のなかから、とくに女性と関わりの深いデザイン作品に焦点を当て、当時のグラフィック、ファッション、ジュエリー、香水瓶、乗用車などを紹介。100年前の「理想的な女性」像を振り返り、そのデザイン諸相を再発見する機会を生み出すという。
シュルレアリスム 拡大するイメージ 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ(仮称)(2025年12月13日〜2026年3月8日)
「シュルレアリスム 拡大するイメージ 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ(仮称)」は、2025年12月13日〜2026年3月8日の会期で開催される。
シュルレアリスム(超現実主義)とは、1924年にアンドレ・ブルトンが定義づけた芸術運動の動向であり、無意識や夢に着目した、フロイトの精神分析学に影響を受けて発生したものだ。文学における傾向として当初は起こったが、その影響はオブジェや絵画、写真・映像といった視覚芸術をはじめ、広告やファッション、インテリアへと幅広く展開した。本展では、社会に対して政治・日常の両面からアプローチしたシュルレアリスムを、表現の媒体をキーワードとして解体。シュルレアリスム像の再構築を試みるという。