2025.1.31

今週末に見たい展覧会ベスト13。ポケモン×工芸展から須田悦弘展、恵比寿映像祭まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「ポケモン×工芸展-美とわざの大発見-」展示風景より
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もうすぐ閉幕

ギンザ・グラフィック・ギャラリー第405回企画展「菊地敦己 グラフィックデザインのある空間」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)

Design: Atsuki Kikuchi

 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)で開催中の「菊地敦己 グラフィックデザインのある空間」が2月1日で閉幕する。

 菊地敦己は1974年東京生まれ。武蔵野美術大学彫刻学科在籍中にデザインの仕事を開始して以来、独自の方法論を築きながら30年にわたって精力的に活動を続けてきた。美術館のVIやサイン計画、ファッションブランドのためのアートディレクションをはじめ、エディトリアル・ブックデザインの分野でも数多くの実績を残している。また、批評性を持った実験的な作品を発表する展覧会を頻繁に開催し、多面的な表現活動も行っている。

 本展では、空間におけるグラフィックをテーマに、「平面上の空間」と「空間上の平面」との関係性を探る3つのインスタレーションを展開。見るという感覚を揺さぶる、菊地のグラフィックデザインを体感してほしい。

会期:2024年12月10日〜2025年2月1日
会場:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
住所:東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1階
電話番号:03-3571-5206
開館時間:11:00〜19:00 
休館日:日祝
料金:無料

第73回 東京藝術大学 卒業・修了作品展(東京藝術大学構内 ほか)

 東京・上野の東京藝術大学で、卒業・修了作品展が2月1日まで開催されている。

 学生生活の集大成として開催されるこの作品展は今年で73回目。美術学部の全科が上野に一堂に会し、東京都美術館大学美術館、構内における各学科のスペース、屋外のロケーションなどを活用しながら展覧会が構成されているのが特徴だ。世界に羽ばたく新たなアーティスト、クリエイターらによる第一歩を見ることができる貴重な機会をお見逃しなく。

会期:2025年1月28日〜2月1日
会場:[学部]東京都美術館・大学構内、[大学院]大学美術館・大学構内
住所:東京都台東区上野公園12-8 
開館時間:9:30〜17:30 ※入場は17:00まで 
休館日:会期中無休
料金:無料

「ポケモン×工芸展-美とわざの大発見-」(麻布台ヒルズギャラリー)

展示風景より、吉田泰一郎《ミュウツー》(2024)

 昨年3月から6月にかけて金沢の国立工芸館で開催され、大きな話題を呼んだ「ポケモン×工芸展-美とわざの大発見-」展。現在、麻布台ヒルズギャラリーで開催中のこの巡回展が2月2日で閉幕する。レポートはこちら

 ポケモンと工芸の出会いから生まれる「化学反応」がテーマの本展では、人間国宝から若手アーティストまで20作家が参加。ポケモンの姿や動作、雰囲気を表現した作品や、進化や通信、旅の舞台などゲームの要素を取り入れた作品が展示されている。

 出品作家には池田晃将、池本一三、今井完眞、植葉香澄、桂盛仁、桑田卓郎、小宮康義、城間栄市、須藤玲子、田口義明、田中信行、坪島悠貴、新實広記、林茂樹、葉山有樹、福田亨、桝本佳子、水橋さおり、満田晴穂、吉田泰一郎などが名を連ねている。

会期:2024年11月1日〜2025年2月2日 ※前期・後期で展示替えあり
会場:麻布台ヒルズ ギャラリー
住所:東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階
開館時間:10:00〜19:00(金、土、祝前日〜20:00) ※最終入館は閉館30分前まで
休館日:なし
料金:公式サイトを参照

「須田悦弘展」(渋谷区立松濤美術館

展示風景より、須田悦弘《バラ》(2024)

 東京・渋谷の渋谷区立松濤美術館で、美術家・須田悦弘の個展「須田悦弘展」が2月2日まで開催されている。レポートはこちら

 須田は1969年山梨県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。上京をきっかけに、都市のなかの自然のありように注目するようになり、その木彫によって生み出される精巧な植物の彫刻作品は、インスタレーションとして展示されることが多い。93年、移動式の展示空間をリヤカーで引き、銀座の道路沿いのパーキングメーターに駐車、展示する「銀座雑草論」でキャリアをスタート。以後、原美術館、アサヒビール大山崎山荘美術館、国立国際美術館、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館など数々の美術館・ギャラリーで作品を発表してきた。

 本展は、須田にとって東京都内の美術館では25年ぶりとなる個展。建築家・白井晟一による独創的な建築で知られるこの渋谷区立松濤美術館で、須田の植物作品や初期作品、ドローイング、さらに近年取り組んでいる古美術品の補作までを展示することで、その全容にせまる展覧会となっている。

会期:2024年11月30日~2025年2月2日
会場:渋谷区立松濤美術館
住所:東京都渋谷区松濤2-14-14
電話番号:03-3465-9421
開館時間:10:00~18:00(金~20:00) 
休館日:月
料金:一般 1000円 / 大学生 800円 / 高校生・60歳以上 500円 / 小中学生 100円

「バグスクール2024:野性の都市」(BUG

メインビジュアル

 東京・八重洲のBUGで、展覧会「バグスクール2024:野性の都市」が2月2日までの開催となっている。キュレーションは池田佳穂(インディペンデント・キュレーター)。

 「バグスクール」は、グループ展と参加型プログラムを組みあわせたアートプロジェクト。アーティストと学びあうなかで、有機的な作品購入体験も目指すものだ。BUGの活動方針のひとつであるキャリアの支援にもとづき、作品販売経験の少ないアーティストにその機会を提供。作品販売に関する書類作成や、価格やサイズの検討などのプロセスにも関わり、アーティストの活動の幅を広げる支援を実施する。また、売上はアーティスト収入分、配送経費等を除いた全額が「セーブ・ザ・チルドレン」に寄付される。

 本展の参加アーティストは宇田川直寛、黒川岳、ちぇんしげ、時吉あきな、トモトシ、中田愛美里、平松可南子の7名。BUGの周辺環境に身体を介入させて都市との関わりを考えた作品や、東京駅周辺だけではなく都市風景の隅っこや見えない気配からイメージを膨らませた作品、都市に住む生物や往来する人々に焦点を当てた作品、さらに都市のなかで生きるアーティスト自らの生活に向きあった作品など、バラエティ豊かな新作が展示されている。

会期:2024年12月18日〜2025年2月2日
会場:BUG
住所:東京都千代田区丸の内1-9-2 グラントウキョウサウスタワー 1F
開館時間:11:00〜19:00
休館日:火
料金:無料

今週開幕

「総合開館30周年記念 恵比寿映像祭2025『Docs ―これはイメージです―』」(東京都写真美術館 ほか)

トニー・コークス The Queen is Dead ... Fragment 2 2021 インスタレーション風景(ローマ現代美術館[MACRO]) 作家蔵
Courtesy the artist, Greene Naftali, New York, Hannah Hoffman, Los Angeles, and Electronic Arts Intermix, New York.
Photo: Simon d'Exéa.[参考図版]

 東京都写真美術館をはじめとする周辺施設で、恵比寿映像祭2025が開催される。会期は1月31日~2月16日。

 同館の総合開館30周年を記念して開催される今回の恵比寿映像祭のテーマは「Docs ―これはイメージです―」。メディアの変容に着目し、幅広い作品群をイメージと言葉からひも解くことで、「ドキュメント/ドキュメンタリー」を再考することを試みるという。

 館内では各フロアにおいて、国内外で活躍するアーティストによる映像、写真、資料などのパフォーマンスや身体性と関連する作品群や、第2回となる「コミッション・プロジェクト」のファイナリストによる新作、東京都コレクションの展示および上映、パフォーマンス、ライブ、トーク、ワークショップなどのプログラムを実施予定。これらを通じて、19世紀から現代に至る様々な表現を紹介し、時間を記録することに焦点を当てながらアーカイヴを掘り下げ、言葉とイメージの問題をひも解いていくものとなる。

会期:2025年1月31日~2月16日 ※コミッション・プロジェクト(3F展示室)は3月23日まで
会場:東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイス各所、地域連携各所ほか
開館時間:10:00〜20:00(1月31日~2月15日、最終日は〜18:00) 
休館日:月
料金:入場無料 ※一部のプログラム(上映など)は有料

「CURATION⇄FAIR Tokyo」(kudan house ほか)

 展覧会と、厳選されたギャラリー・美術商によるアートフェアの2部で構成されるアートイベント「CURATION⇄FAIR Tokyo」。その展覧会が2月1日より開幕する(アートフェアは2月22日から)。昨年の展覧会レポートはこちら、アートフェアのレポートはこちら。同イベントのキーパーソンらに実施したインタビューはこちら

 「CURATION⇄FAIR Tokyo」は、東京の登録有形文化財である「kudan house(九段ハウス)」(旧山口萬吉邸)を舞台に昨年初開催され、大きな注目を集めた。今回も展覧会とアートフェアという昨年の枠組みは引き継がれ、kudan houseをメイン会場に、アートを楽しみ、購入することができるものとなっている。

 出展者には古美術・工芸・近代美術・現代美術を取り扱う約20軒のギャラリー・美術商が参加。前回に引き続きシニアアドバイザーを山本豊津が、キュレーターを遠藤水城が務める。

会期:[展覧会]2025年1月31日〜2月16日、[アートフェア]2月22日〜24日
会場:kudan house、ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町, ラグジュアリーコレクションホテル、赤坂プリンス クラシックハウス、九段会館テラス
料金:公式サイトを参照のこと

特別展「魂を込めた 円空仏 —飛騨・千光寺を中心にして—」(三井記念美術館

両面宿儺坐像 千光寺
画像提供:東京国立博物館 Image:TNM Image Archives

 東京・日本橋の三井記念美術館で、特別展「魂を込めた 円空仏 —飛騨・千光寺を中心にして—」が2月1日より開催される。

 江戸時代の山林修行僧・円空は、愛知、岐阜を中心に関東、北陸、さらに北海道までを巡り、各地に木彫の神仏像いわゆる「円空仏」を多数残した。現存するその数は約5000体あまりとも言われている。

 本展では、9つの視点からその円空仏を紹介する。円空の「削り跡」に注目し、現代彫刻にも通ずる造形の魅力を深掘りするほか、岐阜県千光寺の《両面宿儺像》も日本橋で初めて展示される。

会期:2025年2月1日〜3月30日
会場:三井記念美術館
住所:東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜17:00  ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし 2月10日、2月24日は開館)、2月23日 
料金:一般 1500円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下 無料

「生誕190年記念 豊原国周」(太田記念美術館

豊原国周 四人剣見越之魁 (個人蔵) 前期展示

 太田記念美術館で「生誕190年記念 豊原国周」が開催される。会期は2月1日〜3月26日。

 今年は、幕末から明治にかけての浮世絵師である豊原国周(1835〜1900)の生誕190年にあたる。国周は「役者絵」の第一人者として名を馳せるとともに、繊細な雰囲気を湛える美人画などでも評価を獲得。月岡芳年や小林清親らと並ぶ人気絵師として活躍した。

 本展は、従来の展覧会では紹介される機会の少なかった国周の画業を初期から晩年まで俯瞰し、約210点の作品で紹介する過去最大級の回顧展。国周のイメージをかたちづくってきた役者絵の名品はもちろん、美人画や肉筆画などの貴重な作品も展示されるという。

会期:[前期]2025年2月1日〜24日、[後期]3月1日〜26日
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:30〜17:30 ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし、2月24日は開館)、展示替え期間(2月25日〜28日)
料金:一般 1200円 / 大高生 800円 / 中学生以下 無料

「東山魁夷と風景画の旅 日本から世界へ」(福田美術館

東山魁夷 緑の朝 1991 福田美術館蔵 通期展示

 福田美術館で、展覧会「東山魁夷と風景画の旅 日本から世界へ」が2月1日よりスタートする。

 本展では、同館が所蔵する魁夷の作品約30点を一挙公開。また京都の修学院離宮を描いた《夕涼》や、円山公園の祇園しだれ桜を描いた《花明り》(大和証券グループ本社蔵)などの名品も特別展示される。

 さらに、与謝蕪村や池大雅が憧景した中国の山水画にもとづいて描く近世の風景画から始まり、横山大観、菱田春草らが光や空気を新技法「朦朧体」で表現した近代日本画までも紹介することで、風景画の歴史もたどる。加えて、魁夷らが描く日本の風景画にあわせて、19世紀フランスで活躍した西洋画家カミーユ・コローやクロード・モネの作品も展示されるという。

会期:[前期]2025年2月1日〜3月3日、[後期]3月5日〜4月13日
会場:福田美術館
住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16
電話番号:075-863-0606 
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館30分前まで 
休館日:2月18日、3月4日 
料金:一般・大学生 1500円 / 高校生 900円 / 小・中学生 500円

「メキシコへのまなざし」(埼玉県立近代美術館

利根山光人 いしぶみ 1961 東京国立近代美術館蔵 ©一般社団法人アルテトネヤマ

 埼玉県立近代美術館で「メキシコへのまなざし」が開催される。会期は2月1日〜5月11日。

 1950年代の日本では、メキシコ美術が展覧会や雑誌を通じて盛んに紹介され、多くの美術家がその鮮やかな色彩、古代文明や革命の歴史と結びついた力強い造形表現に魅了された。とりわけ、55年に東京国立博物館で開催された「メキシコ美術展」は、美術家たちがメキシコに目を向けるきっかけともなった。

 いっぽう、埼玉県立近代美術館は82年の開館以来、メキシコの近現代美術を収集し、メキシコ美術に焦点をあてた展覧会をたびたび開催。こうした活動の背景には、埼玉県とメキシコ州との姉妹提携締結(1979)に加えて、55年の「メキシコ美術展」を訪れメキシコ美術への造詣を深めていった初代館長・本間正義の存在があるのだという。

 本展では、福沢一郎、岡本太郎、利根山光人、芥川(間所)紗織、河原温の足跡をたどり、50年代にメキシコに惹かれた美術家たちがメキシコをどのようにとらえたのかを考える。また同館のメキシコ美術コレクションとその形成の歩みを、学芸員としてメキシコ美術の普及に努めた本間正義の仕事とともに紹介。作品や資料、開催された展覧会などを通じて、戦後日本がメキシコ美術に向けたまなざしを、様々な角度から検証する試みだ。

会期:2025年2月1日〜5月11日
会場:埼玉県立近代美術館
住所:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
電話番号:048-824-0111 
開館時間:10:00〜17:30 ※展示室への入場は17:00まで
休館日:月(ただし、2月24日、5月5日は開館) 
料金:一般 900円 / 大高生 720円 / 中学生以下 無料

「べらぼう 江戸たいとう 大河ドラマ館」

 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の放送開始にあわせ、蔦重ゆかりの地である東京都台東区に大河ドラマ館がオープン。館内ではドラマの概要紹介や登場人物の衣装、小道具などの展示が実施される。

会期:2025年2月1日~2026年1月12日
会場:台東区民会館9階
住所:東京都台東区花川戸2-6-5 
開館時間:9:00〜17:00 ※最終入場は16:30 
休館日:毎月第2月(ただし、祝日の場合は翌平日休館)、年末年始
料金: 大人(中学生以上) 800円 / 小学生 400円