2025.3.14

今週末に見たい展覧会ベスト18。学習院の新ミュージアムから大覚寺、パウル・クレーにロバート・キャパまで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

特別展「旧嵯峨御所 大覚寺 -百花繚乱 御所ゆかりの絵画-」(東京国立博物館)展示風景より、《五大明王像》
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もうすぐ閉幕

特別展「旧嵯峨御所 大覚寺 -百花繚乱 御所ゆかりの絵画-」(東京国立博物館

展示風景より、狩野山楽《牡丹図》(17世紀)

 東京国立博物館で、開催されている、開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺 -百花繚乱 御所ゆかりの絵画-」は3月16日まで。会場レポートはこちら

 京都西北に位置する嵯峨は、古くより風光明媚な王朝貴族遊覧の地として愛されてきた。平安時代初期、嵯峨天皇(786~842)はこの地に離宮・嵯峨院を造営、その後、大覚寺が開創された。2026年に開創1150年を迎えるのに先立ち、本展では優れた寺宝の数々を一挙に紹介。

 120面を超える障壁画のほか、信仰の歴史を物語る歴代天皇の書や、平安時代後期の仏像を代表する明円作「五大明王像」(重要文化財)など、密教美術の名品も公開されている。

会期:2025年1月21日~3月16日([前期]1月21日~2月16日、[後期]2月18日~3月16日)
会場:東京国立博物館 平成館
住所:東京都台東区上野公園13-9
開館時間:9:30~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(2月10日、24日は開館)、2月25日  
料金:一般 2100円 / 大学生 1300円 / 高校生 900円

「生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」(東京ステーションギャラリー

宮脇綾子 ひなげし 1969 豊田市美術館

 東京ステーションギャラリーで開催されている「生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」は3月16日まで。

 宮脇綾子(1905〜1995)は身近なモノを対象に、布と紙で作品を制作。アプリケ、コラージュ、手芸などに分類されてきた宮脇の作品は、しかしいずれの枠にも収まりきらない。モテーフにしたのは野菜や魚など、主婦として毎日目にしていたものを徹底的に観察し、ときに割って断面をさらし、分解して構造を確かめるなど、たゆまぬ研究の果てに作品をつくり出した。

 本展では、宮脇綾子をひとりの造形作家としてとらえ、約150点の作品と資料を造形的な特徴にもとづいて8章に分類・構成して紹介。美術史のことばを使って分析することで、宮脇綾子の芸術に新たな光をあてようとする試みとなっている。

会期:2025年1月25日~3月16日
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話:03-3212-2485
開館時間:10:00~18:00(金~20:00)※入場は閉館の30分前まで
観覧料:一般 1300円 / 高校・大学生 1100円 / 中学生以下 無料

「花器のある風景」(泉屋博古館東京

展示風景より

 東京・六本木の泉屋博古館東京で、住友コレクションから花器と花器が描かれた絵画を紹介する企画展「花器のある風景」が3月16日まで開催されている。会場レポートはこちら

 日本における花器の歴史は、中国より寺院における荘厳の道具として伝来したのがはじまりとされる。室町時代には連歌や茶会、 生花など室内芸能がさかんになり、中国から輸入された唐物と称される書画、調度類や茶道具、文房具を座敷に並び立てる「座敷飾り」が発展。床の間の飾りには、唐物の花生、香炉、香合、天目などが飾られた。

 茶の湯の世界でも、清浄なる空間を演出するものとして、花器は重用された。唐物の金属製の花器をもとに、日本でも中世以降、陶磁器や竹など様々な素材で花器がつくられ、日本独自の美意識が誕生。住友コレクションには、室町時代の茶人、松本珠報が所持したとされる《砂張舟形釣花入 銘松本船》、江戸時代の茶人、小堀遠州ゆかりの《古銅象耳花入 銘キネナリ》などの花器が伝世されており、こうした茶の湯と花器の歴史をたどることができる。

会期:2025年1月15日〜3月16日
会場:泉屋博古館東京(旧・泉屋博古館分館)
住所:東京都港区六本木1-5-1 
開館時間:11:00〜18:00(金〜19:00)※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1200円 / 学生 600円 / 18歳以下 無料

米谷健+ジュリア「CRYSTAL PALACE」(art cruise gallery by Baycrew’s)

展示風景より

 株式会社ベイクルーズが運営する虎ノ門ヒルズ ステーションタワー内のアートギャラリー「art cruise gallery by Baycrew’s」で、第6回展示として米谷健+ジュリアの個展「CRYSTAL PALACE」が開催されている。会期は3月16日まで。会場レポートはこちら

 米谷健+ジュリアは元金融ブローカーと元大学の歴史学者という異色のアートユニット。現在は京都を拠点に、有機農業も営みつつ制作活動を行っている。インスタレーション、パフォーマンス、立体や映像など様々な表現方法で、環境問題や社会問題を美的かつユーモアあふれる作品に変換し、国際的にも高い評価を受けているアーティストユニットだ。

 本展では、代表作であるインスタレーション《クリスタルパレス:万原子力発電国産業製作品大博覧会》から9点が展示室に浮かぶ。1851年のロンドン万国博覧会の会場としてハイドパークに建てられた全面ガラス張りの巨大建造物「クリスタルパレス(水晶宮)」に由来するもので、ふたりは世界で原発による発電を行っている32の国のシャンデリアを制作した。一点一点に原発保有国名がつけられており、サイズはその国の原発からつくり出される電力の総出力規模(メガワット:IAEA資料参考)に比例している。

会期:2025年1月30日〜3月16日
会場:art cruise gallery by Baycrew’s
住所:東京都港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズ ステーションタワ ー3F SELECT by BAYCREW’S 内
開館時間:11:00〜20:00(1月30日〜18:00) ※入場は19:30まで
休館日:SELECT by BAYCREW’Sに準ずる
料金:無料

T2 Collection「Collecting? Connecting?」展(WHAT MUSEUM

展示風景より、左からベルナール・フリズ《Mora》(2014)、松山智一《Baby,It's Cold Outside》(2017)、バリー・マッギー《Untitled》(2013)

 東京・天王洲にある「WHAT MUSEUM」で、ビッグデータ・AI領域で活躍するコレクター・高橋隆史が収集した現代美術作品を紹介するT2 Collection「Collecting? Connecting?」展が開催されている。会場レポートはこちら

 T2 Collection(ティーツーコレクション)は、ブレインパッドの共同創業者であり、ビッグデータ・AI 領域で活躍する高橋隆史が、約6年前から収集してきた現代アートのコレクション。高橋はコンセプトやビジョンを世界に問うという点で、作家と起業家に共通する側面を見出し、コレクションを始めた。とくに作家が新たな挑戦として制作した作品や、若手作家による作品のコレクションに力を入れている。

 本展では、高橋がコレクターとして歩みはじめて最初に購入したベルナール・フリズの作品をはじめ、宮島達男、名和晃平、和田礼治郎など、近年惹かれているコンセプチュアルな作品を中心に約35点を紹介。本展覧会を通して、作品が発するメッセージを鑑賞者自身の視点でとらえながら、自身の考え方や価値観と結びつけ、個の「点」が様々な「点」とつながっていくことを実感できる展覧会となっている。

会期:2024年10月4日〜2025年3月16日
会場:WHAT MUSEUM
住所:東京都品川区東品川2-6-10 G号
開館時間:11:00〜18:00 ※入館は閉館の60分前まで
料金:一般 1500円 / 大学生 800円 / 高校生以下無料
※同時開催の展覧会 奥中章人「Synesthesia ーアートで交わる五感ー」展の観覧料を含む

特別展「星の瞬間 アーティストとミュージアムが読み直す、Hokkaido」(北海道立近代美術館

展示風景より、両端が花田和治《水辺にて》(2004-05)と《手稲山》(1988)、中央が高橋喜代史《わたし山》(2024)

 札幌の北海道立近代美術館で、同館コレクションを現代美術家と同館の学芸員が読み直す特別展「星の瞬間 アーティストとミュージアムが読み直す、Hokkaido」が3月16日まで開催されている。会場レポートはこちら

 1977年に開館した北海道立近代美術館は、現在約6000点の作品を収蔵している。なかでも「北海道の美術」は3100点に及んでおり、同館コレクションの中核を成す。本展はこの「北海道の美術」についてのコレクションを、アーティストと同館学芸員がそれぞれの関心からピックアップし、前者は作品とともに、後者は調査結果とともに展示するものだ。

 参加する現代美術家は、札幌を拠点にするCAI現代芸術研究所/CAI03が選定した。同研究所は00年に札幌・円山に北海道初の現代美術の研究所として誕生し、以来、現代社会が求める創造的なライフスタイルを現代美術の面から実践してきた、北海道の現代美術を語るうえでは欠かせない存在となっている。

会期:2025年1月5日~3月16日
会場:北海道立近代美術館
住所:北海道札幌市中央区北1条西17
電話番号:011-644-6882 
開館時間:9:30~17:00 ※入場は閉館の30分前まで
料金:一般 1200円 / 高大生 700円 / 小中生 300円 / 未就学児 無料

「来たる世界2075 テクノロジーと崇高」(GYRE GALLERY

展示風景より、井田大介《シノプテス》(2023)

 技術が人間のスケールや理解の限界を超え、引き起こす畏怖や不安を「技術的崇高」と称し、それを感じさせる作品を紹介する展覧会「来たる世界2075 テクノロジーと崇高」は、東京・表参道のGYRE GALLERYで3月16日まで。

 参加作家は、アンドレア・サモリー、牧田愛井田大介、イオナ・ズールの4組。

 50年後の世界がどのようなものになっているのかを作品によって浮かび上がらせてみようという試み。技術とつながるものとして、新たな崇高のかたちを考える。

会期:2025年2月11日〜3月16日
会場:GYRE GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
電話番号:0570-05-6990(ナビダイヤル)
開館時間:GYREに準ずる
休館日:2月17日
料金:無料

「パウル・クレー展 創造をめぐる星座」(愛知県美術館

パウル・クレー 赤、⻩、⻘、白、黑の⻑方形によるハーモニー 1923 パウル・クレー・センター

 愛知・名古屋の愛知県美術館で「パウル・クレー展 創造をめぐる星座」が3月16日まで開催されている。

  パウル・クレーは、⼈⽣の根源的な悲劇性と向きあいながら、線と⾊彩によって光を呼び起こし、抽象のなかに⽣命のエネルギーを描き出した。その作品は、歴史的な⽂脈のなかに置かれることで、また新たな姿を⾒せる。

 本展では、スイスのパウル・クレー・センターとの学術協⼒のもと、クレーと交流のあった芸術家の作品との⽐較や、当時の貴重な資料の参照を通じて、多くの⼈や情報が構成する星座=コンステレーションのなかでクレーをとらえ直し、その⽣涯にわたる創造の軌跡をたどっている。

会期:2025年1月18日~3月16日
会場:愛知県美術館
住所:愛知県名古屋市東区東桜1-13-2
電話:052-971-5511
開館時間:10:00~18:00(金~20:00) (⼊館は閉館の30分前まで)
観覧料:⼀般 1800円 / ⾼校・⼤学⽣ 1200円 / 中学⽣以下 無料

「すべてのものとダンスを踊って―共感のエコロジー」(金沢21世紀美術館

Fabbrica dell’Aria® PNAT 2023 ©photo Takumi Ota

 開館20周年を迎える金沢21世紀美術館で、「新しいエコロジー」という年間テーマに呼応した展覧会「すべてのものとダンスを踊って―共感のエコロジー」が3月16日まで開催されている。

 本展では、社会や精神までを含みうる、総合的なエコロジー理論の行く末を、アーティストの鋭敏な感性と観察を通じて作品として展示。同じヴィジョンを共有する科学者や哲学者などの研究者たちと協働し、専門的な内容を視覚化、可感化することで、感覚を通した学び(Sensory Learning)を見るにものに伝える。

 アフリカ、南アメリカ、アジア、欧米の芸術家、クリエイターが集い、美術館の空間のなかでお互いにダンスを踊るように生命とともに生き延びるための知恵を分かちあう。

会期:2024年11月2日~2025年3月16日
会場:金沢21世紀美術館
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
電話:076-220-2800
開館時間:10:00~18:00(金土~20:00) ※観覧券販売は閉場の30分前まで
観覧料:一般 1400円 / 大学生 1000円 / 小中高生 500円 / 65歳以上 1100円

今週開幕

「西洋絵画、どこから見るか?」(国立西洋美術館

展示風景より、フアン・サンチェス・コターン《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》(1602頃、サンディエゴ美術館蔵)

 東京・上野の国立西洋美術館で、「西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館」(通称「どこみる展」)が開幕した。会期は6月8日まで。会場レポートはこちら

. 本展は、アメリカのサンディエゴ美術館と国立西洋美術館の所蔵品をあわせた88点を展示し、ルネサンスから19世紀末に至る約600年の西洋美術史をたどるものだ。

 展覧会は、時代ごとに「ルネサンス」「バロック」「18世紀」「19世紀」と章立てされており、全88点の作品を30以上の小セクションに分けて展示。作品を並べて比較することで、それぞれの個性や共通点がより際立たせるとともに、鑑賞の手助けとなるような解説パネルも設置し、西洋絵画の見方やその奥深さをわかりやすく伝えることを意識した展覧会となっている。

会期:2025年3月11日~6月8日
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
電話番号:050-5541-8600
開館時間:9:30~17:30(金土~20:00)※入館は閉館30分前まで
休館日:月、5月7日(ただし、3月24日、5月5日、5月6日は開館)
料金:一般 2300円 / 大学生 1400円 / 高校生 1000円 / 中学生以下 無料

所蔵作品展「移転開館5周年記念 花と暮らす展」(国立工芸館

十三代今泉今右衛門(善詔) 色鍋島薄墨石竹文鉢 1982 国立工芸館蔵
撮影:エス・アンド・ティ フォト ©2019

 金沢の国立工芸館で、所蔵作品展「移転開館5周年記念 花と暮らす展」が開幕した。会期は6月22日まで。会場レポートはこちら

 本展は、国立工芸館の所蔵作品を中心に、春から夏にかけて咲く花などの植物をテーマにした工芸・デザイン作品と、花のためのうつわを紹介。さらに、国立西洋美術館からの特別出品として、モーリス・ドニの《花束を飾った食卓(マルト・ドニと二人の娘ベルナデット,アンヌ=マリー)》(1904)と《ハリエニシダ》(1911頃)の2点も展示する。会期中、前期と後期にて一部展示替えが行われる。

 また、明治から昭和の時代に活躍したグラフィックデザイナー、杉浦非水(1876〜1965)の旧蔵本の一部を紹介するテーマ展示「本と暮らす」も同時開催。工芸館アートライブラリが所蔵しているおよそ400点の杉浦非水旧蔵資料のうち、植物に関連したものを展覧する。

会期:[前期]2025年3月14日~5月6日、[後期]]5月8日~6月22日
会場:国立工芸館
住所:石川県金沢市出羽町3-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9:30~17:30 ※入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、3月31日、4月7日、28日、5月5日は開館)、5月7日
料金:一般 300円 / 大学生 150円 / 高校生以下および18歳未満、65歳以上 無料

「VOCA展2025 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」(上野の森美術館

 上野の森美術館で「VOCA展2025 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」が開催される。会期は3月15日〜3月30日。

 「VOCA展」は、現代アートにおける平面の領域で国際的にも通用するような将来性のある若い作家の支援を目的に、1994年より毎年開催している美術展。日頃から多くの作家をリサーチしている全国の美術館学芸員、研究者などから推薦委員を選出し、それぞれ 40歳以下の作家1名(組)を推薦してもらい、推薦された作家全員に展覧会への出品を依頼している。

 本展に出品するのは、これからを期待される新進気鋭の作家23組(24名)。このなかから、グランプリとなるVOCA賞は、宮本華子の《在る家の日常》に決定。そのほかVOCA奨励賞には諫山元貴、小林万里子、VOCA佳作賞には鮫島ゆい、𠮷田芙希子の作品が選出された。また、大原美術館賞には髙木優希の作品が、同美術館の選考により選出された。

会期:2025年3月15日~3月30日
会場:上野の森美術館
住所:東京都台東区上野公園1-2
電話:03-3833-4191
開館時間:10:00~17:00(3月30日は〜15:00) ※入場は閉館30分前まで
休館日:無休
観覧料:一般 800円 / 大学生 400円 / 高校生以下 無料

「華族文化 美の玉手箱 芸術と伝統文化のパトロネージュ」(霞会館記念学習院ミュージアム

展示風景より

 学習院大学に新たな大学博物館「霞会館記念学習院ミュージアム」が誕生。そのリニューアルを記念した特別展「華族文化 美の玉手箱 芸術と伝統文化のパトロネージュ」がスタートした。会期は5月17日まで。

 学習院大学史料館は、1949年に開学した学習院大学の附置研究施設として75年に設立。開館以来、史・資料の収集・保存、調査・研究、展示・公開 を行い、数多くの展覧会も開催してきた。そのコレクションは古文書、絵画、工芸など25万点を超え、なかでも皇族・華族ゆかりの品々は、貴重な史・資料、美術品群と言える。

 同展は、霞会館記念 学習院ミュージアムの柿落としとなるもの。「学習院」「皇族・華族」に関する史・資料・美術品を収集し、調査研究を続けてきた同館のコレクションのなかから、皇族・華族ゆかりの品々を展覧し、日本のパトロネージュの一端を紹介。職人たちの庇護を目的に制作された工芸品、皇族・華族らの暮らしを彩った調度品や身の回りの品々、儀礼で用いられる装束やドレス、絵画、工芸、古文書、文学史料など約100点を展覧できる機会となっている。

会期:2025年3月14日〜5月17日
会場:霞会館記念学習院ミュージアム
住所:東京都豊島区目白1-5-1 学習院大学目白キャンパス内
開館時間:10:00〜17:00
休館日:日、祝日、その他大学休講日・入試期間など
料金:無料

特別展「古代DNA―日本人のきた道―」(国立科学博物館

 東京・上野の国立科学博物館で、特別展「古代DNA―日本人のきた道―」が開催される。

 遺跡から発掘された古代の人々の骨に残るごく僅かなDNAを解読し、人類の足跡をたどる古代DNA研究。近年では技術の発展とともに飛躍的な進化を遂げ、ホモ・サピエンスの歩んできた道のりが従来想像されていたよりもはるかに複雑であったことがわかってきた。

 本展は、日本各地の古人骨や考古資料、高精細の古人頭骨CG映像などによって、最新の研究で見えてきた遥かなる日本人のきた道と、集団の歴史が語る未来へのメッセージを伝えるものとなる。

会期:2025年3月15日~6月15日
会場:国立科学博物館
住所:東京都台東区上野公園7-20
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9:00~17:00(土、4月27日~5月6日は〜19:00) ※常設展示は4月26日~5月6日は〜18:00、それ以外の期間、常設展示は〜17:00 ※入館は各閉館の30分前まで
休館日:月、5月7日(ただし3月31日、4月28日、5月5日、6月9日は開館)
観覧料:一般・大学生 2100円 / 小・中・高校生 600円 / 未就学児 無料

みんぱく創設50周年記念企画展「点と線の美学——アラビア書道の軌跡」(国立民族学博物館

ハサン・マスウーディー 人 1996年 国立民族学博物館 提供

 大阪・吹田の国立民族学博物館で、みんぱく創設50周年記念企画展「点と線の美学——アラビア書道の軌跡」が開催されている。会期は6月17日まで。

 アラビア書道とは、アラビア文字を美しく書く手法を追求する芸術。10世紀のバグダードで体系化され、おもにイスラーム建築の装飾やクルアーン写本にもちいられてきた。アラビア書道に魅了された人々が、中東・イスラーム世界に限らず欧米や日本においても、1000年の伝統と向きあい作品制作に真摯に取り組んでいる。

 本展では、コミュニケーションのデジタル化が進む今日において手で文字を書くことの社会的役割を探求するとともに、20~21世紀におけるアラビア書道の変容と再生の軌跡をたどる。アラビア書道の伝統と革新のダイナミズムを提示するとともに、美術としてのアラビア書道展示とは一線を画した包括的な企画となる。

会期:2025年3月13日~6月17日
会場:国立民族学博物館住所大阪府吹田市千里万博公園10-1
電話:06-6876-2151
開館時間:10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:水
観覧料:一般 580円 / 大学生 250円 / 高校生以下 無料

「春の江戸絵画まつり 司馬江漢と亜欧堂田善 かっこいい油絵」(府中市美術館

春の江戸絵画まつり 司馬江漢と亜欧堂田善 かっこいい油絵

 東京・府中の府中市美術館で「春の江戸絵画まつり 司馬江漢と亜欧堂田善 かっこいい油絵」が開催される。会期は3月15日~4月13日。

 油絵といえば「西洋のもの」というイメージがあるが、江戸時代の日本でもオランダや中国を通じて、少ないながらも油絵が輸入され、それをまねて描く画家がいた。その代表的な画家が、司馬江漢(1747〜1818)と亜欧堂田善(1748〜1822)だ。ただし、ふたりの油絵はよく知る油絵とは異なる。荏胡麻の油などを使って自分で調合した絵具で、日本で古くから使われてきた薄くて繊細な絵絹に描いているので、滑らかでさらりとして、明朗かつ落ち着きのある色をしている。

 府中市美術館では様々な展覧会でふたりの油絵を紹介してきたが、鑑賞者からよく聞こえてきたのが「かっこいい」という言葉だったという。本展では、油絵だけでなく銅版画や、墨や在来の絵具を使った作品も紹介する。そしてふたりの生い立ち、画家としての立場や環境の違い、目指すものの違いにも注目。科学者であり文人でもあった司馬と、幕府老中もつとめた白河藩主松平定信のもとで黙々と技術を極めた亜欧堂。ふたりの違いが作品にどう表れているかも見所となりそうだ。

会期:[前期]2025年3月15日~4月13日、[後期]2025年4月15日~5月11日
会場:府中市美術館
住所:東京都府中市浅間町1-3(都立府中の森公園内)
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~17:00(入場は入場の30分前まで)
休館日:月(5月5日は開館)
観覧料:一般 800円 / 高校・大学生 400円 / 小・中学生 200円 / 未就学児 無料

「ロバート・キャパ 戦争」(東京都写真美術館

ロバート・キャパ 「Dデー作戦」でオマハ・ビーチに上陸する米軍、ノルマンディー、フランス 1944 東京富士美術館所蔵

 東京・恵比寿の東京都写真美術館で20世紀を代表する写真家のひとり、ロバート・キャパの写真を紹介する「ロバート・キャパ 戦争」が開催される。会期は3月15日〜5月11日。

 20世紀が生んだ偉大な写真家のひとり、ロバート・キャパは「カメラの詩人」と言われ、またすぐれた「時代の証言者」でもあった。1930年代ヨーロッパの政治的混乱、スペイン内戦でドイツ・イタリアのファシスト政権に支援されたフランコ将軍の反乱軍によって次第に圧倒されて敗北する共和国政府軍、日本軍による中国の漢口爆撃、第二次世界大戦で連合軍の対ドイツ反攻作戦の始まる北アフリカから、イタリア戦線、ノルマンディー上陸作戦などの戦闘現場に立ち会い、命がけの取材写真は眼に見える確かな記録を残した。

 本展では、東京富士美術館が所蔵するキャパの約1000点のコレクション・プリントから、“戦争”に焦点を当てた作品約140点を厳選して展示する。

会期:2025年3月15日~5月11日
会場:東京都写真美術館
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
電話:03-3280-0099
開館時間:10:00~18:00(木金〜20:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、5月5日は開館)、5月7日
観覧料:一般 1200円 / 学生、65歳以上 1000円 / 高校生 800円 / 中学生以下無料

「生誕一二〇年 人間国宝 黒田辰秋-木と漆と螺鈿の旅-」(豊田市美術館

「生誕一二〇年 人間国宝 黒田辰秋-木と漆と螺鈿の旅-」(京都国立近代美術館)展示風景

 愛知・豊田の豊田市美術館で「生誕一二〇年 人間国宝 黒田辰秋-木と漆と螺鈿の旅-」が開催される。会期は3月15日~5月18日。本展は京都国立近代美術館からの巡回となり、京都会場のレポートはこちら

 1904年に京都の祇園清井町に生まれた黒田辰秋は、幼いころから父が営む塗師屋の職人仕事に親しんでいたが、当時の分業で行う漆工芸の制作体制に疑問を持ち、素地づくりから加飾までを一貫制作する独自の制作スタイルを確立した。過去の作例に学びながら独創性を開花させ、30年代から40年代にかけては、日本伝統工芸展を活躍の場として、拭漆や耀貝(メキシコ鮑)による螺鈿をもちいて、多彩で力強い独自の境地に達している。1970年には木工芸の分野において初めてとなる重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。

 黒田の生誕120年を記念した本展では、日本の工芸史に確かな足跡を残したその生涯を、初期から晩年までの代表作を通じて紹介する。 

会期:2025年3月15日~5月18日
会場:豊田市美術館
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
電話:0565-34-6610
開館時間:10:00~17:30(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月(4月28日、5月5日は開館)
観覧料:一般 1200円 / 高校・大学生 1000円 / 中学生以下 無料