国立西洋美術館と凸版印刷、モネ作《睡蓮、柳の反映》の欠損部分をデジタルで推定復元するプロジェクトに着手
国立西洋美術館と凸版印刷が、同館が所蔵するクロード・モネ作《睡蓮、柳の反映》の欠損部分を推定し、デジタルで復元するプロジェクトに着手した。その成果は、「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」(6月11日~9月23日)で見ることができる。
国立西洋美術館所蔵品の中核を成す「松方コレクション」の一部である、クロード・モネ晩年の大作《睡蓮、柳の反映》(1916)。同作を所蔵する国立西洋美術館と凸版印刷が、その欠損箇所を推定し、全体像をデジタル復元するプロジェクトに着手した。
《睡蓮、柳の反映》は、川崎造船所初代社長・松方幸次郎が1921年にモネから直接譲り受けた「睡蓮」シリーズの内のひとつで、オランジュリー美術館の「睡蓮」大装飾画を構想する過程で描かれたとされるもの。横4.25メートルの大作だが、2016年にパリ・ルーブル美術館の一角で発見されるまで所在がわからなくなっていた。
発見されたときには画布の上半分ほとんどが欠損しており、破損の前に撮影された白黒写真から全体像を想像するしかなかった同作。今回は、これまで文化財のデジタルアーカイブや、消失文化財のデジタル再現に取り組んできた凸版印刷がその推定復元を行う。
なおデジタル復元の成果は、国立西洋美術館で開催される「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」(6月11日~9月23日)で初披露。モネの「幻の大作」が最新技術でどのように生まれ変わるのかに注目したい。