2024.10.25

V&Aの新施設「V&A East Storehouse」と「V&A East Museum」が2025、26年にオープン。デヴィッド・ボウイ・センターも隣接

ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館の新たな文化施設として「V&A East Storehouse」と「V&A East Museum」がそれぞれ2025年5月31日、2026年春にオープンする。

View of the Collections Hall at V&A East Storehouse © Diller Scofidio + Renfro
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 ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(以下、V&A)の新たな文化施設として「V&A East Storehouse」(以下、V&A イースト・ストアハウス)と「V&A East Museum」(以下、V&A イースト・ミュージアム)がそれぞれ2025年5月31日、2026年春にオープンする。

 V&A イースト・ストアハウスは、ロンドン東部のストラトフォードにある2012年オリンピックの旧会場に建設されており、世界最大規模の音楽フェスティバル「グラストンベリー・フェスティバル」のアーカイヴから、PJ・ハーヴェイやエルトン・ジョンの衣装、ヴィンテージサッカーシャツ、ディオールやスキャパレリのオートクチュール、ローマのフレスコ画、日本刀、ミッドセンチュリーの家具、そしてiPhoneに至るまで、50万点以上の作品が収蔵される予定となっている。

View of the Collections Hall at V&A East Storehouse © Diller Scofidio + Renfro

 注目すべきはその体験設計だ。「Order an Object」といった週7日制のサービスを導入することで、誰もが簡単に来場のオンライン予約ができるほか、V&A イースト・ストアハウスの収蔵品のすべてに自由にアクセスすることができるようになるという。学校の授業やプロジェクトのためのインスピレーション探しのほか、自身の好きなものを見てみたい、といった自身の知的好奇心にあわせてその収蔵品に出会うことができるのは、現状の美術館展示や収蔵庫とはまた一線を画す新たな鑑賞の在り方と言えるのではないだろうか。

 V&Aの副館長兼COOであるティム・リーブはこれについて次のようにコメントしている。

V&A イースト・ストアハウスのオープンは、豊かな創造的遺産と活気に満ちた才能あるクリエイティブ・コミュニティが存在するロンドンのこの地域において、ナショナル・コレクションへのアクセスの新たなスタンダードをつくり上げるという私たちの野望を実現するものです。
(中略)
V&A イースト・ストアハウスを通じて、来館者は美術館の舞台裏の不思議な世界に浸り、自分自身の旅をすることができるようになります。
世界初の "Order an Object "エクスペリエンスは、V&Aのコレクションを、誰もが自由に、そしてこれまでにない規模で利用できるようにするものです。これにより、より透明性が高く、パーソナライズされた体験を創造し、誰もがV&A イースト・ストアハウスで自分自身のインスピレーションを見つけることができるようになることを期待しています。

(プレスリリースより一部抜粋)

 ほかにも同施設には、保存修復ラボ、ワーキングストア、リサーチルーム、リーディングルーム、ギャラリー、展示・パフォーマンススペース、クリエイティブスタジオなど様々なスペースが設けられる予定だ。

View into the working collection stores at V&A East Storehouse © Diller Scofidio + Renfro

 さらにイースト・ストアハウスに隣接する施設として、「デヴィッド・ボウイ・センター」が来年9月13日オープン。ボウイに関する9万点以上のアーカイヴ資料を一般公開することが発表されている。デヴィッド・ボウイ財団の支援およびブラヴァトニック・ファミリー財団とワーナーミュージック・グループからの1000万ポンドの寄付により実現したもので、とくに60〜80年代のキャリアにまつわる資料を網羅し、アーカイヴの継続的な保存、調査、研究を行う施設となるという。V&A イースト・ストアハウスとデヴィッド・ボウイ・センター、どちらも入場無料となっている。

Internal render view showing the David Bowie Centre in V&A East Storehouse © IDK

 なお、V&A イースト・ミュージアムは2026年春に開館予定でこちらも入場無料。このふたつの文化施設「V&A East」のプロジェクトは、イギリスの過去数十年で最大の博物館開発計画であり、総費用は1億ポンド(日本円で197億円)を上回ると予想されている。