2024.11.8

今週末に見たい展覧会ベスト10。高橋コレクションから田名網敬一、奈良美智まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「田名網敬一 記憶の冒険」(国立新美術館)展示風景より
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もうすぐ閉幕

「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」(東京都現代美術館)

 東京都現代美術館の「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」展が11月10日に閉幕する。レポート記事はこちら

 高橋龍太郎コレクションは、精神科医・高橋龍太郎(1946〜)が1990年代半ばより本格的に収集を始めた日本の現代美術コレクション。本展は、高橋の目がとらえた現代日本の姿を、時代に対する批評精神あふれる作家たちの代表作とともにたどるものとなっており、日本現代美術の系譜を俯瞰できるものだ。

会期:2024年8月3日〜11月10日
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
開館時間:10:00〜18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 2100円 / 大学生・専門学校生・65歳以上 1350円 / 中高生 840円 / 小学生以下無料 

「開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ」展(東京都現代美術館)

展示風景より、《ドラゴンチェアー》(2008/24)と《都会生活者のオアシス》(2000)

 同じく東京都現代美術館で開催中の「開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ」も11月10日閉幕だ。レポート記事はこちら

 1990年代より、日常生活や社会現象など身の回りの出来事への関心を起点に、コミュニケーションを内包、誘発する表現活動を行ってきた開発。本展はそんな開発の思考に、作品の展示やこれまでのプロジェクトの紹介などで迫るものだ。

会期:2024年8月3日~11月10日
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 1500円 / 大学生・専門学校生・65歳以上 1100円 / 中高生 600円 / 小学生以下 無料

「田名網敬一 記憶の冒険」(国立新美術館)

展示風景より

 デザイナーとしてキャリアをスタートさせ、60年代から現在に至るまで幅広いジャンルを横断し、独自の地位を築いてきたアーティスト・田名網敬一。その世界初の大規模個展「田名網敬一 記憶の冒険」が国立新美術館で11月11日に閉幕する。会場レポートはこちら

 田名網にとって世界初の大規模回顧展となる本展は、そのタイトルのとおり「記憶」という言葉をキーワードに作品をたどることで、田名網の半世紀以上にわたる創作活動の全貌に迫るもの。会期中に惜しくもこの世を去った田名網の圧倒的な創作への熱量を、会場で感じてほしい。

会期:2024年8月7日~11月11日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00(金〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火
料金:一般 2000円 / 大学生 1400円 / 高校生 1000円 / 中学生以下無料

「建物公開2024 あかり、ともるとき」(東京都庭園美術館

展示風景より 撮影=中島良平

 東京・目黒の東京都庭園美術館が年に1度開催する建物公開展。今年は「建物公開2024 あかり、ともるとき」として、11月10日まで開催されている。レポート記事はこちら

 本展の主役は、天井や壁面に据えられた「照明」。その多くが、旧朝香宮邸のために制作されたオリジナルのものであるため、いずれも見応え抜群だ。

会期:2024年9月14日〜11月10日
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5-21-9
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 1000円 / 大学生 800円 / 中・高校生 500円 / 65歳以上 500円

「没後300年記念 英一蝶―風流才子、浮き世を写す―」(サントリー美術館

展示風景より、《雨宿り図屛風》メトロポリタン美術館

 江戸時代の絵師・英一蝶(はなぶさいっちょう・1652~1724)の過去最大規模の回顧展が東京・六本木のサントリー美術館で11月10日まで開催中だ。レポート記事はこちら

 一蝶は元禄年間(1688~1704)前後に、江戸を中心に活躍。はじめは狩野探幽の弟・安信に師事したが、菱川師宣や岩佐又兵衛らに触発され、市井の人々を活写した独自の風俗画を生み出した。元禄11年(1698)には47歳で三宅島に流罪になったが、島で描かれた作品は「島一蝶」と呼ばれ、とくに高く評価されている。 本展は2009年の「一蝶リターンズ ~元禄風流子 英一蝶の画業~」(板橋区立美術館)以来、15年ぶりの回顧展。ユーモアあふれる戯画から、狩野派絵師としての高い技量をうかがわせる謹直な作品まで、一蝶の活動を包括的に紹介する展覧会となっている。

会期:2024年9月18日~11月10日 ※会期中展示替あり
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
開館時間:10:00~18:00(金および11月9日〜20:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:火
料金:一般 1700円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下 無料

「空の発見」(渋谷区立松濤美術館)

渋谷区立松濤美術館「空の発見」展示風景より、左から中村研一《北九州上空野辺軍曹機の体当り B29二機を撃墜す》(1945)東京国立近代美術館、香月泰男《青の太陽》(1969)山口県立美術館

 渋谷区立松濤美術館で、「空の発見」が11月10日まで開催されている。レポート記事はこちら

 日本の美術において、長いあいだ描かれてこなかった「青い空」や「白い雲」といった空の表現。本展は、それはなぜか? という問いを発端として企画されたものだ。

 会場では、「1章 日本美術に空はあったのか?─青空の輸入」「2章 開いた窓から空を見る─西洋美術における空の表現」「3章 近代日本にはさまざまな空が広がる」「4章 宇宙への意識、夜空を見上げる」「5章 カタストロフィーと空の発見」「6章 私たちはこの空間に何を見るのか?」といった全6章立てで、日本美術における空の変遷をたどっていくものとなっている。

会期:2024年9月14日〜11月10日(前期:9月14日〜10月14日 / 後期:10月16日〜11月10日)※会期中一部展示替えあり
会場:渋谷区立松濤美術館
住所:東京都渋谷区松濤2-14-14
開館時間:10:00〜18:00(金〜20:00)※最終入場は30分前まで
休館日:月
料金:一般 1000円 / 大学生 800円 / 高校生・60歳以上 500円 / 小中学生 100円 ※土日祝休は小中学生無料 

「ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と」(岡本太郎記念館

展示風景より

 東京・青山の岡本太郎記念館で美術家・ヤノベケンジによる企画展「ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と」が11月10日まで開かれてる。レポート記事はこちら

 ヤノベは2011年から翌年にかけて「ヤノベケンジ:太陽の子・太郎の子」を岡本太郎記念館で開催。本展はそれ以来、12年ぶりに同館で開催される個展となる。ヤノベは今回、《BIG CAT BANG/猫大爆発》を中心に展示を構成。宇宙船「LUCA号」に乗って地球に到達した「SHIP'S CAT/宇宙猫」が無機質だった地球に生命を着床させたという壮大な物語が会場全体を使い、描かれている。

会期:2024年7月12日~11月10日
会場:岡本太郎記念館
住所:東京都港区南青山6-1-19
電話番号:03-3406-0801
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:火
料金:一般 650円 / 小学生 300円

「ICC アニュアル 2024 とても近い遠さ」(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]

展示風景より、青柳菜摘と細井美裕《新地登記簿》(2024)

 東京・西新宿のNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]で、「ICC アニュアル 2024 とても近い遠さ」展が11月10日まで開催中。レポート記事はこちら

 「ICC アニュアル」は、2006年度から2021年度まで同センターで開催された「オープン・スペース」展を、その役割やコンセプトを継承しながら、2022年度よりリニューアルした展覧会シリーズだ。本展参加作家は、青柳菜摘+細井美裕、木藤遼太、ウィニー・スーン、たかくらかずき、 ユーゴ・ドゥヴェルシェール、葉山嶺、古澤龍、米澤柊、リー・イーファン、 おおしまたくろう(エマージェンシーズ!046)、リー・ムユン(エマージェンシーズ!047)。現在の情報環境における、様々なリアリティにおける「遠さ」「近さ」、そしてその変化について考える作品が集結している。

会期:2024年6月22日~11月10日
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]ギャラリーB、シアター
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー 4階
電話番号:0120-144199
開館時間:11:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、祝休日の場合は翌日)
料金:一般 500円 / 大学生 400円 / 高校生以下、65歳以上無料

今週開幕

奈良美智「I Draw the Line」(BLUM 東京)


Yoshitomo Nara We Are Outlaws Yes! 2024 Acrylic on wood 76.5 × 68.2 × 6.5(1.2)cm
© Yoshitomo Nara; Image courtesy of the Yoshitomo Nara Foundation and BLUM Los Angeles, Tokyo, New York

 BLUM 東京で、奈良美智による個展「I Draw the Line」が始まった。

 奈良の制作の中心であり続けてきたドローイングだが、近年はその趣に変化が見られるという。手元の視界の中に鉛筆やポールペンなど比較的細い線描によって親密な表現世界を築き上げてきたこれまでのドローイングとは異なり、近年それらはよりモニュメンタルな性格を強めている。本展では、2000年代半ば頃から奈良が手がけてきた、小さなドローイングをプロジェクションによって拡大し、大画面に仕上げる手法「ビルボード・ペインティング」による3点のペインティングも出品。

会期:2024年11月7日~2025年1月11日
会場:BLUM 東京
住所:東京都渋谷区神宮前1-14-34 原宿神宮の森5F
開館時間:12:00~18:00
休館日:日月祝
料金:無料

細井美裕「STAIN」(Gallery 38

Photography:So Mitsuya

 東京・神宮前のGallery 38で、東京を拠点に活動するサウンドアーティスト・細井美裕による初個展「STAIN」が開催される。

 1993年生まれの細井は、これまで音が空間や時間の知覚を変容させる可能性を探求してきた。本展は、環境音を用いたインスタレーション、映像、キネティック・スカルプチャーなど、約15のサウンドピースから構成され、多様な音の表現を提示すると同時に展示空間には周囲の雑音や街の音が「侵入」し、作品に影響を与えるものとなる。

会期:2024年11月7日〜12月22日
会場:Gallery 38
住所:東京都渋谷区神宮前2-30-28 
開廊時間:12:00〜19:00(11月7〜10日は10:00〜)
休廊日: 月火祝
料金:無料