2024.12.6

今週末に見たい展覧会ベスト13。「はにわ」からヨシロットン、川端龍子+高橋龍太郎コレクションのコラボまで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

挂甲の武⼈ 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」(東京国立博物館)展示風景より、左から《埴輪 挂甲の武人》(6世紀)奈良・天理大学附属天理図書館蔵、《埴輪 挂甲の武人》(6世紀)アメリカ・シアトル美術館蔵
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もうすぐ閉幕

挂甲の武⼈ 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」(東京国立博物館)

特別展「はにわ」展示風景より

 古墳時代の約350年間、王の古墳に並べられた素焼きの造形物「埴輪(はにわ)」。この埴輪に焦点を当てた、挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」が、東京・上野の東京国立博物館で閉幕するた。レポート記事はこちら

 いまから1750年ほど前に制作が始まった埴輪は、時代や地域ごとに個性豊かなものが制作された。なかでも東京国立博物館に所蔵されている国宝《挂甲の武人》は最高傑作とされる。本展はこの《挂甲の武人》が国宝に指定されて50周年を記念し、全国各地から約120件の選りすぐりの埴輪をプロローグ・エピローグと全5章で紹介するものとなっている。

会期:2024年10月16日〜12月8日
会場:東京国立博物館
住所:東京都台東区上野公園13-9
開館時間:9:30〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(11月4日は開館)、11月5日は本展のみ開館
料金:一般 2100円 / 1300円 / 高校生 900円

「没後50年記念 福田平八郎 × 琳派」(山種美術館)

 東京・広尾の山種美術館で、日本画家・福田平八郎(1892〜1974)の没後50年を記念し、その画業をたどるとともに、平八郎が影響を受けた琳派の名品を展示する特別展「没後50年記念 福田平八郎×琳派」が12月8日まで開催されている。

 本展は3章構成。平八郎の作品を紹介しつつ、平八郎が影響を受けた琳派の名品を展示、さらに平八郎と同様に琳派に影響を受けた近現代の作家の作品を紹介するものだ。レポート記事はこちら

会期:2024年9月29日~12月8日
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月
料金:一般 1400円 / 大学生・高校生 1100円 / 中学生以下 無料

「SIDE CORE 展|コンクリート・プラネット」(ワタリウム美術館)

「SIDE CORE 展|コンクリート・プラネット」展示風景より

 公共空間や路上を舞台としたアートプロジェクトを展開するアートチーム・SIDE COREの大規模個展「SIDE CORE 展|コンクリート・プラネット」が、東京・外苑前のワタリウム美術館で12月8日に終了する。

 SIDE COREのメンバーは高須咲恵、松下徹、西広太志、映像ディレクターとして播本和宜が参加している。公共空間におけるルールをひも解き、思考の転換、隙間への介入、表現やアクションの拡張を目的に、ストリートカルチャーを切り口として「都市空間における表現の拡張」をテーマに屋内・野外を問わず活動を続けてきた。

 本展は「視点」「行動」「ストーリーテオリング」をキーワードにSIDE COREの作品をワタリウム美術館の建築と呼応させつつ、都市のなかで連鎖し伝播していくカルチャーについて思索を深めていくダイナミックな展覧会となっている。レポート記事はこちら

会期:2024年8月12日〜12月8日
会場:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
電話番号:03-3402-3001 
開館時間:11:00〜19:00 
休館日:月
料金:大人 1500円 / 学生(25歳以下)・高校生 1300円 / 小・中学生 500円

「広重ブルー」(太田記念美術館)

 東京・神宮前の太田記念美術館で開催中の「広重ブルー」が12月8日で閉幕する。

 歌川広重(1797~1858)の作品はいまも高い人気を誇るが、とりわけ空や海の深く美しい青が印象的だ。これは1830年頃から浮世絵に用いられたベロ藍(プルシアンブルー、ベルリンブルーとも)と呼ばれる青色の絵具によるもの。その美しさに触発され様々な絵師がベロ藍を使って風景画を描いた。広重は、ベロ藍との出会いから風景画に開眼すると、刻々と変わる空模様や水面を繊細に表現した。その後も晩年にいたるまで詩情あふれる名作を続々と生み出し、浮世絵界に不動の地位を築いている。本展は、広重のベロ藍を用いた名作の数々を中心に紹介し、国内外で愛され続ける広重の青の魅力に迫るものとなっている。

会期:[前期]2024年10月5日~11月4日、[後期]2024年11月9日~12月8日
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:30~17:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:10月7日、10月15日、10月21日、10月28日、11月5日〜8日、11月11日、11月18日、11月25日
料金:一般 1000円 / 大学・高校生 700円 / 中学生(15歳)以下 無料

「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」(大阪中之島美術館)

ルネ・マグリット レディ・メイドの花束 1957年 大阪中之島美術館(トリオ<現実と非現実のあわい>より

 大阪中之島美術館で、開館3周年記念特別展「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」が12月8日まで開催中だ。

 本展は、パリ市立近代美術館、東京国立近代美術館、大阪中之島美術館、それぞれのコレクションから共通点のある作品を1点ずつ選び、トリオ(3点1組)で紹介する展示を試みるもの。主題やモチーフ、色やかたち、素材、作品が生まれた背景など、自由な発想で組まれたトリオの共通点は様々。各館コレクションを代表する名作から初公開となる作品まで、総勢110名の作家による約150作品で34組のトリオを組み、それを7つの章に分けて紹介することで、モダンアートの新たな魅力を浮かび上がらせるユニークな展覧会だ。

会期:2024年9月14日~12月8日
会場:大阪中之島美術館 4階展示室
住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
電話:06-4301-7285(大阪市総合コールセンター、8:00〜21:00、年中無休)
開館時間:10:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 2100円 / 高校・大学生 1500円 / 中学生以下無料

「デ・キリコ展」(神戸市立博物館)

東京展の展示風景より、ジョルジュ・デ・キリコ《預言者》(1914-15)ニューヨーク近代美術館

 東京都美術館から神戸市立博物館に巡回した「デ・キリコ展」が12月8日で閉幕する。

 イタリア人の両親のもとギリシャで生を受けたジョルジョ・デ・キリコ(1888〜1978)。1910年頃から簡潔明瞭な構成で広場や室内を描きながらも、歪んだ遠近法、一見すると脈絡のないモティーフの配置、幻想的な雰囲気によって、日常の奥に潜む非日常を表した絵画を描き始める。後に「形而上(けいじじょう)絵画」と名付けた1910年代の作品は、サルバドール・ダリやルネ・マグリットといったシュルレアリスムの画家をはじめ、数多くの芸術家に衝撃を与えた。1919年以降は伝統的な絵画技法に興味を抱くようになり、古典絵画の様式へと回帰。それと同時に以前の形而上絵画の題材を取り上げた作品も頻繁に制作するなど、90歳で亡くなるまで創作を続けた。

 本展は、デ・キリコのおよそ70年にわたる画業を「イタリア広場」「形而上的室内」「マヌカン」などのテーマに分け、初期から晩年までの絵画を余すところなく紹介。さらにデ・キリコが手がけた彫刻や舞台美術も展示する、日本ではかつてない規模の回顧展をお見逃しなく。

会期:2024年9月14日~12月8日
会場:神戸市立博物館
住所:兵庫県神戸市中央区京町24番地
電話番号:078-391-0035
開館時間:9:30~17:30(金土〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 2000円 / 大学生 1000円 / 高校生以下 無料

わたしのいる場所─コレクションから「女性」特集(兵庫県立美術館)

展示風景より

 兵庫県立美術館でコレクション展Ⅱ「わたしのいる場所─コレクションから『女性』特集!」が12月8日まで開催されている。

  同展は、同館所蔵作家の約1割を占める女性作家のなかから60人超の作家の作品が紹介。女性が描かれた作品を展示することで、今日的なジェンダー論への理解を深めるというものだ。キュレーターによる解説はこちら

会期:2024年8月20日~12月8日
会場:兵庫県立美術館
住所:兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1
電話:078-262-1011
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月17日、24日、10月15日、11月5日
観覧料:一般 500円 / 大学生 400円 / 高校生以下 無料(コレクション展Ⅱ全室共通)

「発酵文化芸術祭 金沢 ―みえないものを感じる旅へ」(金沢市内)

大手町洋館の展示風景より、遠藤薫《三六〇、六〇、九〇、を(内科室にて)》

 日本の食文化を代表する「発酵」に注目し、アートを通じて五感でまちを感じる「発酵文化芸術祭 金沢―みえないものを感じる旅へ―」が、12月8日で閉幕する。

 同芸術祭は、金沢21世紀美術館のほか石川県内5地区が会場。食と歴史、気候風土が一体になった金沢で、醸造家とアーティストが手を組んで、普段は目にみえない「発酵」をテーマに作品を紹介している。レポート記事はこちら

会期:2024年9月21日~12月8日
チェックイン&発酵文化展示:金沢21世紀美術館 プロジェクト工房
インスタレーション会場:大野エリア、石引エリア、野町-弥生エリア、東山-大手町エリア、白山鶴来エリア
開館時間(チェックイン会場):10:00~18:00 ※各エリア会場はウェブサイトで確認 
休館日(チェックイン会場):月 ※各エリアは会場により異なる
料金:一般 2000円(ガイドブック付き)

「ヨシロットン展 FUTURE NATURE II in Kagoshima」(霧島アートの森)


ヨシロットン Signal RGB (2024 Version) Installation View (2024) ©︎ 2024 YOSHIROTTEN

 鹿児島県霧島アートの森で開催中の「ヨシロットン展 FUTURE NATURE II in Kagoshima」が12月8日に閉幕する。

 ヨシロットンは、地球・光・色彩への強い関心と、デジタル表現、物質的素材への探究心をもとに、SFと神秘主義、自然世界と都市文化を融合した世界観を描くアーティスト。本展は、2018年に東京で開催された個展「FUTURE NATURE」の続編となる。自身の創造性を育んだ故郷鹿児島の雄大な自然をモチーフに展示空間全体を用いた巨大なインスタレーション作品《FUTURE NATURE II In Kagoshima》に要注目だ。

会期:2024年10月8日~12月8日
会場:鹿児島県霧島アートの森
住所:鹿児島県姶良郡湧水町木場6340-220
電話番号:0995-74-5945
開館時間:9:00~17:00
休館日:月(祝日の場合は翌平日)
料金:一般 1000円 / 高校・大学生 700円 / 小中生 500円

今週開幕

川端龍子+高橋龍太郎コレクション コラボレーション企画展「ファンタジーの力」(大田区立龍子記念館)

 大田区立龍子記念館で、川端龍子+高橋龍太郎コレクション コラボレーション企画展「ファンタジーの力」が12月7日より開催される。

 日本屈指のアートコレクターとして知られる精神科医・高橋龍太郎のコレクションを、日本画家である川端龍子(1885〜1966)の作品とともに展示するコラボレーション企画展。好評だった2021年の「川端龍子vs.高橋龍太郎コレクション」に引き続き開催される本展は、「ファンタジー」をテーマに、高橋龍太郎コレクションが所蔵する草間彌生や李禹煥、奈良美智、加藤泉、丸山直文、宮永愛子ら20名を超える作家たちの作品を川端龍子の作品とともに展示。さらに新たな試みとして、ブックディレクター・幅允孝が各章のテーマに沿って選書した本を展示室に設置し、来館者がアートと本をとおして想像の扉を開くことができるよう構成される。

会期:2024年12月7日~2025年3月2日
会場:大田区立龍子記念館
住所:東京都大田区中央4-2-1
開館時間:9:00~16:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日は開館し、その翌日に休館)、12月29日~2025年1月3日
料金:一般 1000円 / 中学生以下 500円

「⾕中佑輔 弔いの選択」(十和田市現代美術館)

 十和田市現代美術館で「谷中佑輔 弔いの選択」が開催される。

 谷中佑輔は1988年⼤阪府⽣まれ。2012年に京都市⽴芸術⼤学美術学部彫刻専攻を卒業し、14年に京都市⽴芸術⼤学⼤学院美術研究科彫刻専攻を修了した。現在はドイツ、ベルリンを拠点に、彫刻とダンスをおもな表現形式として作品制作を⾏い、展覧会や舞台公演を横断しながら作品を発表している。美術館での初個展となる本展では、⽼いや病気、怪我、障害といったすべての⾝体が本質的にはらむ脆弱性と、それを克服しようと⽇々進化する医療技術が人々に抱かせる欲望や儚い希望、また必ずしも思い通りにならない脆さを抱えながら⽣きることなどについて考察し、新作のインスタレーションや彫刻、映像インスタレーション、パフォーマンスを発表する。

会期:2024年12月7日~2025年3月23日
会場:十和田市現代美術館
住所:青森県十和田市西二番町10-9
電話番号:0176-20-1127
開館時間:9:00~17:00 ※入館は16:30まで
休館日:月、12⽉23⽇〜1⽉1⽇、1⽉20⽇〜24⽇(祝⽇の場合はその翌⽇が休館)
料金:⼀般 1800円(常設展含む)/ ⾼校⽣以下無料

「春望 Gazing at Spring」(The Terminal Kyoto)

 コダマシーン(金澤韻+増井辰一郎)の自主企画による展覧会「春望」が、築92年の京町家「The Terminal Kyoto」で開催される。

 2022年の上海ロックダウンを経験し、その時から人間と社会、そして変わらずそこにある自然について考えを巡らせてきたというコダマシーン。パーソナルな動機を発端としつつ、信頼するアーティストたちに声をかけ、伝統的な町屋建築の中に様々な「山水画」が見られるような展覧会をつくりあげる。参加作家は方巍、UMA、宙宙、谷川美音、山口遼太郎。

会期:2024年12月7日〜22日
会場:The Terminal Kyoto (築92年の京町家)
住所:京都市下京区新町通仏光寺下ル岩戸山町424番地
開館時間:9:30〜18:00
休館日:無休
料金:無料

「庭と織物──The Shades of Shadows」(HOSOO GALLERY)

 京都のHOSOO GALLERYで、企画展示「庭と織物──The Shades of Shadows」が開催される。

 本展では、日本庭園・能楽の研究者である原瑠璃彦、建築デザインスタジオALTEMY、そしてHOSOOの西陣織の職人が協業し、日本庭園をテーマに生み出された、織物、映像、音からなる総合的なインスタレーションが公開される。展示される織物は特殊な箔糸を使用しており、緯糸には特定の色が存在しない。鑑賞者が 特殊な照明の下で視点を変えながら鑑賞することで、初めて色が浮かび上がる。本展では、映像や織物を用いたインスタレーションを通じて、多様な時間の積層や、光と影、静と動が交錯する庭の姿を表現し、庭と織物に新たな視点を提示する。

会期:2024年12月7日~2025年3月16日
会場:HOSOO GALLERY
住所:京都府京都市中京区柿本町412
開館時間:10:30~18:00(祝日・ 年末年始を除く、入場は閉館の15分前まで)
料金:無料